DXとは?その定義と具体的な施策についてのご紹介

 2022.06.23  2022.09.14

DX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル変革)へ熱い視線が送られているなか、具体的に何をすれば良いのか?と多くの業界・業種で悩んでいます。DXという言葉は日本のビジネス界でも広く浸透しましたし、その必要性を理解した経営者や担当者も増えました。

しかし、いざDXに取り組もうとしても、そもそも何をすればDXが実現するのか?具体的な取り組み方法などが分からないとどうしようもありません。

本稿ではDXとは何なのか?という基本情報を整理した上で、具体的にどのようなことに取り組めばよいのか?という実践的な具体例を解説していきます。DXについて理解を深めるためにも、ぜひ参考にしてください。

DXとは?具体的に何をすることなのか?

2022年7月20日 DXの必要性について追記しました。

DXとは結局何なのか?その定義をご紹介

スウェーデンのウメオ大学で教授を務めているエリック・ストルターマン氏は、DXについて「ITの浸透が人々の生活に、あらゆる面でより良い方向に変化させる」と言います。これは2004年のことです。この年はIBMがLenovoにパソコン事業を売却したり、GoogleがIPOを遂げたり、MicrosoftがSunと和解したり、IT業界にとって何かと衝撃が大きな年でもありました。

20年近くも前にDXについてすでに存在していたことには驚かされます。しかし、この言葉は抽象的であり大きな方向性としては理解できますが「具体的に何をすることなのか?」まで読み取ることはできません。

そこで、DXの明確な定義として紹介するのが、総務省が発表したDX推進ガイドラインに記載されているものです。総務省では、DXについて次のように定義しています。

企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること

DXと聞くと、既存の業務プロセスに残るマニュアル部分をシステム化していったり、AIやIoTといった新しい技術を採用したりすることを想像しがちです。それに対し総務省では、システム化や新しい技術の採用を進めながら「製品やサービス、ビジネスモデルを変革する」ことを示しています。

つまり、DXとアナログからデジタルへ置き換えるだけのデジタル化は違うものとして捉えることが重要です。

単なるIT活用(ツールやテクノロジー、クラウドなどの採用)ではなく、会社が提供する製品やサービス、これまで続けてきたビジネスモデルに変革をもたらすようなIT活用こそ、DXというわけです。

DX推進ガイドラインの構成

経済産業省が示すDXの定義

DXを国内産業向けに示したのが経済産業省です。同省ではDXを企業が競争力維持・強化のために行うべきものと捉えています。また、企業のITシステムの存在が今後DXを実行していくうえでの大きな課題であると考え、有識者による研究会を開催して議論を重ね、報告書を作成するといった取り組みを進めています。さらに、DX推進指標による自己診断の促進やベンチマークの提示といった企業内面への働きかけ、デジタルガバナンス・コードやDX認定などの企業外面からの働きかけも行ってきました。

2018年には、企業がDXを実現するための助けとなる「DX 推進ガイドライン」を策定・公開しました。その中ではDXを、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」と定義しています。
(参照元:https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/dx/dx_guideline.pdf

 

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なぜDXが必要なのか

それでは、そもそもなぜデジタルトランスフォーメーション(DX)が必要なのでしょうか? デジタルトランスフォーメーションへの取り組みが必要な理由は「企業として存続するため」です。もちろん企業のみならず官公庁・自治体など公共公益機関においてもDXは重要であることは周知の事実です。

日本は「人口減少と少子高齢化」、「都市への人口集中と地方の衰退」、「デフレと長期的な経済の低迷」、「低い労働生産性」などさまざまな課題を抱えているだけでなく、地球規模に目を向けると気候変動やエネルギー課題、地政学的リスクなど問題が山積されています。

特に労働人口の減少という部分に目を向けてみると、40年後の労働人口が現在よりも4割減少すると予測されています。具体的には、2020年には6404万人いる労働人口が、2065年には3946万人にまで減少します(出典:みずほ総合研究所)。

例えば、経済産業省によると2025年にIT人材の不足が43万人に膨れ上がると警鐘を鳴らしており、これを2025年の崖という言葉で表現していることは有名な話です。経済産業省では、これによりデジタルトランスフォーメーションが進まなければ、2025年以降に年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると発表しています。

このような背景から企業や組織がDXが必要になることは明白であり、DX化が急務と言えるのです。

2025年の崖とは?

