OKRの進め方とは?進める上でのポイントも紹介

 2020.05.25  2022.02.17

社員の目をより高い方向へ向かわせ、会社へのエンゲージメントを高める目標管理手法として注目されている「OKR」とは、そもそもどのような意味でしょうか。目的と導入の方法、また効果を高めるポイントも合わせて紹介します。

OKRの進め方とは?進める上でのポイントも紹介

OKRの意味と導入目的

目標管理方法の1つに「OKR(オー・ケー・アール)」がという指標があります。

GoogleやFacebookが採用して成果を上げたことで一躍有名になりましたが、OKRとはどのようなものなのでしょうか。

まず、OKRとは「O=目標(Objectives)」と「KR=その達成に要する成果(Key Results)」の略です。

成果指標(KR)を達成することにより、壮大な目標(O)を達成するという考え方に基づいています。

企業全体のOKRと、その下の部門・チームのOKR、社員一人ひとりのOKRすべてがリンクしているため、進捗を確認するたびに企業の目標に対する社員の貢献度が可視化されます。

全社で一丸となって同じ目標に向かって努力することになり、結果として企業へのエンゲージメントが高まるとされています。

目標管理の方法としては、他にKPI(Key Performance Indicator)が有名です。これはパフォーマンスの評価を目的としており、100%の目標達成をもって成功とみなします。一方、OKRでは「社員を鼓舞して組織の能力を高める」ことを重視しており、100%の目標達成を求めていません。

また、OKRは人事評価とは連動しないことも特徴で、仮に目標を達成できなかったとしても、低評価されることがありません。社員のマインドセットを変化させ、会社そのものも変化させることに主眼を置いているからです。

関連記事:OKRとは?Google、Facebookも使う目標管理のあり方

OKRの進め方

目標管理の方法として全社で活用する場合、会社・部門・個人の順に目標と達成に必要な成果を決定し、進捗の確認と成果測定を行います。それぞれの手順の詳細は次のとおりです。

企業のOKR設定

目指す目標には売上額や営業利益など、どのような目標でも設定できますが、企業のビジョンや戦略から導き出された目標でなくてはなりません。

また、目標は社員を奮い立たせる期限付きのものが適しており、達成が困難でも不可能ではない、絶妙なレベルの目標を設定する必要があります。

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その目安として挙げられるのが、Moonshot(月面着陸が由来の壮大なテーマ)です。不可能ではないながら相当高いレベルの目標です。また、設定するだけではなく、企業は熱意を持って繰り返し社員に伝えていくことも大切です。

次に、目標達成に必要な成果指標を、3項目程度を目安に設定します。成果指標は多すぎても少なすぎてもいけません。成果指標は、測定できるように定量化されたものにする必要があります。品質・性能・売り上げなど、どのような成果でも構いませんが、数字で測れるかどうかを基準に設定します。

「O」と同様、目標達成に対するモチベーションを高めるため、「KR」も非常に難易度が高いが達成不可能ではない指標を設定します。

部門・個人のOKR設定

すべてのOKRは、社内で共有する必要があります。まず、決定した全社のOKRを共有し、意義と内容を説明します。次に、部門長とそのチームが設定します。

部門のOKRは、全体のOKRを基にして設定します。次に、成果指標を3項目ほど設定します。以下、部門、チーム、個人のOKRの順で、上位で設定されたものをもとにそれぞれ決定していきます。

すべてのOKRは常に共有されている状態を保ち、いつでも誰でも参照できるようにオープンにしておくことも大切です。

進捗の確認

目標で定めた期間が終了するまでの間、関係者全員で密なコミュニケーションをとったり、定期的にミーティングの時間を設けたりして、OKRの進捗確認をする機会を作ります。1週間に1回程度の進捗確認を定期的に行うことと、関係者が常に進捗を把握しておくことが大切です。

