「仕事のための仕事」にすべての元凶がある③
上司の機嫌を取るための仕事に終始している

 2020.10.29  田村 元 Asana Japan株式会社 代表取締役 ゼネラルマネージャー

日本には上司には逆らえない環境がある

日本のビジネスワーカーの仕事の多くが“ 上司が発生元” であることを前回お話しました。
そして、多くの職場では、上司が部下の仕事の“ 評価者” になっています。
となると、あなたのパフォーマンスを測る尺度に関しては、上司から指示された仕事を何もいわずにそつなくこなしたか否かが、大きな評価対象となるのは必然でしょう。
これは健全な状態とはいえません。

日本には上司には逆らえない環境がある01

もちろん、公正な評価者であり、優秀なメンターである上司も数多くいるでしょう。
しかし、部下の立場からは、「自分に命じられた仕事が組織全体のビジネスにどう貢献しているのか」、あるいは「業績に結びついているのか」「もしかしたら単に上司の仕事の下請けなのか」といったことが定かではないのです。
自身のキャリア形成として、自分を成長に導いてもらっているのかさえ、あやふやな部分が残るのは当然です。

日本には上司には逆らえない環境がある02

日本の職場は、上司と部下の間で、閉じている要素が多すぎるのです。
仮に何年も働いて、会社の中がいろいろ見通せるようになって、上司の指示が適切ではないと気づいたとしても、指摘するのは難しい。
仕事の発生元及び指示元が上司で、評価者も上司であるなら、相手に対して「それ今、必要なんでしたっけ?そもそも全体としていつまでに何がどうなっていればOK なんですか?」と物申せる部下は、かなり少数でしょう。
結局、渋々であろうと、内心で無駄だなと思いながらでも、上司の指示に従わざるをえません。それが、上司のお勉強用の報告書であっても作成しなければならないのです。
ことによると、上司からは平気で上司自身の仕事のお手伝いが降ってきます。
「来週の月例会でプレゼンすることになったから、おまえらで手分けして俺にわかるように俺向けの説明資料と本番用の発表資料をつくっておけ」
なんて指示が飛んできます。

日本には上司には逆らえない環境がある03

部下の立場としては、自分の仕事を止めてでも、先にプレゼン資料に取りかからなければならない。胸の中では「発表するのはあなたでしょう。そもそも何にもわからないのになぜ務まってるの?」とブツクサいいながらでもやらなければなりません。
私の感覚では、アウトプットが伴って、何かの形で会社の目標にコントリビューション(貢献)するものが仕事です。
上司の単なる下請けや、覚えをめでたくするための活動は、上司に貢献するだけです。

上司との距離感が評価に直結してしまう

上司のさじ加減で評価が決まる職場には、ほかにも大きな弊害があります。
いわゆる“ たいこ持ち” タイプが出世してしまうのです。
ひどい場合、「コーヒーを買ってきてくれ」とか「俺は唐揚げ弁当ね」などと頼まれて、嬉々として動く人まで目にします。
それは、上司の快・不快が評価につながると思っているからの行動ですね。でも、職場の人間関係として不健全な上、会社にとって何のプラスにもなっていません。

上司との距離感が評価に直結してしまう01

海外の企業では、先述したようにジョブ・ディスクリプションがあるため、たとえ上司であっても、本来の職務から遠く離れた仕事を恒常的に部下に頼むことはありません。
また、パーソナルとビジネスは完全に別として考えます。
個人的な仲の良さにかかわらず、仕事のパフォーマンスはそれだけで純粋に測らなければいけません。評価は透明で公正であることがすごく重要です。
たとえば、よくお酒を飲みに行く部下と、いつも誘いを断る部下で、明らかにそのくらいしか差がないのに評価に違いがあれば、上司は公正性を疑われます。
むしろプライベートでも仲のいい部下に対しては、なおさら誰が見ても「非の打ちどころがない」と思われる評価をしないと、逆に「私情がある」と疑われます。

上司との距離感が評価に直結してしまう02

そもそも外資系企業のマネージャーが、部下に「コーヒーを買ってきて」なんて個人的な用件を依頼したら大変です。 度重なるようであれば、「それ、業務ですか!?」という抗議を受けたり、従業員満足度調査でパワハラ報告などの猛反撃を食らうのは必至です。
彼らは決して上司からの指示に無条件で従ったりしません。
外資系でも、パーソナルな関係性を良くするためのコミュニケーションなら、たぶん想像される以上に積極的にあります。
同僚には「誕生日おめでとう」「入社3年目おめでとう」などと祝ったり、「○○○に感謝します、ありがとう!」と表明してみんなで讃えるなどの機会はむしろ経験上、外資のほうが多くありました。
日本流の上司の機嫌を取るためだけの仕事は無駄ではないでしょうか。

仕事の混雑の原因は、上司だけではありません。次回、役職者なら経験のあるかもしれない、「自分の業務とは関係のないメール」について触れていきます。

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