「2025年の崖」とは、経済産業省が公開したレポート「DX レポート~IT システム「2025 年の崖」の克服とDX の本格的な展開~」で警告されている危機のことです。
(参照元:
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/pdf/20180907_03.pdf
企業の老朽システムの割合
同レポートでは、複雑化、老朽化、ブラックボックス化した既存システムを刷新できずに既存システムが残存した場合には、企業はデータを活用しきれないためDXが進まないだけでなく、2025年以降にはシステム障害などによる損失が現在の約3倍近い最大年12億円になるリスクがあると指摘しています。

システムが複雑化、ブラックボックス化する原因は、部門ごとにシステムを構築したり、長期間の間に何度もカスタマイズを繰り返したりして、全社でデータが共有されていないことにあります。

損失の主な内容は、古いシステムに対応できるIT人材の引退、老朽化したシステムを使い続けることによる保守費用の高騰、故障・障害による損害などです。2025年まではあとわずかしかありません。多額の損失が発生する事態を防ぐためにも、企業・組織のシステム刷新は喫緊の課題となっています。

加えて、政府が推進する働き方改革や各産業で深刻化する人材不足などもDXが必要とされている理由です。多様化する働き方への対応や長時間労働の是正、人材不足の解消にDXは不可欠であり、DXへの注目度は今後さらに高まるでしょう。

DXとデジタル化やデジタライゼーションとの違い

DXと混同しやすい概念として、デジタル化やデジタライゼーションがあります。それぞれの違いを見てみましょう。

DXとデジタル化やデジタライゼーションとの違い
DXとデジタル化の違い

デジタル化とは、従来のアナログな業務をデジタル技術を用いて行うことです。デジタイゼーションとも呼ばれます。たとえばFAXで届いた注文書の情報をRPAとAI-OCRで自動入力することや、対面の会議をWeb会議に移行することがデジタル化です。

デジタル化の主な目的は、デジタル技術を用いることで、業務の省人化や効率化、品質向上、コスト削減などを実現することです。

一方DXは、デジタル化されたデータやシステムを活用して、ビジネス全体を変革することを指します。



DXとデジタライゼーションの違い

デジタライゼーションとは、デジタル化されたデータやITツールを用いて、自社だけでなく外部環境やビジネス戦略も含めた業務やプロセス全体をデジタル化することです。

たとえば、今まで伝票に押印して上長の許可を得ていたプロセスをオンライン化する、タブレット端末を使ったプレゼンを行うなど、取引先も巻き込んで紙媒体でのプロセスをなくすといった取り組みが挙げられます。

デジタライゼーションはプロセス全体をデジタル化することであり、デジタル化により新たなビジネスモデルを生み出し社会や組織を大きく変えていくDXと異なります。

つまり、単純な自動化やデジタル化はDXではありません。デジタル化はDXを推進するためのひとつのステップですが、DXの本質は単なるデジタル化ではなく、企業文化の変革、ビジネスの変革です。この点を理解したうえでDXに取り組むことが求められます。

 

DXを推進する上で想定される課題

日本の企業は、他の先進国と比較してDXに大きな後れをとっています。DXを阻害する原因をしっかりと把握しておけば、自社に最適な判断も下しやすくなるはずです。ここでは、日本の多くの企業が抱えているDXの課題を解説します。

デジタル変革の実現における課題

人材の不足

諸外国と比較してIT教育が遅れている日本では、十分なITリテラシーを有した人材が今後継続的に不足すると推測されています。日本の場合、IT人材の7割以上がベンダー企業に所属するともいわれているため、自社でエンジニアを抱えずベンダー企業の開発リソースに頼っているのが現状です。

