企業における変革管理(チェンジマネジメント)とは?具体的な進め方を解説

 2022.06.29  2024.04.11

昨今、「DX」や「働き方改革」など、ビジネスを大きく変革する動きが活発化しています。しかしビジネスモデルや組織体制の刷新は、単にシステムを入れ替えるだけでは済みません。そこで注目されているのが、変革管理(チェンジマネジメント)という管理手法です。本記事では、この変革管理の重要性や運用方法などについて解説します。

企業における変革管理(チェンジマネジメント)とは?具体的な進め方を解説

変革管理について

まずは変革管理が何を意味するのか、その定義や必要性を解説します。

変革管理の概要

変革管理とは、組織の変革をスムーズに進めるためのマネジメント理論です。英語では「Change Management (チェンジマネジメント)」の名で知られています。変革管理は1990年代初頭のアメリカで発祥しました。この頃のアメリカは長びく不況に悩まされており、会社経営を抜本的に変革する「BPR(Business Process Re-engineering:業務プロセス改革)」が流行していました。組織改革を効率化する変革管理は、このような差し迫った社会状況の下で発展してきたのです。

変革管理の必要性

現在さまざまな企業で変革管理の導入が求められている背景には、現代がVUCA(ブーカ)と呼ばれる社会状況に包まれていることが挙げられます。VUCAとはVolatility・Uncertainty・Complexity・Ambiguityの頭文字を取った造語で、先行きの見通しが不透明な状況を指します。現在の世界情勢は、頻発する自然災害や新型コロナウイルスの発生、国家間の深刻な対立などにより揺れに揺れています。

このように変動激しい社会情勢の中を企業が生き抜いていくためには、従来のビジネスモデルや組織風土に固執することのないアジャイル的な柔軟性こそが求められます。昨今では、このような状況に対応するため、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業も増えていますが、すべての従業員がそうした大きな変革に適応できるとは限りません。

変革管理は、心理学の知見なども活用しながら、組織の変革に付き物のこうした抵抗を最小化する手法です。現在のVUCA的な社会状況において、変革管理はまさに時代が求める理論であるとも言えるでしょう。

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変革管理のポイント

変革管理を考えるにあたって重要なポイントは、変革には抵抗が付き物であるということです。従来の組織体制や業務の進め方を抜本的に変える際には、実務上だけでなく、心理的な問題もしばしば生じます。従来の環境に慣れ親しんだ人にとって、変革は大きな不安やストレスを生じさせるものなのです。

とりわけ日本人ないし日本企業は保守的な傾向が強く、変革に対して後ろ向きになりがちです。人間関係の問題や心理的な抵抗感など、変革を阻害する大きな要因は「チェンジモンスター」と呼ばれますが、日本企業は特にこのチェンジモンスターが生まれやすい環境であると言えるでしょう。変革管理において心理学的な手法などが応用されるのも、こうした理由によるものです。

変革管理のメリット

変革管理を導入するメリットは、チームや組織の歩調を最大限合わせて新たな組織体制やビジネスプロセスを導入できることです。変革に際して最も大きな障害になるのが、実務的・技術的な問題よりも難色を示す関係者の説得であるという事態はしばしば起こりえます。

変革管理の導入は、変革に付随するそうした人間的な阻害要因を減らし、組織や各従業員が変革にスムーズに対応する体制を作り成功の可能性を高められます。

変革管理の8つのプロセス

それでは、変革管理はどのように進めればよいのでしょうか。以下では、変革管理のプロセスを8つに分けて、各段階で何をすればよいのかを解説します。

緊急性の明確化

変革管理において最初にすべきは、変革の必要性について関係者間で理解を深めることです。そのためには、なぜその変革が今必要なのか、変革の緊急性を明確化する必要があります。

その説得性を高めるためには、自社が抱える危機を明らかにし、変革をしなかったらどのような不利益が会社に生じるのか、逆に変革を行えばどのような利益が見込めるのかといった情報を可視化することが大切です。これらの情報の共有を通して、変革にかかわる関係者の意識改革をまずは進めていきましょう。

強い変革推進チームの結成

次のプロセスは、変革を推進するチーム作りです。社内の抵抗勢力を粘り強く説得して変革を進めるためには、強力なリーダーシップや実行力を持つ人材が不可欠です。逆に言えば、変革を力強く牽引できるチームを作ることで、変革を効率的かつ迅速に遂行できる可能性は飛躍的に高まります。

変革ビジョンを決める

変革推進チームを結成したら、今度は変革の道しるべとなるビジョンと、それを実現するための戦略を策定します。このビジョンを考えるにあたっては、チームの目標や努力の必要を明確化するために、その変革によって組織をどのような姿に変えたいのか実行可能な形で構想を進めましょう。

社内全員で共有

変革のビジョンと戦略が定まったら、それらを全社で共有します。変革に対する抵抗感を可能な限り軽減するには、この情報共有の分かりやすさ、丁寧さが非常に重要です。また、社員からの理解を得るためには、変革推進チームのメンバー自らが、変革の実践例となっていくことも大事です。

社員が動きやすいよう環境を整備

情報共有の後は、共有した変革ビジョンに基づいて社員が行動しやすくなるように、環境整備を行います。例えばテレワークの導入を進めたいのに、業務プロセスや人事評価の方法がオフィス勤務を前提にしたものであるとしたら、変革は進みません。従業員が変革に積極的に参加したり、対応したりできるようにするためには、変革の阻害要因になりうる要素を極力なくすことが重要です。

短期的目標の設定と達成

環境整備が済んだら、変革を段階的に進めるために短期的な小目標を設定し、それを達成していきます。従業員の変革へのモチベーションを向上させるためには、ここで設定する目標がなるべく目に見える成果として現れるような内容であること、そして無理なく実現できる難易度であることが重要です。また、短期目標の達成ごとに従業員に報酬を与えたり、チームでお祝いしたりといった工夫も、変革へ前向きに取り組む気持ちを喚起する効果があります。

さらなる変革の推進

短期的目標の達成が順調に進んでいったら、変革をより強力に推進していくために、インフラ面の変革など、積極的な行動を開始します。つまり、変革の本格的な導入にあたるのがこの段階です。また、変革の推進に貢献する人材をさらに発掘し、採用と教育を同時に進めることも重要です。

新たなプロセスを根付かせる

変革は導入したらそれでおしまいというわけではありません。いつの間にか元の状態に戻っているといったことが起こらないように、新たなプロセスを継続的に根付かせていく取り組みが必要です。そのためには、各階層・部署のリーダーに変革の意識を根付かせ、彼らを通して変革ビジョンに基づいた新しい方法とメリットを組織の隅々まで浸透させていくことが欠かせません。

まとめ

変革管理(チェンジマネジメント)とは、組織の変革をスムーズに遂行するためのマネジメント理論です。DXや働き方改革など、多くの企業が組織体制の変革に取り組む中、変革管理の注目度は大きく高まっています。

変革管理においては変革推進チームがビジョンを共有し、密にコミュニケーションを取りながら変革に向けたタスク管理を行っていくことが重要です。Asanaは、メンバーのタスクを可視化し、チームのコラボレーションを促進するソリューションです。組織の変革および変革管理の実行に際しては、ぜひAsanaをご活用ください。

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