業務プロセスを改善するには?12の手順とそのポイントについて解説

 2022.05.31  2024.04.11

業務プロセスの改善は「業務コンサルタントを依頼しないと実現しない」と考えらえています。しかしこれは大きな誤解で、企業独自で行う業務プロセス改善でも、立派な成果を得ている企業は多く存在するのです。

ただし、正しい改善手順を踏むことや、ポイントを押さえることは必須です。正しい手順とポイント、そして慎重に業務プロセス改善に取り組む姿勢があれば、成功しないことはありません。今回はそんな業務プロセス改善の手順とポイントについて紹介していきます。

業務プロセス改善の正しい12手順とポイント

業務プロセス改善に向けた手順を解説

【手順1】「業務プロセス」の定義

そもそも「業務プロセス」とは何か?その定義については曖昧なところも多く、各々が違った解釈をしています。当然ですが業務プロセス自体が曖昧な状態では業務プロセス改善が成功することはありません。

ここでその定義について説明すると、業務プロセスとは「ビジネス上の特定の目的を達成するために整備された業務手順と仕事のやり方であり、4つの特性(下記参照)を持っているもの」です。

参照記事:「業務プロセス」を定義してBPMを促進する

このように業務プロセスについて予め定義し、関係者間で共有化しておくことでプロジェクトを円滑に進めることができます。

【手順2】責任の所在を明確にする

業務プロセス改善の指揮を執る責任者を決めたり、プロジェクトチームを設置することは必須です。統一されたプロジェクト推進を行うためには責任者やプロジェクトチームによる先導が必要となります。

その際は、企業の幹部クラスから管理権限を付与し、全面的なサポートを与えることも必須です。業務プロセス改善という初めての取り組みでは、責任者やプロジェクトチームにかかる不安や負担は非常に大きなものとなります。

こうした不安や負担を少しでも軽減することは、業務プロジェクト改善に関わる幹部クラスの責務ともいえるでしょう。

【手順3】業務プロセスのモデル図を作成

次に社内の業務プロセスをモデリングして、業務フローなどを理解します。業務プロセスに関しては組織内の人間であればある程度理解しているものですが、自分が行う業務意外でのプロセス間の繋がりなどは、一旦可視化しなければ見えてこないものです。

モデル図作成は主にBPMI(ビジネスプロセスモデリング表記)を使用します。BPMIは世界標準(ISO19510)にもなっている表記法で、業務プロセス改善の現場では当たり前に使用されています。

BPMIは専門的な知識や経験がなくとも作成できるという特徴があり、さらにBPEL(ビジネスプロセス実行言語)として直接システムに落とし込むことが可能です。

【手順4】現場ヒアリングによる課題発見

モデル図を作成したら現場ヒアリングにて課題を発見していくのですが、その際は下記の視点で課題を見つめてください。

  • ビジネスルールが不明確なせいで停滞・遅延する業務はないか
  • 本来業務ではなく代行業務を担っている認識からくる問題はないか
  • 個人のスキルに依存している問題はないか
  • 慣習や伝統により生じている問題はないか
  • 人手では限界にきている業務の問題はないか
  • 部門間の連携が限界にきている業務の問題はないか

課題を発見したら、複雑な業務プロセスを俯瞰しつつ問題個所を特定します。

【手順5】優先度に応じて解決策を立案

各課題には必ず優先度を付けてください。基本的に、全社的な業務プロセス改善は失敗します。業務プロセスに関するノウハウがない段階で解決策を全社適用することは自滅行為に等しい行動です。

従って課題には優先順位を付けて、スモールスタートで業務プロセス改善を開始する必要があります。

【手順6】複数のケースを想定したシナリオ作成

業務プロセス改善を進める上で、想定していなかった事態が発生することはもちろん、改善が上手くいかないことは当然のようにあります。そうした事態にも素早く対応することが、業務プロセス改善を成功させるポイントです。

従って複数のケースを想定し、それぞれに応じたシナリオを作成しておきましょう。業務プロセス改善プロジェクトでは、このステップに最も多くの時間をかけるのが成功の秘訣です。

【手順7】効果の出やすい対策から実行

スモールスタートに加えて、第一の取り組みでは必ず成功させることが大切です。業務プロセス改善の効果を立証することで経営者の理解を得ることができますし、何より成功したことでの自信やノウハウは次の取り組みへの力を生み出します。

従って効果が出やすく、比較的大きい改善を加える対策を優先的に実行しましょう。一般的には60日~90日で取り組める改善を実践していきましょう。

【手順8】関連プロセスは同時に改善を

現在進行形で改善に取り組んでいる業務プロセスに関しては、同時に改善プロセスにも改善を加えていくことが大切です。業務プロセスは組織をまたがり複雑に絡み合っているので、特定の業務プロセスのみを改善しても、関連プロセスに問題があれば取り組みに失敗する可能性が高まります。

注意していただきたいのは、業務プロセスの全体像を掴めていないがために、プロジェクトが肥大化してしまうことです。

第一の業務プロセス改善に取り組む前に、全体的な業務プロセスを把握し、プロセスごとの関連性を見極めて上でプロジェクトを推進していきましょう。

【手順9】対策の効果測定と原因・要因分析

打ち出し、実行した対策については確実な効果測定と原因・要因分析を行う必要があります。取り組みが成功したのか失敗したのか、改良の余地はあるのかなどを考えるためには、効果測定を行うための「評価基準」も必要です。

従って、対策を講じる前に「目的」と「目標」、これらを数値化した基準を必ず作ってください。

【手順10】分析結果をもとに新たな解決策を立案

分析結果は次の対策へ活かすためのものです。基準値を満たし取り組みに成功したとしても、そこで終わらせるのではなく「改善の余地はないか?」と考えてみてください。基準値に満たなかった場合は新たな解決策を立案していきましょう。

【手順11】定期的な進捗会議

業務プロジェクト改善の進捗度を知るためには関係者を巻き込んだ定期的な会議が必要です。特に「関係者を巻き込む」という部分が重要で、実際に現場で業務プロセス改善を目の当たりにしている責任者を巻き込むことで、組織全体で取り組んでいる姿勢を作り円滑なプロジェクト推進を助けます。

【手順12】手順3~11を繰り返しブラッシュアップ

最後に、手順3から11を繰り返し業務プロセス改善を継続的にブラッシュアップさせていきます。つまりビジネスの基本である「PDCAサイクルを回す」ということです。たった一度の取り組みですべてが上手くいくわけではないので、継続的に取り組んでいくということがとても大切です。

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まとめ

本記事で紹介した手順とポイントで、業務プロジェクト改善は企業独自に行えます。コンサルタントは必要ありません。しかし、業務プロジェクト改善を円滑に進めていくためのITソリューションは必要です。

BPMシステムは業務プロセス改善において最も時間を費やす「モデル図作成」や業務プロセス再設計を強力に支援します。

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