本格的にDXの実現を目指すのであれば、自社でエンジニアを採用・育成することが望ましいといえます。長期間にわたって自社サービスに携わる人材を確保できれば、新しいアイディアも実現しやすくなるはずです。

古いシステムの存在

上述したように、DX化を阻むレガシーシステムは、適切な方法で排除しなければなりません。老朽化したシステムは、独自のカスタマイズを繰り返してきたことにより、複雑化しているケースがほとんどです。

これまでの経緯すべてを把握する人材が社内に存在しない場合、全体像を理解するのは非常に困難であり、残存したシステムはやがてブラックボックスと化します。この場合、部分的に見直すだけではDXの成功に結びつかない可能性があります。一貫性を持つシステムへの刷新も、前向きに検討してみるとよいでしょう。

DX取り組みの方向感

DXに取り組む際に、何から始めればよいのか分からず頭を抱える企業担当者も多いのではないでしょうか。ここでは、DXを推進するときにどのような取り組みが必要になるのかを想定しながら、ステップごとに解説していきます。DX取り組みの方向感

 

社内の業務改善

まず取り掛かるのは、業務の改善ポイントを把握するために行う業務フローの可視化です。効率よく進めるために、フレームワークを活用してチームメンバー間で認識を合わせていけば、議論の時間を短縮できます。課題が明確になったら、ツールの導入を検討する段階に移ります。

経理業務であれば、伝票・請求書の作成、契約書・領収書の保管など、高度な意思決定が必要ない業務を自動化・オンライン化すると、コスト削減が期待できるでしょう。また、顧客管理に有用なツールを導入すれば、営業活動における様々なヒントが得られます。

新規事業・サービスの創出

デジタルテクノロジーが普及した現代では、これまで積み上げてきたノウハウも通用しなくなっています。デジタルへ置き換えられた消費者行動に対して、より利便性の高い製品や価値あるサービスを提供し続けるには、デジタルテクノロジーを使った新規事業展開について考える必要性もあるでしょう。

新しいビジネスモデルの事業立ち上げや、これまで提供してきたサービスの課題を解消してより高い付加価値を提供する取り組みもDXの実現と密接に関わってきます。

DXに取り組むにあたっての成功ポイント

DXについて十分に理解できたら、次に具体的なやり方を知ることが大切です。DXは単なるIT活用ではなく、新しい製品やサービス、ビジネスモデルの変革をもたらすものであり、データの活用範囲を拡大していくことが重要なポイントです。

まず取り組むべきは、「経営戦略及びビジョンの明示」「経営トップのコミットメント」「DX推進のための体制整備」です。

DXでは今後想定されるディスラプション(突如起こる破壊的イノベーション)を念頭に置き、データとITを活用することで、どの事業分野で、どのような価値を生み出すことを目指すのか、そのためにどのようなビジネスモデルを構築すべきかについて経営戦略及びビジョンを持っていることが大切になります。さらに、DXを推進するにはビジネスそのものや仕事の在り方、組織、人事制度、企業文化や風土の変革も必要になるので、経営トップがこれらの変革に強いコミットメントを強く持ち、取り組んでいくことが欠かせません。

DX推進のための体制整備では、経営戦略やビジョンの実現と紐づけ、経営層が各事業部門に対してデータやデジタル技術を活用し、新しいビジネスモデルの取り組みに対して、新しい挑戦を促し、かつ挑戦を継続できる環境を整えているかが重要になります。

実際のIT導入においては、構築のための体制及び仕組みを構築し、ガバナンスの整備、IT資産の仕分けとプランニングなどが重要です。

DXに取り組むにあたっての成功ポイント

経営層がDXを理解する

DX化は企業全体の風土やビジネスモデルを大きく変化させるため、経営層がDXについて正しく理解しなければ成功は実現できません。これまでの業務効率化に対する取り組みは、現場の社員に任せるケースが大半でした。しかしDXに取り組む場合、トップダウン的な推進も求められることになります。担当者や一部の部署だけに任せるのではなく、経営層が積極的に戦略やビジョンを示していく必要があります

