働き方改革の計測に重要な改善指標について

 2021.02.17  2022.09.07

企業が働き方改革を推進するにあたり、まずやるべきことは実態の把握です。社員がどれくらい働いているのか、何を改善すべきかなどがわからないと、取り組みを始められません。そこで活用したいのが、厚生労働省が発表した「働き方・休み方改善指標」です。本記事では、働き方改革における改善指標の重要性や、具体例を紹介します。

働き方改革の計測に重要な改善指標について

そもそも働き方改革とは

「働く人々が、多様で柔軟な働き方を自ら選べる世界を実現すること」が働き方改革の目的とするところです。これは政府が打ち出した施策のひとつであり、すでに働き方改革関連法が2019年4月1日に施行されています。

国が働き方改革を推進しようとする理由は、少子高齢化に伴う労働力の不足です。現代日本では少子高齢化が進み、人口も減少しつつあります。人口減少に伴い、労働力が将来的に不足するのは目に見えており、このままでは国力自体まで低下してしまう恐れがあります。

こうした事態を打破するため、国は働き方改革を打ち出しました。多様で柔軟な働き方を受け入れる社会になれば、あらゆる層の方が労働力として活躍できるからです。例えば、企業がテレワークを導入すれば、高齢者や障害者などの通勤困難者、子育てをしているシングルマザーも労働力として確保できます。

また、労働生産性を高めることも、働き方改革の狙いです。労働力が減少の一途をたどる中、生産性を高めることこそ経済成長の実現につながります。生産性を高めるには、社員が満足して働ける環境づくりが欠かせません。

例えば、長時間労働や残業が慢性化している企業の場合、社員の満足度は低下している可能性があります。さらに、休みも満足にとれないような状況では、心身ともに疲弊し、生産性の低下につながるでしょう。

こうした問題を解決することも、働き方改革の目的と言えるでしょう。

働き方改革の計測における改善指標の重要性

現状における実態や課題を把握するためには、改善指標が役立ちます。「働き方改革を成功させ、生産性を向上させよう」との意気込みはあっても、現状をきちんと把握できていないと、何から手をつけてよいのかがわかりません。

実態を調査することにより、初めて課題が明らかになるのです。闇雲に取り組みを始めてしまうと、意味のないことをしてしまったり、二度手間になったりする恐れがあります。「現状において何が問題なのか」「どこを改善すればよいのか」「必要な制度は何なのか」といったことを明確にしなければ、具体的な施策を打ち出せません。

厚生労働省が発表した改善指標は、上記のような問題を解決する手立てとして有用です。数値で実態を把握し、取り組むべき課題がきちんと見えてくるのです。実態や課題を可視化することを足掛かりに、具体的な施策の立案も可能となっていくでしょう。

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改善指標がなくとも、社員が働きやすい職場をつくり、満足度を高めることは可能かもしれません。しかし、実現するまでには、かなりの時間を要することも考えられます。効率よく働き方改革を進めるには、改善指標で問題を可視化し、課題を把握したうえで進めなくてはなりません。

働き方改革に関連する改善指標の例

働き方改革を進めるための改善指標には、長時間労働や有給休暇取得、生産性、働き方などがあります。これらの指標をうまく活用すれば、短期間で自社の状況を正確に把握することも不可能ではありません。以下では、それぞれの指標について詳しく見ていきましょう。

長時間労働に関する指標

働き方改革を成功させるにあたり、社員の長時間労働を削減することは大切なポイントです。長時間労働に関する指標では、どれくらいの社員が長時間労働を行っているのかを把握できます。

例えば、「週の労働時間〇〇時間」「時間外労働〇〇時間」などの人数や割合を把握可能となります。具体的にどれくらいの社員が長時間労働を行っているのかを明確化することで、その改善案を作成したり、議論したりできるでしょう。

有給休暇取得に関する指標

有給休暇は、労働者に与えられた権利のひとつです。雇用形態に関わらず一定の条件をクリアすれば、すべての労働者に付与されます。しかし、労働者に与えられた正当な権利であるにも関わらず、「職場に迷惑をかける」といった理由で取得しない方が多いのも事実です。

