サクセッションプランとは?目的やメリット、導入事例を紹介!

 2021.09.13  ワークマネジメント オンライン

後継者問題はどの企業にとっても大きな課題ですが、最近新しい人材育成システムとして注目を浴びているのが「サクセッションプラン」です。本記事ではその特徴と目的、メリットやデメリットに加え、具体的な企業の導入事例も合わせてご紹介します。

サクセッションプランとは?目的やメリット、導入事例を紹介!

サクセッションプランとは

規模の大小にかかわらず、多くの企業にとって人材育成や後継者問題は大きな課題です。これまでは社員の年次やキャリアから判断し、後継者を選ぶことが一般的でしたが、仕事で培った経験と、経営者側に立った時に求められるスキルがマッチしないことも多く、より適切な人材育成方法が模索されてきました。

そこで近年、新しい人材育成システムとして注目されているのが「サクセッションプラン」です。日本語では「後継者育成計画」と呼ばれ、導入する企業も増えています。

従来の人材育成方法との違いは、将来経営者になることを見据えた上で、広い視野を持つ人材を長期的な視点で育てられることです。

具体的には一つの分野で専門性を高めるのではなく、ジョブローテーションによって全社横断的に各部門を経験させ、企業の経営理念や経営戦略に即した人材を、長期間かけて育成していきます。加えて離職を防ぐための人材確保や定着戦略も、計画に含まれます。

サクセッションプランの目的

情報化が進んだ現代、日本企業は昔より激しい競争にさらされています。トップは常に迅速で的確な経営判断が求められ、もし判断を誤れば買収や吸収合併の対象になったり、倒産の危機に見舞われたりと、企業の存続が危ぶまれる事態に陥ってしまいます。

しかし、迅速で的確な経営判断は、相応の教育を受けていない人間には困難です。つまりサクセッションプランの目的は、成長を持続させる優秀な経営者を育成し、倒産や買収といった企業存続にまつわるリスクを軽減することと言えるでしょう。

後継者育成計画については、東京証券取引所が定めた上場企業の統治指針「コーポレートガバナンス・コード」でも以下のように言及されています。

“取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与するとともに、(中略)適切に監督を行うべきである。”

経営者の適切な育成計画は企業統治のルールにもしっかりと組み込まれており、その重要性がお分かりいただけるでしょう。

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サクセッションプラン導入のメリット・デメリット

優秀な後継者育成のため、多くの企業が導入し始めているサクセッションプランですが、メリットとデメリットがあります。以下に詳しくご説明しましょう。

サクセッションプラン導入のメリット

早い段階で後継者を選定し、専門の育成を行うことには、多くのメリットがあります。第一は、企業から期待されていると本人が意識することでモチベーションが上がり、優秀な人材の流出を防ぐことができる点です。

早いうちから経営者に必要なスキルを磨いておくことで、突然の経営者辞任や死去などがあった場合も、空白期間を作らずスムーズにポスト交替ができ、社内の混乱を最小限に留めることができます。

また、社外からヘッドハンティングする必要などもないため、長い目で見れば人材育成コストの削減にもつながります。

サクセッションプラン導入のデメリット

企業の理念や経営方針を熟知するのは、短期間で達成できることではありません。サクセッションプランの一番のデメリットは、人材育成に時間がかかることでしょう。育成にはコストもかかるため、もし抜擢した社員が途中で辞めてしまった場合、時間と費用が無駄になるリスクもあります。

また、経営者候補から外れてしまった社員のモチベーションが低下するという問題もあります。それを防ぐため、ほかの社員に分からないよう内々に抜擢する場合もありますが、あえて選定基準をオープンにするのも一つの方法です。選ばれた理由が分かれば、自分も選ばれるよう努力する社員も多いでしょう。結果、社内のモチベーションアップにつながる可能性もあります。

サクセッションプランの導入事例

ではここからは、実際にサクセッションプランを導入している企業の、具体的な事例をご紹介しましょう。

りそな銀行

国内大手銀行である「りそな銀行」がサクセッションプランを導入したのは2015年のことです。「次世代トップ候補者」や「新任役員候補者」など階層ごとに分類し、外部コンサルタントの力も借りながら育成プログラムを実施しています。

このプログラムの特徴は、役員に求められる人物像を「組織を動かす迅速な決断力と実行力」、「多角的・論理的に本質を見極める力」、「将来のビジョンを描く能力」など、7 つの軸に定めて評価しているところです。

評価は代表執行役の監督や選定に関わる「指名委員会」が中心となって行い、取締役会や経営層も関わりながら、将来会社を担う人材を公正かつ慎重に見極めています。

日産自動車

「日産自動車」では、激化するグルーバル競争に生き残るため、2000年より日本だけでなく世界各地から人材を発掘する計画を実施しています。

具体的にはCEOなど主要役員で構成した人事委員会(Nomination Advisory Council)を立ち上げ、世界各地から次世代リーダー候補を発掘する「キャリアコーチ」を選出しています。キャリアコーチはキーポジションに最適な人材を人事委員会に提案するだけでなく、それぞれの人材に対し独自のサクセッションプランの作成まで行います。

グローバルな視点と高い専門性を備えた人材の育成は、世界で勝負する大手自動車メーカーならではと言えるでしょう。

花王

「豊かな共生世界の実現」など、「花王ウェイ」と呼ばれる独自の企業理念を全社員が共有する「花王グループ」では、その理念を基準に実績や目標を評価し、優秀な人材を以下の3つの段階に分け、サクセッションプランを実施しています。

  • 今すぐ後任になれる人材である「ReadyNow」
  • 1~3年をかけて後任として育成する人材「ReadySoon」
  • 3~5年をかけて後任として育成する人材「MidTeam」

ReadyNowは常時1名を選定しており、ReadySoonは2名まで、MidTeamに関しては3名までを選出します。ReadySoon、MidTeamには平素の業務と並行して育成プログラムを実施し、後継者候補としての能力開発が行われるのです。

3段階に分けて常に次世代リーダー候補となる人材を育てておくことで、トップに不測の事態があった場合でも混乱を最小限に抑えて、後継者への交代が行えます。

まとめ

日本企業はこれまで、世襲や年功序列でトップが決まることも少なくありませんでした。しかし、これまでの旧態依然としたシステムにこだわっていては、情報化・グローバル化が進む現代ビジネスの世界で生き残るのは難しいでしょう。

サクセッションプランは、よりフェアな方法で経営者に適した人物を、長期的に育成できるシステムです。能力が正当に評価され上を目指せることは、社員のモチベーション向上にもつながります。ぜひ後継者問題に課題を抱えている企業は、導入を検討してはいかがでしょうか。

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