戦略やビジョンを明確化する

DXを推進するうえで、企業の目指すべき方向性の明示は非常に重要です。戦略の策定とビジョンの設定について、リーダーとなる経営層がしっかりと明確化して全社一体でゴールを目指さなければなりません。進むべき方向や企業の理想とする姿が正しく浸透していれば、現場の社員は正しいゴールに向けた意思決定が可能になります。抜本的な改革を進めていくにあたり、戦略やビジョンの明確化はなくてはならないものといえます。

推進体制を構築する

DXを推進するための体制づくりも大切です。DXの推進に向けて新しく組織をつくる形態は「専門組織設置型」と呼ばれており、ITに知見がある人材やこれまで業務改革の推進に実績のある人物を選出して構成するのが理想的です。場合によっては、DXに関する知識が豊富な人材を迎えたり、コンサルタントと連携したりしてDX化を進めていくケースもあります。いずれにしても、全社的な視点を持ったうえで、部門横断的なプロジェクトに取り組める体制の構築も視野に入れておきましょう。

DXの基本的な進め方

実際に企業がDXを推進する際には、以下のような流れで取り組みを進めていきます。

1. 社内のビジョン形成

はじめのステップは、組織全体でDXに対する認識を共有し、推進意欲を醸成することです。DXの推進は経営戦略であり、組織を大きく変革することになります。そのためDXを進めるには経営層の正しい理解と強いリーダーシップが必要です。たとえばDXについて経営層が漠然としたイメージしか持たないまま、「世の中でDXが話題だから自社でも取り組んでみよう」といったあいまいな方針を掲げてもうまくいきません。

自社でDXに取り組むことで、どのような価値が生まれ、自社のビジネスにどのようなメリットをもたらすのか、またDX実現のためには何が必要なのかを、経営層が具体的なビジョンとして全社に発信していくことが重要です。


2. 体制の整備

組織で全体方針を共有したのちには、DX推進に向けた体制整備を行います。全体を統括するDX推進部門を設置して他の部門とスムーズに連携できるようにするほか、デジタル人材を確保して必要な組織に配置します。人材が不足する場合には、社内で人材を育成するための計画づくりや外部人材の活用なども併せて検討します。

レガシーシステムが存在することによるリスク・課題

3. システムの構築

DXを進めるにあたっては、システムの構築が重要です。2025年の崖として指摘されているとおり、レガシーシステムを使用し続けることによるリスクは甚大です。クラウドサーバーの活用やシステムの刷新など、柔軟な環境変化に対応できるシステム構築を検討するべきでしょう。

既存システムの棚卸をして現状を把握し、老朽化したシステムや新規に開発すべきシステムを洗い出します。そのうえであるべきシステムの姿に沿った開発を検討します。

なおシステム構築や保守で特定のベンダーに依存し、他社製品への切り替えが困難になることをベンダーロックインと呼びます。DXを進めるためにはベンダーロックインは避けるべきです。クラウドサービスや一般化された技術などを積極的に採用する、企業側も議論に参加し開発を外部にまかせきりにしない、といったことが望まれます。



4. 実行と評価

デジタイゼーション、デジタライゼーションを含め、業務改善や新規事業開発などの施策を実施したのち、効果を測定してPDCAサイクルに基づき評価します。その後改めて解決すべき課題を明らかにし、次のステップへとつなげていくことが重要です。

DXの実現には長期的な取り組みが必要なため、短期的な成果を追わず、中長期的な視点で評価を行うことが求められます。

DXで注目される技術

DXは、さまざまなIT技術を活用しながら進められます。ここではDXを実現するための要素として特に注目されている四つの技術について解説します。DXで注目される技術

AI(人工知能)

