OKRにおける成果指標とは?設定のポイントも解説

 2021.02.22  2022.08.10

グローバルな成長企業が次々と導入していることで注目を集めている「OKR」。OKRは、従来の目標管理方法とは一線を画すもので、短期間で社員のパフォーマンスを引き上げたい場合に有用です。本記事では、「自社にもOKRを導入したいけれど、今ひとつやり方がわからない」という企業担当者に向けて、OKRの成果指標とその設定方法について解説します。

OKRにおける成果指標とは?設定のポイントも解説

OKRとは

「OKR」とは「Objectives and Key Results」の略で、目標設定・管理手法のひとつです。目標(Objectives)と、それに紐づく主要な成果指標(Key Results)を設定し、成果を評価していく仕組みをとります。

OKRには、従来の手法とは大きく異なる3つの特徴があります。

1つ目は、企業・部門・個人の目標を連動させ、関係性を明確にする仕組みです。OKRの仕組みを図解すると、「組織全体のOKR」の下に「部門のOKR」、さらにその下に「個人のOKR」が紐づけられ、一見するとツリー状の図になります。

このようにツリー状に連動させることで、自社が今何を重視しているのかを全社員で共有できるのです。結果的に、企業の目標と社員個人の行動とを結びつけられる、という利点があります。

2つ目は、目標サイクルの短さです。OKRでは、1~3ヶ月ほどの短い期間で達成できる目標の設定と、こまめなレビュー・評価の実施が推奨されています。短いスパンでの管理によって、柔軟な見直しや迅速な展開、組織内のコミュニケーション活性化が促進されます。

3つ目は、個人の報酬には影響しない点です。OKRは、あくまで企業の目標を達成して業績を伸ばすための仕組みであり、報酬制度とは切り分けて管理されます。「MBO(Management By Objective)」のように報酬を決定するための評価軸になると、あえて達成可能な低い目標設定に甘んじる社員が出現してしまうためです。

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OKRにおける成果指標とは

OKRの概要を理解したところで、ここからは成果指標(KR)について詳しく解説していきます。OKRの成果指標には、2つの役割があります。

まず、目標に至るための指標としての役割です。目標を設定しても、達成までの道のりがわかりにくいと、芳しい進捗は期待できません。目標を達成するための象徴的な行動を成果指標として設定し、実践に移せば、自然と進捗していくはずです。

また成果指標は、第三者が達成度合いを測るための指標としての役割も持ちます。OKRの目標には、社員のやる気をかき立てるために、「定性的なもの」がふさわしいとされています。

そのため、目標の達成度合いだけで客観的に評価するのは困難です。そこに具体的な行動や成果を示す指標があれば、目標達成に至るまでのプロセスも含めて、成果の実態をつかむことが可能となります。

OKRにおける成果指標の例

それでは、成果指標として考えられる具体例を見ていきましょう。

詳しくは後述しますが、OKRの成果指標には、定量的・客観的に評価できるものがふさわしいとされています。成果指標に設定されることが多いのは、「売上」「顧客獲得数」「顧客満足度」「契約数」「リピート率」などです。

例えば、「3年以外に業界トップシェアを獲得する」ことを企業の目標に設定する場合、「製品認知度」「利益率」「リピート率」などが成果指標として紐づけられます。

またOKRは、担当業務を数値化しにくい間接部門にも活用できる仕組みです。成果指標に設定可能なものは幅広く、「目標採用人数」「コスト削減率」「平均残業時間の短縮」「サイトの訪問者数・滞在時間」なども、部門や個人の成果指標になり得ます。

OKRにおいて成果指標を設定するときのポイント

OKRをうまく機能させるためには、成果指標の合理性が重要です。ここでは、合理的な成果指標にするための4つのポイントについて、順番にご説明します。

目標につながるものを設定

当たり前のことですが、目標達成へと導くような成果指標でなくては意味がありません。目標達成した後の、部署や会社全体の姿を明確にイメージできる、具体的な指標を設定しましょう。

OKRでは、定期的なレビュー・見直しが推奨されています。1人や少数だけで決めるのではなく、マネージメントなど外からのアドバイスも受けつつ、適宜修正していきましょう。

また、達成に必要な要素がすべて成果指標に織り込まれていることも大切です。期待通りの成果が出ていない場合は、成果指標に抜け漏れがある可能性も考えられます。詳しくは後述しますが、OKRではひとつの目標に対して複数の成果指標を設け、進捗を図っていくのが基本です。

数値化できるものを設定

先述した通り、OKRの目標としては、「社員がぜひ達成したいと思えるようなワクワクするもの」や、チャレンジングなものがふさわしいとされています。その分、成果指標については数値で把握・測定可能なものにして、周囲や評価者と進捗状況についての共通認識を持てるようにする必要があります。

営業部門の成果指標としてふさわしいのは、「1人当たりの売上高を前年比○○%アップ」「新規顧客を○○件獲得」などのように数値化でき、なおかつ客観性のある指標です。悪い例は「1人当たりの売上高を上げる」「新規顧客」など、数値化不可能な漠然とした指標です。間接部門においても、前述の一例を参考にして、定量化できる指標を設定しましょう。

