バランス スコア カード(BSC)とは?概要や構成要素フローを解説

 2021.03.22  ワークマネジメント オンライン

「バランススコアカード(BSC)」とは、ビジョンや戦略を効果的に推進するための経営管理手法です。「財務」「顧客価値」「業務プロセス」「学習・育成」の視点から目標・指標を設定し、戦略マップで可視化したのち、具体的なアクションプランを示して実行します。本記事ではバランススコアカードの意義や、上記4視点の概要、設定フローについて解説します。

バランス スコア カード(BSC)とは?

バランススコアカード(BSC)とは

「バランススコアカード(BCS)」とは1990年代前半、ハーバード・ビジネス・スクールのロバート・キャプラン教授と、コンサルティング会社のデビッド・ノートン氏によって開発された経営管理手法です。従来の財務指標だけに基づく業績評価ではなく、非財務指標である顧客価値や業務プロセス、学習・育成を取り入れ、多面的に業績評価を行います。

また、バランススコアカードではビジョン・戦略が明確化され、ビジョン・戦略と整合性のある目標・指標が設定されるため、次のような効果が期待できます。

  • 経営者が考えるビジョンや戦略を組織全体に浸透させられる
  • 具体的なアクションプランが示されるので、PDCA(計画・実行・評価・改善)サイクルが促進される
  • 正当な業績評価により、社員のモチベーションが向上する
  • 社員の意識が変わることで、業務プロセスの改革が見込める

バランススコアカード(BSC)が利用されるようになった背景

バランススコアカードは大企業だけでなく、中堅・中小企業や病院、地方自治体などの行政機関、非営利団体などでも利用が進んでいます。

近年、IT技術に代表されるように、技術の発達スピードが高まるとともに、さまざまな分野でグローバル化が進展しています。それに伴い少子化や環境問題、規制緩和、社会的責任への対応など、企業が抱える課題は高度化・複雑化してきています。このように急激に変化する経営環境下では、1つの事業や部門に経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報など)を集約させることはリスキーだと考え、既存事業の見直しや新規事業への進出を図る企業も増えています。

バランススコアカードは組織全体のビジョン・戦略だけでなく、事業ごとのビジョン・戦略をも明確にします。また、短期的な志向の視点である財務指標による業績評価のほか、長期的な志向の視点である非財務指標による業績評価も取り入れることで、バランスの取れた全体最適のしくみを構築可能です。そのため、事業がどれほど多角化していても、効果的かつ効率的にビジョン・戦略を推進できるバランスカードに、近年注目が集まっています。

バランススコアカードの構成要素

バランススコアカードの大きな特徴は、従来の「財務」の指標に基づく目標設定や業績評価だけでなく、「顧客価値」「業務プロセス」「学習・育成」の非財務指標を加えた、合計4視点で戦略目標を捉え、評価を行っていくことです。

以下では、バランススコアカードの構成要素である4つの視点について、詳しく見ていきましょう。

財務

財務の視点では、「財務に関する目標を達成させるために、組織や従業員がどのように行動すべきか」を定めます。ここでいう行動とは、売上高の向上・原価の低減・経費の削減・営業利益の改善・財務体質の健全化などです。

具体的な指標としては、「売上高や原価率」「営業利益率」「EVA(経済付加価値)」「ROE(株主資本利益率)」「投資収益率(ROI)」「キャッシュフロー」などが挙げられます。

顧客価値

顧客価値の視点では、「ビジョン・戦略を達成させるために、顧客に対してどのように行動すべきか」を定めます。わかりやすくいうと、新規顧客や既存顧客のニーズをいかにして捉え、いかにして顧客の拡大や付加価値(顧客満足度など)の向上を図っていくかということです。このとき、顧客と企業の双方の視点から捉えることが重要です。

具体的な指標としては、「顧客満足度」「ブランドイメージ」「リピート率」「市場占有率」「返品数」「返品率」「解約件数」「解約率」「クレーム発生率」「新規顧客獲得数」「マーケティング費用」などが挙げられます。

業務プロセス

業務プロセスの視点では、「ステークホルダーと顧客を満足させるために、どのような業務プロセスをどのように構築し、改善していくべきか」を定めます。業務プロセスは、大きく分けて以下の3プロセスから成り立っています。

  • イノベーション:市場や顧客など、ターゲットのニーズに合致した製品・サービスを開発・設計するプロセス
  • オペレーション:顧客ニーズの充足のために、製品・サービスを生産・提供するプロセス
  • アフターサービス:製品・サービス提供後にアフターフォローするためのプロセス

具体的な指標としては、「1人当たりの契約販売数」「顧客処理時間」「在庫回転率・日数」「不良率」「欠品率」「生産リードタイム」「改善施策提案数」「市場シェア率」「損益分岐点までの所要時間」「新製品の売上高」などが挙げられます。

学習・育成

学習・育成の視点では、「ビジョン・戦略を達成させるために、人材育成や組織全体の能力の維持・向上をいかにして行っていくか」を定めます。ここでは以下に紹介する3つの手法を軸として、各人および組織全体の能力向上と維持を図ります。

