中期経営計画とは?その必要性や作成のポイント

 2020.08.26  2021.12.23

皆さんの企業では「中期経営計画(中計)」を策定されているでしょうか?株式市場へ上場している企業ならば、必ず策定されていることでしょう。中期経営計画は10年20年先を見据えた経営ビジョンよりも短期的に、株主に対する経営計画アピールのためのツールになるからです。あるいは単純に、長期的な経営ビジョンを具体的な事業活動へ落とし込むためのツールとしても活用されています。

では中小企業ではどうか?おそらく大半の企業は中期経営計画を策定していません。長期的な経営ビジョンよりも短期的なKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)を追うことに集中しているため、中期経営計画が策定されていないケースが多いのです。

そこで本記事では、そもそも中期経営計画とは何か?を説明し、その必要性や作成のポイントまで解説していきます。中期経営計画があることで何が変わるのか、ご注目ください。

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中期経営計画とは?

いきなり驚きの事実かもしれませんが、実は中期経営計画というのは日本企業独自の文化であり、欧米企業のほとんどは中期経営計画なる経営計画や目標の発表を行っていません。NYダウ30社において日本企業の中期経営計画のように指標を発表している米国企業は数社のみです。もちろん、中期経営計画がないからと言って目標がないと言うわけではございませんので、その点はご理解ください。

ここまで何度も連発している中期経営計画とはそもそも何なのか?明確な定義はありませんが、一般的には「3~5年のスパンで策定される事業活動や投資計画などを示した経営計画情報」のことです。多くの企業は長期的な経営ビジョンを達成するための中間指標的に位置付けており、企業経営陣は毎年のように中期経営計画の策定に多大な労力を費やしています。

以下に、中期経営計画を策定する一般的なメリットを次項に挙げてみました。

 

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中期経営計画を策定するメリット

メリット1. 中期的な経営指針

中期経営計画はいわゆる「コンパス」のような役割を持ち、組織全体として長期的な経営ビジョン達成に向けた取り組み迷わないようにするための経営指針です。最終的な経営ビジョンをKGI(Key Goal Indicator:重要目標評価指標)として設定されるKPI(Key Performance Indicator/重要業績評価指標)が中期経営計画というわけです。

メリット2. 組織全体での意識共有

経営者、経営陣、事業としての構想を組織全体で意識共有することが経営ビジョン達成に向けた重要なポイントです。中期経営計画そうした構想を表面化したものでもあり、組織全体での共有が欠かせないと考えられています。

メリット3. 社会的信用の獲得

株主などのステークホルダーから社会的信用を勝ち取るには、経営ビジョンの実現に向けた明確な計画を提示するのが一般的です。企業としての社会的信用度が高まることで、新規取引先開拓や資金調達など、ビジネスの拡大にも繋がります。

メリット4. 組織のガバナンス

組織というのは「1個体の生命」として活動できるのが理想であり、そのためガバナンス強化が常に求められています。中期経営計画が直接的にガバナンスに影響を与えるわけではないものの、間接的に効果を発揮することは事実です。

メリット5. 経営の現状を知る

中期経営計画することは、企業の現状を把握することにつながります。現状を見つめることで課題や問題が明確になりますし、より良いビジネス環境を構築するきっかけにもなります。

 

中期経営計画に潜む危険性

ここまで中期経営計画の概要やそのメリットについて説明しましたが、中期経営計画を策定する上での危険性についても触れておかなければいけません。

経営学においてはイノベーションを促進する上で決定的な要素として「知の探索」と呼ばれる理論があります。つまり、イノベーションの源泉になるのは「既存の知と既存の知による新しい組み合わせ」であり、これこそが「知の探索」として新しいビジネスやマーケットを切り開く重要な鍵になります。

「知の探索」では、できるだけ多くの既存知と既存知を組み合わせ、試行錯誤を繰り返すことが効果的です。しかし、それらの取り組みは手間やコストがかかる上に、結果を見てみないと収益に繋がるかどうかの判断がつきません。不確実性を多分に含んでいることから、イノベーションや成長のチャンスである「知の探索」を阻害しています。

結果的にどうなるか?多くの企業は「知の探索」ではなくすでに成功している事業や分野の知を深める「知の深化」へ偏ってしまいます。これに中期経営計画という文化が掛け合わせると危険な状況に陥る可能性があります。

日本企業の大半は中期経営計画を3年程のスパンで計画します。3カ年計画などと言うケースもあります。長期的な経営ビジョンを達成するための経営計画ですから、計画ごとに明確な成果を求めるのが自然であり、その結果として手間やコストがかかりやすい「知の探索」を避け、「知の深化」という罠にかかります。

「知の探索」が阻害されると長期的なイノベーションの促進が進まず、「知の深化」に偏り、企業として成長のチャンスを失ってしまうのです。これこそが中期経営計画に潜む危険性、魔物のような存在です。

 

中期経営計画を策定するポイント

中期経営計画を策定する上で重要なことは、「KPIツリーのように長期経営ビジョンから落とし込まれた経営計画を策定すること」です。つまりは10年20年先を見た経営ビジョンを筆頭にして、それを実現するための中期経営計画をドリルダウン式に策定していきます。その際に重要なのが、前述した「知の探索」による経営計画を盛り込みながら長期的なイノベーションを促すような経営ビジョンを描いていくことです。

単純に中期経営計画を策定するだけではビジネスに対する視野が非常に狭くなり、結果として目先の収益にとらわれて長期的な成長の機会を失ってしまいます。例えば自社企業が市場シェアとしておかれているポジションが3番手4番手だとして、今は少しでもシェアを獲得するために目先の取り組みに走りがちです。

しかし本当に大切なことは、今ある商品やサービスを利用してくれている顧客を大切にし、自社企業の理念などに共感した人々の期待に応えるために長期的な経営ビジョンを描き、それを実現するための中期経営計画を策定することです。

つまりは、中期経営計画は小手先で経営を回すための目標ではなく、あくまで最終的な経営ビジョンを達成するためのツールとして活用するものなのです。

まだ中期経営計画を策定していないという場合は、ぜひこの機会に長期経営ビジョンから落とし込んだ経営計画を策定してみてください。そうすればきっと、今までに無かったビジネスの本質が見えてくるはずです。

Asana-goalsAsana Goalsの資料より

ちなみにAsanaが提供するゴール機能を提供します。メンバー全員がミッション、目標、そしてそれらの達成に必要な日々の仕事を明確に理解している組織は最高の成果を上げます。Asana では、新しいインターンに割り当てられたサブタスクから、CEO が責任を担う会社の目標まで、すべてが明確になります。そのため会社の経営計画達成に向けた明確な仕事の管理が可能になります。

OKRまるわかりガイド ー AsanaのOKR作戦ブック ー

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