AI(Artificial Intelligence)とは、大量のデータをもとに学習し、人間のように判断できるようにする技術です。2010年代には機械学習の一分野であるディープラーニングが登場したことで、画像認識分野などで飛躍的な発展がありました。

現在AIは、小売店における商品の需要予測や製品の検品作業、過去のデータに基づく機器の故障予兆検知など、ビジネスのさまざまな分野で活用されています。


IoT

IoT(Internet of Things)とは、ネットワークと接続していない機器にセンサーを付け、そこから取得したデータをサーバーに送信して何らかの処理をする技術です。

センサーが機械の履歴を送信して遠隔で稼働状況を確認する、温度センサーにより常時温度を把握して適温に調整するなど、工場での自動化などでも活躍しています。


クラウド

インターネット上のリソースを必要に応じて利用するのがクラウドサービスです。インターネット接続環境があればどこでも利用できる、リアルタイムで情報共有が可能といったメリットを持ち、ファイルサーバや業務システムなどで多くの企業に利用されています。

機器購入・保守コストが不要で、導入までの期間も短いことからオンプレミスと比較して低コストでスピーディに運用できる点が魅力です。また既存のクラウドサービスを組み合わせて利用することで、新規にシステムを開発しなくてもすむため柔軟にシステムを構築できるなど、DXの推進には欠かせない技術です。


5G(第5世代移動通信システム)

5Gとは5th Generationの略語で、高速・大容量、多数同時接続、低遅延・超高信頼の特徴を持った次世代の移動通信システムです。2020年3月には国内で実運用が開始されました。

5Gが持つ高速や低遅延といった特徴は、車の自動運転や遠隔医療、VR、ロボットの遠隔操作などの分野で活用が想定されています。また4Gよりも10倍近く多くの端末が接続できる特徴を生かして、IoT機器の通信などでの活用も期待できます。

さらにDXの視点で見ると、ネットワークの活用の幅が広がって4Gでは実現が難しかったことも5Gで実現できるようになり、新たなビジネスモデル創出にも貢献すると考えられます。

国内外でのDX導入事例

国内外でDXに取り組んでいる企業の事例を紹介します。DXの具体的なイメージを掴む際の参考にしてください。

Amazon

もともとアメリカで書籍販売事業としてスタートしたAmazonは、今やDXの先駆者として知られています。「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」という経営理念を掲げ、数々の顧客視点の施策に取り組んでいます。

たとえば、Amazonが提供する閲覧・購入履歴に基づくレコメンドや豊富なカスタマーレビュー、ワンクリックで書籍を注文できる便利さは、CX(顧客体験価値)を向上させ、人々の生活から書店が不要になるほどの変化を生み出しました

さらに、スマートスピーカーの開発やOMO(オンラインとオフラインの融合)を体現する無人店舗の「Amazon Go」など、人々の生活をより便利にする取り組みを次々と行っています。


Netflix

Netflixは、2億人以上の有料会員を持つ世界有数の動画配信サービスです。同社は1997年に郵送による無店舗型のレンタルDVDビジネスを開始し、店舗に足を運ぶ従来型のレンタルビデオ店との差別化を図りました。さらにDVDを借りなくても配信でコンテンツを視聴できる定額型のビジネスに参入したことで多くの顧客を獲得し、現在のような大企業に成長しました。

同社の特徴は、サブスクリプションというビジネスモデルだけでなく、独自のコンテンツ戦略にあります。会員の動画視聴履歴などのビッグデータをAIで分析し、数々の人気作品を生み出すことでさらに会員数、視聴数を伸ばすという好循環を生み出しています


Domino’s Pizza

アメリカ発の宅配ピザチェーンDomino’s Pizzaは、日本でも多くの店舗を有しています。1960年に創業した老舗企業でありながら、最新のデジタル技術を活用する施策を次々と打ち出し成長しています。

