「仕事のための仕事」にすべての元凶がある⑦
ワークマネジメントこそ本当の「働き方改革」である

 2020.11.16  2022.12.09

ビジネスワーカーが力を発揮する環境とは何か

「仕事のための仕事」が多すぎると説明しました。
その原因は何でしょうか。
スポーツチームに例えてみます。
野球でも、サッカーでも、ラグビーでも、バレーでも何のスポーツでも構いません。あなたがそのチームのプレイヤーの1人だと仮定します。
そのとき、自分がどのポジションを担当し、どんな作戦・戦略に従って果たすべき役割を求められているかを把握せずに、いきなり試合に出場する。そんな状況がありえるでしょうか。

ビジネスワーカーが力を発揮する環境とは何か01

野球であれば、投手なのか、内野手か外野手なのかもわからない。
サッカーなら、FW か、DF かも定かではない。
それでは、試合のフィールドに立ってどうすればいいのかもわかりません。もちろん試合に勝つという目標はあると思いますが、そのために試合中にどう動くべきか、あるいはその目標のために、日頃からどういう技術を向上させ、どう努力すればいいのかに確信が持てません。
成長する環境としてありえませんよね。でも、それに近いシチュエーションこそ、日本企業のビジネスワーカーが置かれている状況なのです。

ビジネスワーカーが力を発揮する環境とは何か02

海外と違ってジョブ・ディスクリプション(職務記述書)がないため、各ビジネスワーカーが求められている役割、それに伴う権限、期待される仕事のアウトプットが明確でないと先述しました。
まさにポジションや役割が定まっていないスポーツ選手と同じではないですか。「自分の仕事は〇〇です」と明言できないビジネスワーカーは結局、仕事を振る立場の上司からの“ 頼まれ仕事” をこなし続けることになります。自分の担当する役割が明確でないから、多くの人が「仕事のための仕事」に時間を奪われてしまいます。
早急に改善する必要があります。

新しい働き方の鍵は「ワークマネジメント」にある

いえ、どうせなら改革のレベルで、働く環境全体を変えてみませんか。
ビジネスであれ、スポーツであれ、成功する組織には共通点があるのです。
チーム一丸となって協力し合っていること。
それを実現するのが、「ワークマネジメント」なのです。

新しい働き方の鍵は「ワークマネジメント」にある01

「ワークマネジメント」が適切なら、チームの生産性は劇的に上があります。
プロジェクトを計画通り遅滞なく進めるためのマネジメントを指すのではなく、日々変化するビジネスの環境に即して、より良く働くことを実現するためには、仕事そのものがうまく管理されなければいけないという概念です。
その概念をさらに現実に落とし込んで「人と人が容易に協力し合えることで、より大きなこと、より良いパフォーマンスが簡単に成し遂げられることを可能にする仕組み」をワークマネジメントとして提唱したいのです。

新しい働き方の鍵は「ワークマネジメント」にある02

昔のマネジメントであれば、組織の目標やノルマを設定し、その内容を個人に分解して割り当てて、規定の数字が達成されているかどうか、そのギャップを追求するという管理のやり方でした。
もし達成されていなければ、何らかの対処をすることまで含めて、マネージャーの仕事という時代がありました。
でも、私のいうワークマネジメントは、マネージャーだけのものではなく、誰もがより良く働くことを実現するためであるのです。
より良く働ける仕組みをつくること自体がワークマネジメントです。

新しい働き方の鍵は「ワークマネジメント」にある03

ただ「働け」とノルマや納期を設定・管理するのではなくて適切なワークマネジメントによって仕事の効率化が図れるだけでなく、チームメンバーと成果を分かち合うことができ、自分の貢献度が見え、生産性が格段に向上するのです。
ワークマネジメントに取り組めば、決して特定のメンバーが不利益になったり、特定のメンバーだけ負荷が高くなったりしません。いつも同じ仕事を任される人が固定される状況も排除できます。
なるべくメンバー全員が無駄なく、しかもお互いに効率的に助け合えるような形で、みんなの仕事を管理できるようになります。 より良く働くことを実現するために必要な“ 解” は、ワークマネジメントなのです。

新しい働き方の鍵は「ワークマネジメント」にある04

ここまで7回の連載をお読みいただき、誠にありがとうございました。
日本の働き方に疑問を呈し、その解決策として「ワークマネジメント」を提言しました。
「新しい働き方はどうあるべきか」や「ワークマネジメントの本質」ついては、11月18日から発売になる拙著『より良く働くためのワークマネジメント』に詳しく述べています。この連載は本書より再構成したものです。よろしければぜひ手に取ってみてください。

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