生産性向上とは?企業が実践できる7つのこと

 2020.04.14  2022.02.17

WORK INNOVATION SUMMIT 24

競争の激しいビジネス環境のなかで、多くの企業が「生産性向上」に向けていろいろな施策を検討あるいは実行しています。企業や組織において、従業員を管理する立場にある人は日々試行錯誤していることでしょう。本記事では、生産性向上の定義を整理したうえで、そのメリットや実行に際してポイントとなる考え方と施策を紹介します。

生産性向上とは?企業が実践できる7つのこと

生産性向上とは

世間でもよく言われる「生産性向上」ですが、最初にこの言葉について整理してみましょう。

生産性向上の意味

生産性向上という言葉を分解すると、「生産性」と「向上」に分けられます。このうち、「生産性」は以下の数式で表すことができます。

生産性 = 生み出された成果 / 投入された資源

つまり、企業が投入した人材やお金、設備などのモノを総合した経営資源に対して、どれだけの成果を得ることができたかを表す指標です。数式から考えると、成果を大きくするか、投入する資源を減らすことで生産性を向上させることができます。もう少しまとめると、「より小さいインプットでより大きいアウトプットを出すこと」が生産性向上です。

似たような言葉として「業務効率化」があります。しかし、こちらは先ほどの数式でいえば分母の「投入される資源」にフォーカスしており、作業者の非効率的な業務を減らすことでコストを削減します。極端にいえば、成果が小さくなったとしても資源を効率化できていれば「業務効率化」といえます。

生産性向上がもたらすメリット

では、生産性を高めることでどんなメリットがあるのでしょうか。まず、企業全体の競争力を高めることが可能です。インターネットの発達などを背景として情報格差がなくなり、サービスや商品、機能面だけでは差別化が難しくなっています。IT企業が自動運転のサービスへ参入するなど、業界間のカベを超えた競争が生じています。つまり、競争が激しいビジネス環境になっているのです。この環境のもと、大きな差別化要因となるのが「価格」です。さまざまな企業が、コスト優位を保とうと生産性向上を目指しています。

また、特に日本は少子高齢化を背景とした人口減少に向かうとされています。産業界でも、人手不足が年々顕著になってきており、その対応が急務になっています。ロボットやRPAなどの導入も広がりつつありますが、従来は人の手で行っていた業務をこれらのツールに切り替え、自動化することで人手不足への対応も可能です。

生産性向上の取り組みで考えるポイント

多くの企業が生産性向上に向けた取り組みをしていますが、そのうえで注意するべきポイントについて以下で解説します。

目的の明確化

生産性向上に限ったことではありませんが、まずは施策を行う「目的」を明確にする必要があります。漠然と生産性向上を掲げても、具体的かつ効果的な行動に落とし込むことができず、何となく実行し、何となく効果測定をすることになりかねません。どんな業務で生産性を向上させ、どんな成果に結び付けたいかをリーダーやメンバーで具体的に検討するとよいでしょう。

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現状の把握

生産性を向上させる目的を明確にできたら、その具体的な目標を立てることが次のステップになります。そのためには、まず現状がどうなっているかを把握することが大切です。目標に対して、どの部分がどれだけ足りていないかを明確にしましょう。これにより、改善するべきポイントを絞り、必要な施策を効果的に実行できます。

無駄の削減

現状をしっかりと把握できれば、自ずと無駄になっている業務も明確にすることができるでしょう。無駄な業務を減らせば、その分のコストが浮き、必要な部分に割り当てることも可能です。

たとえば、業務のマニュアルを作成すれば、わざわざ人が対面で教えなくてよい業務はマニュアルに任せ、指導する人は都度部下や後輩に直接教えなくてもよいので、より生産性の高い業務に集中できます。最初は手間がかかりますが、トータルで見ればマニュアルで均一化すると生産性が向上します。

また、業務の段取りとして期限を明確にすることも大切です。期限があれば、そこに向けて不要な業務を削るなど各従業員の生産性に対する意識も高まるでしょう。

情報の可視化

業務マニュアルの話にも通じますが、仕事や会社に関する情報を可視化・共有することは生産性向上につながります。情報がオープンになることで、メンバー間で不要な確認作業やコミュニケーションを行うことを防げます。各従業員やその上位概念であるチームや会社全体の情報を把握することで、そのなかで個人の業務に主体的に落とし込む効果も期待できます。組織内で情報を可視化するツールはいろいろと生まれていますが、あらかじめ情報をオープンにしておくことでも生産性は向上するのです。

環境の整備

チームや会社としての環境を整備することも大切です。具体的には、業務を遂行するうえで必要なさまざまな相談を気軽に行いやすい雰囲気をつくり上げることなどです。メンバー同士、あるいは上司に気軽に相談できる環境を整えることで、未然にミスなどを防ぐことも可能です。手戻りも減り、生産性向上につながります。

