中小企業がテレワークに移行すべき5つの理由とは?課題や解決策も紹介

 2021.02.16  2022.09.07

WORK INNOVATION SUMMIT 24

近年、大企業では普及しているテレワークですが、なかなか導入に踏み切れない中小企業も多いことでしょう。そこでこの記事では、中小企に向けて、テレワークの基本情報や中小企業がテレワークを導入するメリット、そして実際にテレワークを導入する際に注意すべき課題とその解決策について解説します。

中小企業がテレワークに移行すべき5つの理由とは?課題や解決策も紹介

テレワークとは

テレワークとは、英語で「遠い」という意味を持つテレ(tele)と、「仕事」を指すワーク(work)を組み合わせた造語です。具体的には、情報通信技術(ICT)を利用した、場所や時間にとらわれない仕事のスタイルを意味します。

テレワークといえば、社員が自宅で仕事をする「在宅勤務」がまず連想されますが、移動中や外出先で働く「モバイルワーク」や、本拠から離れたオフィスで業務を行う「サテライトオフィス勤務」といったものもテレワークに含まれます。

場所を問わずに仕事ができるテレワークは、現在、政府が推進している「働き方改革」とも密接に関連しており、働き方の多様化を担う方法のひとつとして注目を集めています。

中小企業がテレワークに移行すべき5つの理由

現状、テレワークの導入率は中小企業よりも大企業の方が進んでいますが、テレワークによる恩恵はむしろ中小企業にこそ大きなものがあります。以下では、中小企業がテレワークに移行すべき理由について解説していきましょう。

生産性向上

リソースが潤沢ではない中小企業にとって生産性の向上は重要な課題であり、テレワークの導入はこの点において企業に新たな可能性を与えます。例えば満員電車ひとつをとっても、テレワークを導入することで従業員のストレス解消につながります。

テレワークによる移動時間の削減は、在宅勤務の難しい外回り営業にすら、恩恵を与えます。オフィスへの出退勤はもちろん、営業の合間に自社オフィスへ立ち寄る必要までなくすことで、よりフレキシブルな時間活用へつながるのです。こうしたテレワーク独自の、効率的な営業活動が可能になるでしょう。

加えて、テレワークの導入を機に、紙の書類で行っていた申請・承認プロセスを、オンラインツールで完結するように切り替えた企業も増えています。こうしたブラックボックスになっていた業務の見直しを行い、各従業員の業務内容や業務量の可視化が進むことによって、より効率的な業務運営が可能となり、結果として生産性向上にも寄与するのです。

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人材確保

テレワークの活用は、中小企業が苦心する人材確保においてもプラスに働きます。場所や時間にとらわれないテレワークを導入することによって、遠方に住んでいる、家庭の事情などで出社が難しい、といった理由で働けない優秀な人材も、会社へ迎え入れやすくなります。もちろん、これは労働者側にとってもメリットです。

企業がテレワークの活用によって柔軟な働き方を提案・実践していることは、企業・従業員双方に良影響を及ぼすでしょう。そしてそうした企業のスタンスをアピールすれば、就職市場において、強力なセールスポイントになるのです。

また、出産や育児、介護などの事情で、これまでの勤務形態では離職せざるをえなかった従業員も、テレワークでならば働き続けられるかもしれません。テレワーク環境を整えることで、結果的に離職率まで低下するのです。

事業継続対策

テレワークの導入は、非常時における事業の継続対策(BCP対策)に通じるものでもあります。それは2020年以降の新型コロナウイルス流行によって、まさに社会全体で共有されたことです。新型コロナウイルスの感染対策として、政府・行政は企業にテレワークの積極的な活用を広く呼びかけています。

感染症対策に限らず、大地震や例年の台風被害のような自然災害が起きた場合も、テレワークは続行可能なケースが多いでしょう。つまり、出社すら難しいような状況でも、従業員の安全性を確保しつつ、事業継続を図れるようになるのです。

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このようにテレワークは非常時においても役立ちます。しかし注意したいのは、緊急時になってから導入しても、すぐにはその効果を発揮できないということです。

テレワークを活用するには、基本的に社内のデータやシステムを外部からアクセスできる状態にする必要があり、その際には従来よりも厳格なセキュリティや情報管理が求められます。また、従業員側にテレワークのノウハウがない場合、すぐに使いこなすことも難しいでしょう。
つまり、大企業に比べて資金的な体力が心許ない中小企業だからこそ、有事に備えたリスクマネージメントとして、平常時からテレワークの活用を段階的に進めておくべきなのです。

費用削減

中小企業にとっては、事業における無駄なコストの削減は最重要課題のひとつといってもよいでしょう。テレワークの導入は、このコストカットにおいても企業に利益をもたらすことが期待できます。

例えば、テレワークによって従業員の出社が最低限に抑えられるとしたら、オフィス規模の縮小や移転も視野に入れられます。また、テレワークの積極的活用は付随的に業務のデジタル化も伴いますので、紙資料の印刷や保管に関する各種コストも削減されるでしょう。もちろん、従業員の通勤費などに対する支払いもカットが可能です。このように、移動費・家賃など、固定費を削減できることは、大きなメリットです。

助成金・補助金

上記で、テレワークの活用によるコストカットの可能性について述べましたが、「テレワークの導入それ自体にもコストがかかるではないか」という指摘もあることでしょう。

とはいえ、テレワークに必要なのは、クラウド型サービスが中心なので、初期投資や月々のランニングコストは低く抑えることが可能です。さらに活用すべきは、中小企業にはテレワークに関連した助成金や補助金があることです。

例えば、その一例として、「働き方改革推進支援助成金」や「IT導入補助金」が挙げられます。自社に合った支援制度を見つけるときには、「日本テレワーク協会」のサイトにある、「テレワークに関する助成・補助」ページを参考にするのがおすすめです。