代表的なのが、アメリカで提供されているAnyWare(https://anyware.dominos.com/)というデジタルプラットフォームです。スマホ・パソコンだけでなく、スマートスピーカーやFacebook Messengerなどあらゆるデジタルチャネルから注文を受け付けられるようにすることで、顧客の利便性を高めています。これにより同社では客単価が上がったほか、顧客満足度も向上しました。

AnyWareは顧客側だけでなく、企業側にも多くのメリットがあります。ひとつは簡単にデジタル注文ができるようにすることで電話や店舗による手間がかかるアナログ注文を減らせる点です。デジタルの注文はすべてAnyWareに集約することで、注文フローの効率化も実現しています。

もうひとつは顧客データの蓄積が可能になった点です。AnyWare経由の注文データを蓄積・分析することで、今後のマーケティング施策にも役立てられます



セブン&アイ・ホールディングス

セブンイレブン、イトーヨーカドーなどの店舗を運営するセブン&アイ・ホールディングスでは、2020年に「グループDX戦略マップ」を策定、巨額の費用を投じてグループ全体でDXに取り組みました。

同社では1日2500万人以上の顧客が買い物をします。そのうちインターネット経由で注文するネットスーパーやネットコンビニ事業において効率的な配送を行うことが課題でした。そこでAIによる「AI配送コントロール」の開発により車両・ドライバー、配送料、配送ルート、受取場所の最適化を実現しました。

一部サービスでは、開発当初は注文から2時間だった配送時間が最短30分に短縮され、スムーズに顧客へ商品を届けられるようになりました。AIによる「AI配送コントロール」

 

日本交通

日本交通は、1928年に創業した東京で最大手のタクシー・ハイヤー会社です。同社は2011年に日本初のタクシー配車アプリ「日本交通タクシー配車(現Japan Taxi)」を開始しました。これは従来のような顧客からの電話を受けて無線で配車するのではなく、顧客のスマホ位置情報と空車の位置情報から効率的な配車を行うシステムです。

タクシー配車アプリのインパクトは大きく、その後日本ではS.RIDE、フルクル、MKタクシースマホ配車など、数多くの類似サービスが登場しました。

さらに同社が2020年にリリースしたのが新たなタクシーアプリ「GO(https://www.nihon-kotsu-taxi.jp/lp/go_shitei/)」です。今までよりも高度な配車ロジックを開発、顧客とタクシーとのマッチング精度を向上させました。新型コロナウイルス感染症の影響で密を避けたい顧客ニーズに対応し、よりスムーズに快適に移動できる手段を提供しました。さらにアプリ決済やメールでの領収書発行にも対応することで、より利便性を高めています。

業種ごとに異なるDXの特色

DXとひとくちに言っても、産業・業種によって方向性に特徴があります。たとえば自治体や製造業は総務省や経済産業省を中心に、政府がDXを強力に推進している点が特徴的です。

自治体DX

自治体DXの特徴は、人口減少や都市部への人口流出による人手不足、地域経済の低迷といった課題を抱える中で、住民の利便性向上と庁内の業務効率化を目標としている点です。

情報通信白書では、DXを「企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。
(出典「情報通信白書 令和3年版」https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112210.html
自治体におけるDXは、IT技術やデータの活用によって行政サービスを改革し住民の利便性を向上させること、AI・RPA活用によって業務効率化を実現し人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげることが求められています。しかし、2021年4月1日時点で実際にDXに取り組んでいる自治体は29都道府県、219市区町村(DX全体計画策定済)であり、未実施の自治体も少なくない状況です。
(参照元:https://www.soumu.go.jp/main_content/000804040.pdf自治体DX・情報化推進概要について

政府が策定したデジタル・ガバメント実行計画に基づき、総務省では自治体がDXを取り組む際の助けとなる「自治体DX推進手順書」を作成しています。手順書では、システムの共通化や行政手続きのオンライン化など、自治体が取り組むべき施策を解説しています。また重点施策としてマイナンバーカードの普及促進や AI・RPA の利用推進、テレワークの推進、セキュリティ対策の徹底を挙げています。