  • 労働環境やモラル対策などを目的とする「社員の意識開発」
  • 社員の能力向上を目的とする「能力開発」
  • ナレッジ(企業や個人のアイディアやノウハウ)の共有・結合による生産性向上を目的とする「ナレッジ・マネージメント」

具体的な指標としては、「従業員数」「40歳以下の従業員数」「従業員の平均年齢」「社員定着率」「平均欠勤率」「1人あたりの研修費用」「年間研修(教育・訓練)時間」「女性管理職数」「入社希望者数」「管理費に占めるIT費用率」などが挙げられます。

バランススコアカードの設定フロー

バランススコアカードの構成要素についてわかったところで、次は実際の設定~運用までの流れについて解説します。

ビジョンの設定

まずは、企業やプロジェクトの方向性を定めるために「企業ビジョン(経営理念)」を設定します。これは会社の存在意義や社会的責任、経営姿勢などを明確に示したもので、以下の3要素から構成されます。

  • ミッション:会社が果たすべき使命や存在意義
  • ビジョン:会社のめざすべき姿を具体的な数値などで示したもの
  • バリュー:会社で共有すべき価値観・行動指針

戦略の設定

「内部環境」と、景気動向や競合動向などの「外部環境」の情報を整理し、SWOT分析により自社の強みと弱み、予測される機会と脅威を洗い出します。

その後、SWOT分析の結果を基に、設定したビジョンを実現するため、上記4視点それぞれの「戦略目標」を設定していきます。

そして、設定した戦略目標を「戦略マップ」に落とし込んでいきます。戦略マップとは、ビジョンを達成するための戦略を図式化したものです。4つの視点ごとに因果関係を「→」で結ぶなどで明確化することで、それぞれの相関性を浮かび上がらせつつ、戦略図として可視化していきます。

従業員にとっても、自分の業務や求められている成果が、戦略目標の実現にどのように貢献していくかを直感的に理解できるため、モチベーションアップにつながるでしょう。

KSFの設定

戦略目標を実現するためには、さまざまな条件をクリアしていく必要があります。中でも特に重要な鍵となる要因のことを「重要成功要因(Key Success Factor)」、略して「KSF」といいます。なお、経営戦略やマーケティング戦略などを策定する際、似たような語として「KFS(Key Factor for Success)」や「CSF(Critical Success Factor)」が用いられますが、これらはKSFと同義です。

変化の速い経営環境や多様化する顧客ニーズに対応するためには、分析によりKSFを抽出し、戦略策定に活用することが有効です。KSFを抽出する際は、ファクトベース(事実に基づき)で思考し、多岐に渡る情報を整理するだけでなく構造的に理解し、全体を体系化して捉えたうえで、問いを繰り返しながら検証していくことが重要です。

KSFを抽出する分析手法としては、主にSWOT分析や3C分析、バリューチェーン、5F分析などがあります。中でもSWOT分析は、上述の戦略策定フローでも使用するためおすすめです。

KPI・KGIの設定

戦略目標を評価するための具体的なものさしとなる「重要業績評価指標(KPI)」と、企業が定める最終目標が達成されているかを測定する「重要目標達成指標(KGI)」をそれぞれ設定します。

KGIは「売上高」「営業利益額」「経常利益率」など、具体的な数値で設定されます。一方KPIでは、KGIを達成させるために、KGIに直結する要因を数値化して設定し、その達成度や進捗度を評価します。

例えば、飲食業やホテル業などにおいて、売上高をKGIに設定したとしましょう。その場合、対するKPIは「客数」「回転率」「顧客単価」などになります。つまり、設定されたKPIを着実に達成していくことで、最終目標であるKGIの達成に近づくわけです。

アクションプランの設定

最後に、個々のKPIを達成させるために取るべきアクションを、日々のアクションプランに落とし込みます。アクションプランでは、「誰が・いつまでに・何を・どうやってする」といった具合に、具体的なレベルまで明確にします。ロードマップやグラフなどを利用して、アクションプランが一目でわかるようにしましょう。

アクションプランの設定は、KPI達成において非常に重要です。アクションプランの実行状況を日々管理し、確実にPDCAサイクルを回すことでKPIが達成され、ビジョン・戦略目標の実現へとつながっていくからです。

まとめ

今回は、バランススコアカードの意義や設定フローなどについて解説しました。バランススコアカードを有効活用し、戦略・ビジョンを実現させるためには、日々のアクションプランの管理に加え、KPIの達成および進捗状況の管理を行っていくことが重要です。

バランススコアカードで設定したアクションプランの管理、およびKPIなど業績評価指標の達成・進捗管理には、「Asana Business」の活用をおすすめします。これは、各部門のアクションプランや業績評価指標のモニタリングを一元管理できるツールです。

会社全体でバランススコアカードの進捗状況を可視化してくれるうえ、社員間のコミュニケーションツールとしても有用です。バランススコアカードの設定にお悩みの際は、ぜひAsana Businessの導入をご検討ください。

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