現在、日本は行政機構を含めて「働き方改革」に注力しており、中小企業に対する支援制度も充実してきています。この機会をチャンスと捉え、行政の支援制度を有効活用して、テレワークに必要なツールを導入してみてはいかがでしょうか。

中小企業のテレワーク移行で考えられる課題と解決策

実際に企業がテレワークへ移行するにあたっては、どのような課題が考えられるでしょうか。以下では、テレワークの導入において企業が注意すべき点と、その解決策について簡単に解説します。

業務に関する課題

テレワークはさまざまな恩恵がある業務形態ですが、業務内容を鑑みてテレワークを取り入れにくい仕事もあります。例えば、接客業、製造業、運送業、建設業、福祉・医療関係など、現場あるいは対面で直接業務を行うことが必須な職種は数多くあります。

とはいえ、このような現場の従事者とは別に、事務員などバックオフィスで働いている人員がいるならば、部分的なテレワーク化は可能です。つまり、社内全体でテレワークに移行するのではなく、テレワークができる業務を整理し、そこだけ部分的に移行するというのも選択肢のひとつです。

運用に関する課題

テレワークを導入することで、人によっては対人ストレスの軽減がメリットとしてありますが、その反面、従業員間の業務上必要なコミュニケーションまで損なわれてしまうことも考えられます。こうした事柄は、適切な人事評価や勤怠管理などの問題にも発展しえます。つまり、職場で直接従業員の働きぶりを確認できないことにより、上司による適切な人事評価や人材育成が滞ってしまう可能性があるのです。

こうした問題に対して、ITツール導入や社内制度の整備などで、事前に準備しておくことが重要です。部下から業務についての質問や報告をスムーズに受けられるように、「ビジネスチャットツール」や「Web会議システム」を利用することもそのひとつでしょう。

例えば、Asana社のリモートツールなら、リアルタイムのコミュニケーションを可能にするだけでなく、ファイル共有やタスク管理などの機能も備えています。テレワークを導入する際、管理者はこうした機能をフル活用し、業務の進捗状況を適宜確認するとよいでしょう。

とはいえ、ここで注意したいのは、こうしたコミュニケーションツールの利用にあたっては事前のルール設定が重要であるということです。チャットはその手軽さや即応性が大きな特長である反面、業務時間外でもすぐに返信しなければならないなどといったストレスも生まれます。まずは「業務時間外のチャットは控える」、「報告・相談事項は内容をまとめて送る」など、大枠のルールを決め、あとは社内状況に合わせて細目を決めていくとよいでしょう。

コストに関する課題

上記のビジネスチャットツールやWeb会議システムをはじめ、テレワーク環境の整備やそれに合わせた体制を構築するためには、新たなコストがかかります。

とはいえ、テレワークに必要な最低限のツールはそれほど高額なものではありません。まずは自社にとって必要なツールや機能がなにかをきちんと分析しましょう。それに基づいて、複数の製品からコストパフォーマンスに優れたものを選択するとよいでしょう。加えて、前述した行政の提供する助成・補助金制度を利用するのもおすすめです。

なお、「日本テレワーク協会」は、中小企業におすすめのテレワーク製品を一覧で紹介しています。そこにはテレワーク導入に必要な初期費用や、導入にかかる工程期間なども記載されています。なかには、初期費用がかからない製品・安価な製品もあるため、ぜひ参考にしてみてはいかがでしょうか。

セキュリティに関する課題

テレワークの実施にあたっては、社内システムや各種データをネットワーク上で取り扱う機会が急増することが予測されます。また、各従業員は上司の目が届かない場所から業務を行うことになるため、情報管理におけるセキュリティリスク増大も危惧されるでしょう。

例えば、いわゆるコンピュータウイルスであるマルウェアの感染や、ネットワークの不正傍受・盗聴などの外部攻撃が想定されます。加えて、従業員の不注意によって、業務用の端末や書類の紛失が起きることも、考えておかなければなりません。

こうした懸念に対処するには、「技術的なセキュリティ対策」「業務ルールの整備」「従業員のセキュリティ意識の向上」を、余念なく行うことが必要です。

技術的なセキュリティ対策としては、重要なデータに関してはアクセス権限を設定したり、暗号化通信を用いたり、セキュリティ対策ソフトを導入したりするのがよいでしょう。

業務ルールの整備については、情報の持ち出しの可否や、業務に使用するツール、メール開封時の諸注意などを、あらかじめルールとして定めておくことが必要です。

そして、なぜこうした措置が必要なのか、そのリスクについて周知徹底し従業員の意識向上を同時に図りましょう。ルールをいくら定めても、従業員側にそれを遵守する意識が乏しければ意味がありません。セキュリティに関する外部研修やセミナーを利用することも有効でしょう。

総務省では、「テレワークのセキュリティあんしん無料相談窓口」を設置しているほか、「テレワークセキュリティガイドライン」を公表しています。テレワーク環境においても情報セキュリティを万全にするため、ぜひこうした情報を参考にすることをおすすめします。

まとめ

中小企業がテレワークを活用するメリットや、導入において注意すべきポイントとその解決策について解説しました。

新型コロナウイルスの流行によって導入が拡大しているテレワークですが、労働者にとっては新たな「ワーク・ライフ・バランス」を、企業にとっては新たな事業形態の可能性を提案するものでもあります。

すぐに完全なテレワーク化へ転換することは難しいとしても、例えば「Asana」のようなリモートツールを業務管理に取り入れ、各従業員の業務を可視化することから開始してみましょう。その語、段階的に業務のデジタル化を進めていった先に、「テレワーク」という新たなワークスタイルが待っています。まずはできるところから、少しずつテレワークへの転換を進めてみてはいかがでしょうか。

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