業務量調査を実施するための具体的な方法とポイント

 2021.11.02  ワークマネジメント オンライン

現在、生産性の向上や働き方改革などを目的に、業務改善に取り組む企業が増えています。その際、自社の既存の業務状況を把握するために欠かせないのが、各従業員がどのような業務をどれだけ抱えているのかを可視化する業務量調査です。本記事では、業務量調査を実施するための具体的な方法とポイントを解説します。

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業務量調査とは

現在、企業の多くが生産性の向上や従業員の労働環境の改善を目的として業務改善に取り組んでいます。しかし、業務改善を実現するためには、何を改善すべきか明確化するために、既存の業務の中に存在する「ムリ・ムダ・ムラ」の3Mを発見しなければなりません。

たとえば、無茶な納期設定や一部の人に依存した業務形態は、従業員に重すぎる負担を与えており、思わぬ事故を引き起こしたり、製品やサービスの品質に悪影響が出たりするおそれがあります。また、頻繁に待ち時間が発生するなど非効率な時間の使い方をしていると、その分だけ生産性が下がってしまいます。このような問題意識の下、業務改善に取り組む企業は、まず「業務の可視化」から着手するのが一般的です。その際に特に注目すべき指標のひとつである「業務量」の調査を実施します。

すなわち、業務量調査とは、自社の業務状況を把握するために各従業員が担当している業務負担を調査する行為を意味します。この業務量調査において最初にすべき取り組みが、従業員が抱える仕事量の定量化です。たとえば、業務の「頻度」「必要時間」「必要人数」「ツール」「必要コスト」など、複数の観点から数値化する方法があります。これらの情報を明らかにするため、各人・各部署の業務プロセスをリスト化し、プロセスごとに上記の項目を埋めていきます。

そうして各従業員が担当している仕事内容やその負担を定量的に「可視化」し、「ムリ・ムダ・ムラ」がないか分析・改善することで、業務効率化や業務の属人化の解消などをしていきます。つまり、業務量調査は業務改善のために必要な準備作業にあたると言えるでしょう。

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業務量調査の方法

業務量を調査する方法としては、主に「実測法」「実績記入法」「推定比率法」の3種類が挙げられます。それぞれにメリット・デメリットが異なるので、以下を参照に自社で実施する方法をご検討ください。

実測法

実測法はその名の通り、従業員が作業している様子を直接観測したり、ITツールを用いて作業量を調べたりする調査方法です。古典的な方法としては、ひとつの作業にかかる時間を、ストップウォッチなどで計測する手法が挙げられます。

実測法は、日常的に繰り返し行う定型作業の業務量調査に向いています。また、直接観測によって業務量を計測するので、データとしての信頼性が高い点も特徴的です。ただし、従業員が「見られている」という状況下に置かれるため、意識的か無意識的かはさておき、普段よりも業務を頑張ってしまいがちです。それゆえ、実測法で得たデータが本当に普段通りの数字を反映できているのかは慎重に判断しなければなりません。

実績記入法

実績記入法は、業務量を従業員自身に報告してもらうベーシックな調査法です。この方法では、調査者側や管理職の人間が質問項目をまとめたアンケート用紙を作成・配布し、従業員に回答してもらいます。質問項目には、作業の所要時間や作業人数なども含まれます。

実績記入法も実測法も、調査内容自体は基本的に同じです。ただし、自分自身で業務量を計測して報告する形になるので、従業員の心理的負担は実測法より低い反面、自己申告制なのでデータの信頼性が低くなってしまいます。また、実績記入法では、計測する業務の一単位をどこで区切るのかが従業員によってバラバラになってしまうことがあります。それゆえ、調査を実施する前に「この業務はここからここまでの範囲を指す」など、業務ごとに定義や区分の明確化を計ることが大切です。

推定比率法

推定比率法は、業務時間全体から逆算して、個別の業務にかかった時間を推定する調査方法です。推定比率法は回答者の主観が入りやすく、回答にばらつきが出やすいという欠点があります。ただし、調査に要する手間は少なく、すぐにでも実施できるのが利点です。推定比率法は個々の従業員が回答する場合もあれば、管理職が代わりに回答する場合もあります。

業務量調査を行う際のポイント

業務量調査の方法を3種類ご紹介し、それぞれの調査方法にメリット・デメリットがあることを浮き彫りにしました。しかし、どの調査方法を選択したとしても、無思慮にいきなり業務量調査を行ってしまうと従業員に負担をかけるばかりで正しいデータが取れない可能性があります。そこで、ここでは業務量調査を実施する際の注意点についてご紹介します。

従業員に伝えるべきこと

実測法の説明などで触れたように、「業務量を調査している」と単に伝えるだけでは「サボっていないかどうかチェックしにきたのではないか」と従業員に誤解されてしまうかもしれません。それゆえ、とりわけ実測法や実績記入法を用いて業務量調査する場合は、能力調査や人事調査などのために調べているわけではないことを説明する必要があります。業務量調査で取得したいのは、あくまでも普段の正確なデータですから、従業員がなるべく自然体で調査に応じてくれるように説明や配慮を欠かしてはいけません。

ツールによる可視化

業務量調査は、ITツールを活用すると効率的に進められます。たとえば、勤怠管理システムを使えば、残業時間の有無など普段の勤務時間をすぐに確かめられます。こうした大枠の業務実態はメッシュの粗い情報ではありますが、個別の業務量調査に進む前に明確にしておき、業務量との相関を確認できる状態を作っておくことは大切です。

また、個別の業務量調査に役立つ「業務可視化ツール」もあります。これはPCにインストールすることで、そのPCの操作ログ情報を追跡できるようにするソフトです。業務可視化ツールを用いればPCの起動・シャットダウン時間はもちろん、ソフトの使用状況やファイルの閲覧・編集状況、キーボードのタイプ回数やスクロール回数まで数値化できます。こうしたツールは従業員の後ろで直接観察することなく、従業員の普段の業務量を調査できる優れものです。また、これは普段のマネジメントにおいても有用です。部下が残業しすぎていないかなど、労働時間を調べて適切にケアすることもできます。

調査後のステップ

最初に説明したように、業務量調査はあくまでも業務改善の準備作業という位置付けです。それゆえ、業務量調査を実施してそれでおしまいにするのでは意味がありません。調査をしたらしっかりその結果を分析し、問題の解決に取り組みましょう。

たとえば、分析作業においては「ムリ・ムダ・ムラが発生していないか」「業務が属人化していないか」「どの業務を効率化したら効果的に業務改善を進められるか」などを検討します。そこから現状の改善すべき課題を割り出し、その問題が生じている原因を抽出し、非効率な業務をなくしたり変更したりすることで業務改善を図っていきます。最終的には新たな業務フローをマニュアル化するなどして定着を図るとよいでしょう。とはいえ、業務フローも一度作り直したらそれで終わりではなく、継続的にPDCAサイクルを回していくことが大切です。

まとめ

業務量は主に「実測法」「実績調査法」「推定比率法」の3つの方法で調査されます。調査では、なるべく普段通りのデータが取れるように調査対象の従業員に理解を得たり、ITツールを活用したりする工夫が大切です。また、業務量調査はそれ単体では意味はなく、その後の業務改善に活かしてこそ価値があります。

従業員の業務量を把握することは、従業員に過剰な負担がかかっていないか普段からケアする上でも重要です。プロジェクト管理ツールのAsanaはチームの仕事状況を見える化し、それぞれの従業員の適切なマネジメントを可能にします。普段から従業員の仕事状況を把握できるようにするためにも、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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