日本と海外の働き方の違いについて

 2020.04.20  ワークマネジメント オンライン

日本社会では現代でもなお、終身雇用制度や年功序列、サービス残業など独自の労働文化が根強く残っています。しかし、これらの労働習慣を世界的に見た場合、決して標準的と言えないものもあります。では海外ではどのような働き方が一般的なのでしょうか。今回は日本と海外の働き方の違いを詳しく見ていきます。

日本と海外の働き方の違いについて

日本の働き方の特徴

「海外の国々に比べて、日本人は勤勉で働き過ぎである」という話を耳にしたことがあるでしょうか。世界一の収録単語数を誇るオックスフォード英語辞典には2002年の時点で「Karoshi」(過労死)の英単語が収録されており、日本社会の「働き過ぎ問題」は世界的にも有名になっています。

その後、日本でも「多様な働き方の実現」「長時間労働の是正」「同一労働・同一賃金、正規・非正規の処遇差の解消」の3つを柱にしたいわゆる「働き方改革関連法」が2019年4月から施行されたことに伴い、労働環境も大幅に改善された部分もあります。

しかし、「残業を含む長時間労働が避けられない」「有給休暇が取得しづらい」「産前産後休暇や育児休暇後の職務復帰に困難を伴いやすい」「就業時間が厳密に決められ自由度が低い」などの点は日本の職場が今なお抱えている課題として挙がり続けています。

長い労働時間と少ない休暇

現代日本で特に問題視されているのは、合意に基づかない長時間労働が常態になりがちであること、時間外労働に対する正当な賃金が支払われていないこと、有給休暇取得率の低さの3つの点です。

まず、日本人の労働時間を諸外国と比較してみましょう。労働政策研究・研修機構が公開している「データブック国際労働比較2019」によると2018年の日本の就業者の年間平均労働時間は1680時間で、英国の1538時間、フランスの1520時間、ドイツの1363時間などに比べれば多いものの、韓国の2005時間、アメリカの1786時間よりは少なく世界的に飛び抜けて長いとは言えません。

しかし、この1680時間はあくまで給与が支払われている労働時間であり、この時間に含まれない「サービス残業」が蔓延していることが日本の労働環境における問題であるといえます。日本でも労働基準法第37条により時間外労働や休日労働の割増賃金が定められていますが、「サービス残業」が常態化している企業も多く、適切な対価が必ずしも支払われないために、さらなる長時間労働を招くことになっているという見方があります。

また、始業、終業の時刻など日々の勤務時間を労働者が自由に決定できる「フレックスタイム制」は1988年から段階的に導入されて30年以上の年月が経っています。しかし、厚生労働省の「平成31年就労条件総合調査の概況」によると、フレックスタイム制を採用している企業は2019年の時点でも全体のわずか5%にとどまっており、この制度を活用している企業はまだまだ少数派なことが分かります。この勤務時間の自由度の低さは産休、育休、病気療養などで生活が大きく変化した場合に、勤務の継続を妨げる大きな原因になっています。

参照:厚生労働省「平成31年就労条件総合調査の概況」変形労働時間制の有無、種類別採用企業割合同様に、有給休暇の取得率についても他国に比べ低いのが実情です。

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人は職場でどのように時間を使っているのか

エクスペディア・ジャパンが19カ国について調査した「有給休暇国際比較調査2018」によると、フランス、スペインなどでは法で定められた年間30日のうち、取得された日数が30日と100%で、米国でも14日中10日で7割ほどと取得率が出ています。一方、日本では年間20日のうち10日間の取得にとどまり、取得率50%は調査対象国で3年連続の最下位となっています。また、この踏査で日本は「有給休暇の取得に罪悪感がある」「休暇を取る場合は短い休暇を複数回取得」(長い休暇は取りづらい)と答えた人の割合が首位で、逆に「上司が有給休暇の取得に協力的である」の項目では最下位となっており、有給休暇を申請しづらい状況があることがうかがえます。

終身雇用という考え方

終身雇用とは60歳など決められた年齢を迎えるまで同じ企業で雇用され続けることで、日本では慣行となっている制度です。この終身雇用制度が日本社会に定着したのは1960年代の高度経済成長期で、当時は多くの企業が労働力の不足に悩まされていたことが理由にあります。

最近は一つの企業で働き続けることにこだわらず多様な経験を積んでキャリアアップしていくことを望む人も増加傾向にあります。加えて、日本経済の停滞もあり終身雇用を維持する力が企業に失われつつあるのも事実です。それでも、安定している大企業が就職先として高い人気を保っていることなどから見ても、終身雇用を求める志向は、労働者のなかでもまだまだ根強いとみられています。