数値化する際の注意点は、「○○を3つ行う」など、行動ベースの成果指標にならないようにすることです。行動ベースにすると、行動そのものが目的にすり替わってしまいやすくなります。OKRで求められているのは、「企業や商品の評判を上げる」ための行動、つまり価値ベースの成果指標です。

難易度を意識して設定

MBOや「KPI(Key Performance Indicator)」と異なり、OKRでは100%の達成を前提としていません。最大限努力すれば達成できるくらいの負荷がかかる、達成率60~70%程度の目標と成果指標を設定するのが基本です。あえて100%を求めず、さらに報酬制度とも切り離すことで、より大胆で挑戦しがいのある目標を設定できます。

ただし、あまりに無防備な目標では、途中で苦しくなってしまい、かえってパフォーマンスの低下を招きかねません。個人の能力や部門規模なども踏まえ、難しすぎず簡単すぎないレベルを意識しましょう。

また、目標管理においては、「いつまでにこの数値を達成するか」という期限の設定も重要です。1~3ヶ月という短い期間で達成可能かどうかも勘案しながら、難易度を設定していきましょう。

複数の指標を設定

OKRでは、目標に対しては複数の指標を設定します。明確な決まりはありませんが、目標に対して3つの成果指標を設定するのが基本形です。目標達成にはさまざまな要素を含めるほうがよいとされていますが、4~5個もあるとフォローが大変です。

成果指標に振り回されて、社員が本来の能力を発揮できなくなる可能性が高く、結果的に中途半端な達成に終わってしまうかもしれません。

かといって、1個や2個では達成に必要な要素が抜け漏れてしまい、これまた目標達成が遠のいてしまうでしょう。2つのうちひとつを達成できなかっただけで、達成率が50%に下がってしまう点も問題です。従って、ひとつの目標に対して3つ程度の成果指標を設定するのが、もっともバランスがよいと言えます。

その他OKR全体に関して押さえておきたいこと

ここまで、主に成果指標の役割と設定方法について説明してきました。最後に、OKR全体における注意点についても触れておきましょう。全体に関して、押さえておきたいポイントは以下の2点です。

組織内のOKR間の関係

OKRの設定には順番があり、まず組織全体のものから設定していきます。組織全体のOKRは、その下に紐づく部署や、個人のOKRの指針となります。

組織全体のOKRに曖昧な点があると、部門や個人のOKRまで総崩れ状態になりかねません。また、組織全体で複数の目標があると、社員の方向性も分散してしまいます。時間をかけて練りこみ、最終的にひとつに絞りましょう。その際、経営陣がトップダウンで従わせるのではなく、各部門の現状や意見を反映させたり、全社員からアイデアを募集したりするなど、現場からの視点も取り入れていくのが理想的です。

組織全体のOKRが設定できたら、それをもとに下位の部署や個人のOKRを設定していきます。全体をリンクさせることで、企業のビジョンと社員一人ひとりの行動との整合性が取れ、全社一丸となって企業の目標達成に向かっていける強い組織を構築できます。自分の行動が企業にどのように貢献しているかを明確にしてあげることは、社員の士気向上に効果的です。

設定後の確認や振り返り

OKRは設定して終わりではなく、定期的に確認や振り返りをすることも重要です。チャレンジングな目標を達成するためには、上司からのフォローや社員同士の連携も欠かせません。短時間でもよいので、週次を目安にレビューを実施しましょう。レビューでは、進捗状況や本人の手ごたえなどを確認し、うまくいっていない場合には、課題や阻害要因の洗い出しを行います。

組織全体や部門目標とのズレ、成果指標が足りていないなどの問題が見つかったら、すぐに修正しましょう。また、小さな進捗でもよいので、チームでそれぞれの成果を報告し合い、サポートや連携の強化を図っていくことも大事です。設定期間が過ぎたら、評価結果を速やかにフィードバックしましょう。そして、共有された課題を次回のOKR設定に活かし、サイクルを回していきます。

まとめ

OKRは目標管理スパンが短く、こまめな確認・評価が必要です。組織の目標と個人の行動を連動させるため、設定の難易度も高くなる傾向にあります。すなわち、OKRの導入・定着には、部署やチームを管理するマネージメントの関与が不可欠です。しかし当然、彼らへの負担軽減にも配慮しなければなりません。その解決策のひとつが、管理ツールの活用です。

Asana」のゴール機能を使えば、組織全体の目標設定と個人のタスクを容易に紐づけることが可能です。優先度の明確化・進捗状況の確認・目標達成の評価までを一元管理すれば、マネージメントの負担を大幅に軽減できるでしょう。ツール上での管理は、成果の共有やスケジュール管理にも役立ちます。Asanaのゴール機能でOKRを効果的に運用し、ぜひ自社の目標達成に活かしてください。

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