社員の満足度を高め、生産性を高めるには、きちんと有給休暇を取得できる仕組みや環境を構築せねばなりません。ただ、その前に、社員が付与された有給日数に対し、どれくらい取得しているのか現状を把握する必要があります。そこで、有給休暇取得に関する指標を用います。具体的には、年次有給休暇取得率が指標となります。

取得率が低ければ、社員が有給休暇を取得しやすくなるよう、仕組みや環境を構築するための施策を立案しなくてはなりません。

例えば「強制力のある制度を設ける」「誕生日休暇を設定する」などが挙げられます。そのほか「社内報で制度を周知させる」「ポスターやパンフレットなどを活用し、啓蒙活動を行う」といったことも大切です。

生産性に関する指標

「生産性」とは、生産にかかった人数や時間に対し、どれくらいの成果を実現できたかを示すものです。この指標として労働生産性が挙げられます。一般に、労働生産性は「成果もしくは労働者数×時間」で算出されます。

次に、実態把握で用いる指標には、「付加価値労働生産性」と「物的労働生産性」の2つが挙げられます。成果が生産量なのか、それとも付加価値なのかの違いです。

例えば、製造工場などでは物的労働生産性を指標として用い、コンサルティング業や教育業などの無形サービス業では付加価値労働生産性を用いるケースが一般的です。

働き方に関する指標

働き方に関する指標は、企業の取り組みによりさまざまなことが考えられます。働き方の改善といっても、テレワークを促進したい企業もあれば、快適に働ける職場環境を構築したいと考える会社もあるからです。

テレワークを推進したい場合は、利用者数や利用率などが指標となるでしょう。利用者数や利用率が低いのなら、その原因を追及し、利用しやすい状況を生み出す必要があります。快適に働ける職場環境を構築することを目標とする場合は、離職率や定着率などを指標にできます。

「離職率が高く・定着率が低い」なら、何かしらの理由があると考えられます。例えば「給料が低すぎる」「福利厚生が充実していない」「休暇がとれない」などです。離職率の高さが把握できたら、理由を細分化して分析し、しかるべき対応をしなくてはなりません。具体的には、給料や福利厚生など待遇面の見直しや、職場環境の改善などが挙げられます。

厚生労働省の「働き方・休み方改善指標」について

厚生労働省が発表した「働き方・休み方改善指標」は、自社の実態や課題の把握に役立ちます。これから働き方改革へ本格的に着手しようと考えている企業は、ぜひ活用してみましょう。

まずは、厚生労働省の「働き方・休み方改善ポータルサイト」へアクセスしてみましょう。トップページには、「働き方・休み方改善指標の活用方法」のPDFファイルへアクセスできるリンクが設置されています。

レーダーチャートやチェックリストを用いた診断を経て、改善のための取り組み提案までなされます。まずこちらへ目を通しましょう。

なお、厚生労働省の同サイト上から、自己診断も可能です。[企業向け自己診断スタート]をクリックし、指示に従いながら進めることで、現状把握や仕組み、取り組みの有無を確認できます。企業全体の診断はもちろん、特定の部署のみを対象とした診断も可能です。

まとめ

働き方改革を推進するにあたり、まず企業がすべきは現状や課題の把握です。長時間労働や有給休暇取得、生産性、働き方などの改善指標を用いて、現状把握をしたうえで取り組みを始めてください。その際、今回紹介した厚生労働省のポータルサイトを利用すれば、短時間で簡単に現状把握ができるのでおすすめです。

現状が把握できたら、業務管理ツールの導入も併せて検討してみましょう。「Asana」は、業務の進捗やタスク管理などを可視化できる、ワークマネージメントツールです。導入企業の生産性が平均約40%向上したとのデータもあるため、働き方改革を推進するうえで頼れるツールと言えるでしょう。

ひとつのツールでタスク管理や進捗状況のチェック、コミュニケーションなどあらゆることが可能。Microsoftをはじめ、他社のさまざまなツールとも、連携できます。75,000社以上に導入された実績もあり、信頼性の高さも抜群です。この機会にぜひ、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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