年功序列というシステム

終身雇用制度と並んで、日本の慣例的な人事制度として語られてきたのが「年功序列」です。これは勤続年数や年齢で組織の中での役職や賃金が決められる慣習や人事制度を指しており、成果主義や実力主義と比較して用いられることも多い言葉です。

年功序列では勤続年数や年齢で昇進や昇給が決まります。これは人事評価が公平で分かりやすい、組織への帰属意識を高めやすい、育成計画を立てやすいなどの利点があります。逆に、有能な人材の離職を招きやすい点や、若い世代の負担感が大きく若年層の離職率を高めている要因の一つになっていること、社員が高年齢化すると人件費が増大し企業の負担が増えるなどの点がデメリットとして挙げられます。

日本の働き方の特徴に対する海外の働き方

では、諸外国の働き方はどのようになっているのでしょうか。もちろん国や個々の職場にもよりますが、日本の場合と大きく異なる部分がいくつか挙げられます。

労働時間や休暇について

まず、諸外国では日本に比べ有給休暇を取得しやすい状況があると言えます。勤勉なイメージがあるドイツを例にとってみましょう。ドイツの2018年の年間平均労働時間は1363時間で、日本の1680時間に比べてかなり短めです。これは、欧州各国では有給休暇の取得率が非常に高いことが関係しています。数週間単位の長期休暇を取得してバカンスに行く人もさほど珍しくなく、労働者の権利として社会にも定着しています。また、病気の場合は別途病気休暇が与えられ、有給休暇から差し引かれないという定めもあります。

さらに、タイムマネジメントの観念が浸透している職務の場合は「時間内に仕事を完了できる」ことも重要なスキルの一つであり、残業が発生する場合「無能である」とみなされることも残業の少なさに繋がっています。これは、給与は成果に対する報酬であり労働時間の長さを反映しないという考え方とも密接に結びついています。

もちろん、「サービス残業」という考え方も一般的ではなく、残業時間はすべて正当な賃金を受け取るのが当然であるという考え方も比較的浸透しているのです。

雇用について

終身雇用制度についても比較してみましょう。

例えば米国では、業績や実績がすべてで、個人の業績や企業にもたらした利益に対して報酬が支払われるという成果主義の考え方が普及しています。この場合、勤続年数や年齢に関係なく、個人の能力が比較的収入額に直結しやすいと言えます。しかし、年功序列や昇給の概念もないため、職務の内容が変化しない限り給与が上がることもなく、給与を上げるためには希望額を得られる別の職に就くしかありません。

こういった状況では一つの企業に長く勤務することにはあまりメリットがなく、転職してスキルアップすることに意味がありますので、給与が上がることを狙って転職を試みることも珍しくありません。

専門職、管理職に関しては英国や他の欧州各国、オーストラリアやニュージーランドなどでも同様の傾向があり、キャリアアップを見込んで3~5年程度のスパンで転職を繰り返し、徐々に給与を上げていく人もまた多く存在します。

給与や昇進について

年功序列に基づいた人事制度と異なり、成果主義の世界では個々のスキルによって給与に大きな差が出るのが常です。管理職や専門職の場合、経験豊富で引く手あまたの人材なら、希望額以上の報酬で転職できることも珍しくありません。昇進のシステムも日本とは大きく異なっている場合が多くあります。

諸外国では管理職は高度なマネジメント能力が求められる職であり、勤務年数に比例した年功序列で役職に就くわけではありません。役職者・マネージャーとそれ以外の従業員のキャリアパスは明確に分けられていますので、役職がつかない立場で生涯にわたって勤務を続ける場合も少なくありません。年功序列がないため、受け取る賃金は常に職務に見合ったものとなりますが、同じ職務であれば勤務先が異なっても同様の給与が望めることになります。

このスタイルで役職者を目指さない働き方を選択した場合、給与額の大幅な上昇は見込めない代わりに、仕事の質と量はほぼ一定で、残業も休日出勤も少ないという立場を年齢性別に関わらず得やすいことがメリットとなります。このため、育児などでキャリアを中断した女性でも比較的復職がしやすく、男性も育児や家事に十分な時間を割くという選択が可能となるのです。

まとめ

海外資本の企業が日本に進出したり海外の人材が日本企業で職を得たりすることが急激に増えている現状に即して、企業側も柔軟に対応していく必要に迫られています。今後も企業が人材を確保し競争力を維持していくためには、世界標準も意識して働きやすい環境づくりに務めることが急務であると言えるでしょう。

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