OKRがうまく浸透しない原因の多くは、設定したOKRを忘れてしまうことにあります。これを防ぐためには、進捗確認を毎週の定期ミーティングに組み込んだり、報告メールの項目に組み込んで習慣化したりすると良いでしょう。

成果の測定

目標で定めた期日が来たら、成果を測定します。部門のメンバーの成果の平均値を達成度とみなします。

OKRでは、元々高いレベルの目標を設定するため、達成度は60%~70%あれば成功とみなして構わないとされています。何を達成したかではなく「一人ひとりが会社にどう貢献したのか」を可視化することがこの目標管理の目的のひとつです。

成果の測定というと、できたことよりも、できていなかったことに焦点が当たりがちです。他の目標管理方法では達成率100%を求めることに対し、高い目標を掲げつつ70%程度で成功と評価することで、社員の目を組織全体の高い目標に向けさせます。そのため進捗管理では、できたことや、前回よりも進んだこと、などに焦点を当てていきます。

OKRの見直し

効果測定が終わったら、次の目標を設定します。

「O」の見直しの頻度は、企業全体の目標が数年に1回、部門やチームで数ヶ月~1年に1回、個人では隔週~月次を目安に行います。

成果指標は、どのレベルでも3ヶ月に1回は見直します。変更が必要なければ変える必要はありませんが、必要があれば指標の数値を調整したり、KR自体を変えたりします。

他の目標管理手法と比較して、目標の見直し・更新頻度が高いことがOKRの特徴のひとつですが、これによりスピード感を持った組織に変えていくことができます。

また、頻繁に更新することにより、必然的に社内で相談や意見交換などのコミュニケーションが生まれるため、会社の風通しも良くなります。

OKRを進める上でのポイント

成功させるポイントは、継続と繰り返しにあります。

失敗の可能性も考える

目的は社員全員で同じ方向を向くことにあるため、たとえ失敗したとしても再挑戦するために、設定し直すことができます。OKRを導入したものの、目標と成果指標の設定・見直し・更新のサイクルが上手く回らなかったという場合は、設定のしかたを再チャレンジすべきです。

OKRの決め方を確認するときの指針として、知っておきたいのが「S.M.A.R.T」です。

  • S(Specific:具体的)- 内容が具体的であること
  • M(Measurable:測定可能)‐計測可能であること
  • A(Attainable:達成可能)- なんとか達成可能なレベルであること
  • R(Relevant:関連性)‐会社・部門・個人のOKRが関連していること
  • T(Time-bound:期限)‐期限があること

OKRのサイクルに課題を抱えている場合は、これらの指標に沿って目標・成果が設定できているかを再度見直します。

継続できるようにする

OKRでは、チーム間・個人間を問わずコミュニケーションを重視します。進捗確認の機会を定期的に設ける他、わざわざミーティングを開催しなくても、日頃から進捗状況について口にすることで、こまめな確認を行います。これにより、OKRの設定・確認・見直しというサイクルを回し続け、継続していくことに繋がります。

OKRの意義を社員が意識しているかどうかも、継続に重要です。社員やチームの目標への意識を高めるために、週1回のウィンセッションを導入するのも良いでしょう。セッションは、各メンバーが目標の進捗を共有する場であり、どんな小さなことでも良いので必ず全員が発表することが大切です。

さらに、できなかったことを指摘したり避難したりするのではなく、できたことにフォーカスします。発表に対して全員で褒め合い、モチベーションを高めていくことがこのセッションの目的です。

まとめ

組織の目標と社員の目標の不一致をなくし、会社へのエンゲージメントを高める目標管理方法「OKR(オー・ケー・アール)」について、意味や目的、進め方を紹介しました。

自社に取り入れる場合は、他の目標管理法と違う特徴や注意点をよく踏まえた上で導入を検討する必要があります。また、OKRをうまく回していくためには、進捗の可視化をするための定例ミーティングや、社員のモチベーションを高める成果発表の場なども必要です。

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