社員のスキル・意欲向上

各個人レベルの生産性でいえば、各々のスキルやモチベーションを高めることも重要です。コミュニケーションをはじめ、チームとしての生産性向上も大事ですが、各個人のパフォーマンスの総和がチームとしての成果でもあるので、個々の生産性向上も欠かせません。そのために、従業員のスキルを向上させるプログラムを組んだり、モチベーションを高めるような評価制度を構築したり、といったことが必要になってきます。

生産性向上のために企業が実践できる7つのこと

次に、企業が生産性向上のために実践できる7つの例をご紹介します。

業務の外注

企業の活動には多様な業務がありますが、その全てがコアな業務であるとは限りません。特に、直接的に企業の売上につながらない業務はアウトソースするのも生産性向上に効果的です。たとえば、総務や経理など、企業にとって必須ではあるものの直接売上に影響のない業務が当てはまります。自社のコアな技術や業務を整理し、周辺業務は必要に応じて外注することで、社員はコアな業務に集中して取り組み、結果的に生産性が向上します。

ツールやシステムの導入

デジタルな技術が発達し、企業のさまざまな活動を支えるITツールやシステムが多くの会社によって開発されています。ルーティン化できる業務などでこれらのツールを活用するのも効果的です。効率化したい業務内容をインターネットで検索すると、いろいろなツールが表示されます。従業員が手間をかけて行わなくても、ITツールで代替可能な業務範囲も広がっているので、積極的に活用するとよいでしょう。

人材配置の工夫

人はそれぞれ強みと弱みがあり、各従業員の強みをうまく組み合わせることで、組織全体の生産性が高まります。そのために重要なのが「人材配置」です。生産性向上に向けて、現在の人材配置が各従業員のスキルやモチベーションにマッチしているかを再確認するのも有効です。各メンバーからのヒアリングも貴重な情報になります。必要に応じて、適材適所な人材配置に組み替えましょう。

労働環境の改善

生産性向上において、各従業員のモチベーションを高めることが大切ですが、そのためには労働環境の改善が効果的です。特に、長時間労働は従業員のモチベーション低下に大きく影響し、結果的に生産性を下げる要因になります。賃金なども含め、多面的に労働環境を整備していくことが必要です。

社員の研修

考えるポイントでも触れたように、従業員のスキルやモチベーションをはじめとしたパフォーマンスに関わる部分を高めることが生産性向上に大きく寄与します。個人単位でスキルを磨き、業務効率が上がればチーム単位では大きく生産性が高まります。そのためには、定期的な社員研修が有効です。各個人にスキルアップを委ねるのもよいですが、会社としてそれをバックアップしていくことも大切です。勉強会なども合わせて実施することで、従業員同士のコミュニケーションを促進するきっかけになるなど、副次的な効果も生まれるでしょう。

マニュアルの整備

企業や組織の情報を可視化するうえで、業務の「見える化」も重要です。そのときに鍵になるのがマニュアルの整備です。生産性向上を目指すには、いい意味で業務を「標準化」することが大切ですが、マニュアルがこれを可能にします。

特定の業務を行うにあたり、個人単位でやりやすいように行っていては、品質にばらつきが出たり、管理する人がそれを確認・評価しづらくなったりするため、結果として組織単位の生産性が損なわれます。マニュアルを整備し、運用することで作業品質のばらつきを抑えることができるでしょう。

また、マニュアルを作成するということは業務内容を明確に言語化することを意味します。その過程で、実は非効率だった作業などを特定できる可能性もあります。最初は手間がかかりますが、その過程で業務自体を効率化できる可能性があり、マニュアルを運用することで中長期的にチーム全体の生産性向上を図ることができるのです。

助成金・補助金の活用

生産性を向上するには、場合によってはツールなどへの投資が必要になります。ツールに限らず、生産性向上に向けた投資は一定の費用が必要になるでしょう。企業によっては、その予算を割けない場合もありますが、国や地方公共団体による助成金や補助金の制度があります。

国からは、要件を満たすことで「業務改善助成金」や「人材開発支援助成金」の助成を受けられ、人材育成などの費用を軽減可能です。業務改善助成金は、設備投資などで生産性が向上し、その結果賃金を引き上げた際に受け取ることができます。人材開発支援助成金は、生産性向上のための職業訓練などの実施を補助してくれる助成金です。地方においても、自治体によって異なりますが同様の補助金制度があるので、確認してみるとよいでしょう。

まとめ

組織の生産性向上には、個人単位でのパフォーマンスアップと組織全体での効率化の両面が大切です。それぞれについて、まずは現状を把握して改善すべきポイントを明確にします。そのうえで、従業員のスキルやモチベーションアップ、あるいは組織全体の業務効率化や情報の可視化など、必要な施策を実行するとよいでしょう。

生産性向上のためのたった5つの施策

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