静岡県藤枝市では、RPAを導入して業務効率化に取り組んでいます。従来、市民の家族が死亡した際には複数の担当課に行きそれぞれ手続きを行う必要があったため、遺族の負担軽減を目的に「ご遺族手続き支援コーナー」を設置しました。これにより遺族側の作業負担は減りましたが、自治体側では関係各課がシステム上でデータを検索して台帳に転記する作業が必要になり課題となっていました。そこで同市ではRPAを導入し、申請内容をもとにロボットがシステムを検索し、必要な情報を取得して台帳に転記する作業を自動化しました。住民の利便性向上と庁内の業務効率化の両方を実現した事例です。

製造業におけるDX

製造業におけるDXの特徴は、スマートファクトリーと呼ばれる自律的・自動化された高度な工場を実現し、業務効率化・生産性向上による合理化と新サービス創出による競争力獲得を目標にしている点です。

国内製造業は早くから生産性向上、業務効率化などを目的にしたFA(ファクトリーオートメーション)に取り組んできました。そのため他産業に比べてロボット活用などの自動化は進んだものの、近年働き手不足や技能継承問題、データ活用の遅れといった課題が顕在化しておりDXの必要性が強く認識されています。さらに海外でもドイツのインダストリー4.0、フランスのIndustrie du Futur(未来の産業)、中国の中国製造2025など、国家主導で製造業のDXを推し進める動きが盛んになっていることを背景に、日本でもConnected Industriesというコンセプトを掲げて製造業のDXを推進しています。そのため近年多くの企業でDXおよびスマートファクトリーの実現を目指す動きが高まっています。

特にデータ活用の遅れはDX推進を阻む大きな課題です。大手リサーチ会社の調査によると、自社の生産プロセスに関する設備の稼働状況に関するデータを収集していると答えたのは57.0%でした(2021年度調査)。ほかにも、人員の稼働状態の見える化も遅れているなど、データ活用の推進が取り組むべき課題と認識されています。
(参照元:https://www.meti.go.jp/meti_lib/report/2021FY/000068.pdf

製造業のDXでは、IoTを使って製造工程を見える化して人材配置の適正化を図る、AIを使って熟練の作業員が培ってきたノウハウを可視化して技能継承を行う、といったことが実現可能です。それにより捻出したコストや労力は、新規事業開発など付加価値の高い分野に振り分けられるようになります。

世界的な自動車部品メーカーであるデンソーでは、「あたかも一つ屋根の下にあるかのごとく」というコンセプトを掲げて独自のFactory-IoTプラットフォームを開発、世界中で稼働している工場を連携するしくみをつくりあげています。ポイントは、システムをいちから開発するのではなく、無償で利用できるオープンソースソフトウェアを活用し、クラウドでの運用を前提としたシステム開発を行った点です。DXにおいては機能や規模を柔軟に対応できるクラウドネイティブに注目が集まっており、同社の取り組みはDX推進に適した手法です。

世界中の工場が連携しているため各地の需要増減による生産変動にもスムーズに対応できるほか、トレーサビリティや品質管理の共通化も実現しました。さらに各工場の機器に設置したセンサーがさまざまなデータを取得・クラウドサーバーへ送信し、膨大なデータを蓄積できるようになったことで、データ分析によるマーケティング活用にも役立てています。

 

まとめ

いかがでしょうか?本稿ではDXの基本と、具体的なやり方についてご紹介しました。100社いれば100通りのDXがあり、1つとして同じものはありません。この機会に、自社独自のDXについて十分検討した上で、何が必要かを考えてみてはいかがでしょうか。

DXについてさらに理解を深めたいということであれば、下記の関連記事や資料がおすすめです。こちらの資料では企業のDXを研究する東京通信大学 情報マネジメント学部 情報マネジメント学科の前川徹教授の見解も踏まえ、企業が取り組むべきDXの本当の意味と成功戦略について解説します。

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