在宅ワークで抱える課題と対処法について

 2021.04.07  2022.09.07

WORK INNOVATION SUMMIT 24

新型コロナウイルスの感染拡大防止策として急速に導入が進んだ在宅ワーク。本来、企業や働き手にメリットが多いはずでありながら、課題への対処が遅れた結果、かえって従業員に負担がかかっているケースも散見されます。本記事は、企業の制度として在宅ワークをうまく浸透させたい担当者に向けて、想定される課題や対処法について解説します。

在宅ワークで抱える課題と対処法について

在宅ワークの課題を考える重要性

在宅ワークにはメリットが多く、働き方改革を後押しするものであることは確かです。しかしその一方で、実際に導入した企業において、今後に向けた改善点や課題が多く挙げられています。導入前や直後には出てこなくても、在宅ワークが進むにつれて、多くの課題が浮き彫りになる可能性もあります。

在宅ワークの導入後に、場当たり的に課題に対処するのは得策とは言えません。解決するまでは従業員への負担が増え、アウトプットクオリティも低下する恐れが高いためです。導入する前に、前持って考えられる課題を洗い出して解決策まで決めておくことが重要であり、結果的に在宅ワークを社内に浸透させる近道となります。

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在宅ワークで抱える課題

在宅ワークで起こり得る課題は1つではありません。さまざまな課題が考えられ、それぞれについて対処していく必要があります。

社内のコミュニケーションに関する課題

在宅ワークでは、オフィスで働くときと比べて、コミュニケーション機会の減少、希薄化、不足といった問題が起こりやすくなります。従業員同士が顔を合わせて働き、物理的に席同士も近ければ、気軽に相談したり、休憩時間に雑談したりできます。ほかのチームメンバーが困っている状況にも気づきやすいでしょう。

しかし、お互いの状況が見えない在宅ワークでは、相談のタイミングをつかみづらくなります。雑談すら行いづらいかもしれません。加えて、在宅ワークのコミュニケーションはテキストベースとなるため、認識のズレが起きやすく、特にフレックス勤務者もいる職場では、さらにタイムラグも発生します。

仕事の管理・評価に関する課題

在宅ワークでは、出退勤や労働時間の把握、仕事ぶりや進捗チェックなど、仕事の管理がしづらくなります。働く側としても、今まで以上に自己管理能力が問われる環境であると言えるでしょう。うまく管理できないことで仕事が停滞し、かえって長時間労働になる恐れに加え、上司の目が届きにくくなることから「隠れ残業」の増加も懸念されます。

また、在宅ワークにおいては、「部下と上司の双方が納得できる人事評価を実現するのが難しい」という問題もあります。

「目の前にいない部下の貢献をどう判断するのか」「仕事の効率性やプロセスをどう評価するのか」。働き方の変化に合わせて、そうした人事評価制度も臨機応変に見直していく必要があります。

業務上のセキュリティに関する課題

在宅ワークでは、セキュリティリスクの発生源が、オフィスから従業員それぞれのパソコンやモバイル端末へと広がります。つまり、オフィス勤務時以上に、情報漏えいリスク、紛失や覗き見、ウイルス感染やサーバー攻撃などの脅威にさらされやすくなるということです。使用可能なネットワーク回線に制限をかける、セキュリティソフトのインストールとOSのアップデートを徹底するなど、企業側からリスク対策していく必要があります。

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加えて、データをやり取りする際には暗号化する、離席時には機器をロックするなど、運用ルールも決めておきましょう。在宅ワークでは従業員一人ひとりのリテラシーが問われるので、導入前の全従業員へのセキュリティ教育実施も計画すべきでしょう。

新入社員などの育成に関する課題

前述のコミュニケーションや管理の問題で、新入社員や中途採用者の育成・フォローがしにくくなる点も否めません。在宅ワークはオフィス勤務と比べて個人の自由度が高く、主体性が問われます。ある程度の経験と実績があり、自分で1日の業務スケジュールをデザインできる従業員であれば、この点はメリットに働くことが多いでしょう。

しかし、育成やフォローが必要な立場の人間からすると、「放置されている」と不安に感じたり、「仲間に入れない」と疎外感を覚えたりする可能性が高いので注意が必要です。育成やフォローをする従業員をアサインして、在宅ワーク中でもこまめにコミュニケーションを取れる環境を維持しましょう。例えば、直属の上司へいつでも質問可能な状況にしておくなど、精神的に従業員を支えられるよう配慮してください。

自宅の仕事環境に関する課題

急に在宅ワークを導入しても、従業員の各自宅には仕事環境が整っていないケースも想定されます。長時間の作業に対応できるビジネス用のデスクや椅子の導入、通信環境や業務用のパソコン、オンラインツールは最低限そろえてもらう必要があるでしょう。

職種によっては、快適に作業するために追加で大型ディスプレイやプリンターなどが必要になってくる場合もあります。従業員によっては、仕事ができる静かな環境を確保するために、空き部屋にエアコンを設置して書斎にするケースもあるでしょう。在宅にオフィスと遜色のない環境を整えるのには、相当のコストがかかります。

稟議や決裁に関する課題

従来の業務の流れが在宅ワークではスムーズに進まず、稟議や決裁に影響が出る可能性があります。具体的には、「取引先との契約や業務発注・出張申請・物品の購入」といった、稟議や決裁に関する業務がオンライン化されていないと、申請や承認のたびに出社しなければなりません。

そうなると、「結局最初から出社しておいたほうが楽」という発想に傾きやすく、在宅ワーク制度が形骸化してしまいます。在宅ワークを浸透させるためには、事前準備としてペーパーレス化や業務のオンライン化を進めておくのが先決です。

在宅ワークの可否に関する課題

そもそも「在宅ワーク化が実現し得るかどうか」という課題もあります。在宅ワークともっとも相性がいいのは、オフィスワークが中心で、かつ自己完結的な業務です。SEやWebデザイナーなどがその代表例です。企業の間接部門でも、ペーパーレス化や業務オンライン化を進めれば、かなりの作業を在宅ワーク化できます。

反対に、在宅ワークに向いていないのは、工場や開発など現場ありきの仕事です。「IoT」の普及で製造現場の遠隔操作なども広がっていますが、実際にはほとんど担当者が現場に行って、チェック・操作しなければいけないことが現状でしょう。紙文化が根強い職場では、ペーパーレス化や業務のオンライン化といった急な路線変更に既存従業員がついてこられるか、という問題も考えられます。

在宅ワークの課題への対処法

ここからは、在宅ワークで考えられる課題への対処法について解説します。ポイントは、在宅ワークをスムーズに進めるための仕組みや制度、ルールなどを整え、働き手の心理的・身体的不安を軽減することです。具体的には、次の4つの対処法を参考にするといいでしょう。

ITツールの活用

ITツールの活用によって、在宅ワークにおける問題の多くを解決できる可能性があります。在宅ワークに便利なのは、ビジネスチャットやWeb会議システム、グループウェア、タスク管理ツール、勤怠管理システム、セキュリティ関連ツールなどです。まず、ビジネスチャットやWeb会議システムは、従業員同士のコミュニケーションに欠かせません。ビジネスチャットは、メールよりも気軽に送れ、リアルタイムでのやり取りも可能です。

グループウェアやタスク管理ツール、ワークフローシステムを活用すれば、仕事環境を速やかに構築でき、業務管理や稟議・決裁なども自宅からスムーズに行えます。さらにチーム全体・メンバー一人ひとりの業務も可視化されるため、結果的に人事評価や人材育成もスムーズになるでしょう。

習慣・制度の見直し

業務や評価に関する習慣・制度を見直して、在宅ワークに適したものにしていくことも重要です。例えば、終日お互いの顔を見ない可能性も高い在宅ワークの実態に合わせて、報告やコミュニケーションの取り方、評価制度などにも柔軟性を持たせるべきでしょう。長く踏襲されてきた習慣を変えるのは言葉でいうほど容易ではなく、まずは経営者や管理職の意識改革から取り組むべきかもしれません。

稟議や決裁の課題については、前述のようにペーパーレス化と業務のオンライン化が必須です。セキュリティリスクを減らすためのガイドラインやルールを決め、業務習慣として全従業員に浸透させていくことも重要です。在宅ワーク環境における新入社員や中途採用者などの育成やフォローについても、慣れるまでは上司からのコミュニケーション時間を物理的に増やすなどの工夫が求められます。

環境構築のサポート

在宅ワークの環境整備は、端末やネットワーク環境、ITツールの導入は企業側でリードするのが一般的です。バラバラにせずに企業側で一括管理する方がセキュリティ面でも安心ですし、全体の業務効率も上がります。

グレーゾーンになりやすいのが、在宅ワーク用のデスクや椅子、在宅ワーク期間中の通信費や光熱費などです。在宅ワークの頻度が高く、長期的に継続していく計画であれば、従業員の不満が大きくなる前に、在宅勤務手当の検討を進めるべきでしょう。

実際に、一時金や月額費用を支払うなど、金銭的な補助を行う企業も増えています。Web会議システムの導入によって、浮いた出張費などの固定費を補助に充てるのも1つの案かもしれません。

在宅ワークの一部導入

在宅ワークは必ずしも、全社的に導入しなければいけないものではありません。自宅を就業場所とする特徴的な働き方である以上、向いている仕事とそうでない仕事に分かれてしまうのは仕方ないことです。ただし、働き方改革の切り札として推奨されている以上、既存業務の在り方を見直すことで、在宅ワークできる業務がないか検討していく姿勢は求められます。

例えば、ペーパーレス化や業務のオンライン化を進めれば、間接部門の業務は在宅でも行える可能性があります。一部の部門でトライアル的に進めていき、まずは影響も限定的な範囲でどのような課題があるかを探っていくのも手です。

まとめ

在宅ワークは制度をつくれば浸透するというものではなく、在宅でもスムーズに仕事を進められる環境整備や業務習慣の見直しが不可欠です。その大きな手助けとなるのが、ITツールの導入です。

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