日本の金融業界の課題と現状は?今後の展望とDX

 2023.05.31  ワークマネジメント オンライン編集部

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近年、多くの業界でDX化が進んでいます。金融業界も例外ではなく、データやデジタル技術を活用して金融業界が抱える課題の解決に取り組もうとしています。本記事では、金融業界が抱える課題と現状を紹介し、さらにDXの促進によって金融業界がどのように変化するのかについて解説します。

日本の金融業界の課題と現状は?今後の展望とDX

金融業界の課題: 収益性が低い

そもそも金融とはお金に余裕のある人が、お金が必要な人に融通することです。銀行や証券会社、保険会社などの金融業界は、その仲介として企業や個人などから預かったお金を必要な人に貸し出し、利子をつけて返してもらうことで収益を獲得しています。つまり、この貸すお金に対する利子の割合(金利)が高いほど、金融業界はもうかるということです。

しかし、2016年から開始された「マイナス金利政策」により、銀行を中心とした金融業界では収益性を得られにくい状況になり、将来に不安を感じる声が聞かれるようになりました。

マイナス金利政策とは、金融機関が日本銀行に預けているお金に対して、マイナスの金利を設けるという政策です。これによって金融機関は個人や企業などへの融資を増やすため、経済を活性化させる効果が期待できます。ですが、金融機関にとっては金利が低くなることでリターンが見込めず、収入につながりにくい状況になります。そのため金融業界は、今なお厳しい状況に置かれています。

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金融業界の現状

金融業界は今、ネット銀行の拡大やフィンテック業界の台頭、地方銀行の再編などにより、変動の時期を迎えています。ここでは4つの事柄から金融業界の現状について解説します。

ネット銀行が拡大

ネット銀行とは、実店舗を持たずにインターネット上で取引ができる銀行のことです。従来の銀行に比べて営業時間の縛りがなく、取引履歴照会も預金通帳に記帳せずにPCやスマホを使ってすぐに確認できるのが特長です。また、店舗がないため、その分手数料が安く、金利が高いなどのメリットがあります。

日本では2000年ごろに誕生し、スマホの普及や利便性のよさなどからに急激に市場を拡大しています。近年では、個人だけでなく法人でも利用可能になったため、今後は銀行の実店舗や人員を減らす動きが進むことが予想されます。

フィンテック業界の台頭

「FinTech(フィンテック)」とは、「Finance(金融)」と「Technology(技術)」を合わせた造語で、IT技術と金融サービスを結びつけたキャッシュレス決済や仮想通貨取引などのサービスを指します。そして、このようなサービスを提供する企業や業界のことをフィンテック業界と呼びます。

フィンテック業界の出現はこれまで銀行でしかできなかったお金のやりとりをIT技術によって可能にしたことで従来の金融業界に大きな影響を与えました。そのため、大手金融機関でも人員を減らしてのコスト削減やビジネスモデルの変容を迫られることが考えられます。

ビジネスモデルが変化

昨今、銀行や保険会社などでは、国内市場が飽和状態であることから収益力の向上を見込み、海外事業の推進が行われています。また、大手企業への貸し出しが伸び悩んでいることから、個人や中小企業を対象としたリテールバンキングを重視する流れも生まれており、ビジネスモデルが大きく変化しています。

特にリテールバンキングは、収益基盤を確保するうえで有力な分野と考えられ、先進国の金融機関ではすでに積極的な取り組みが行われています。日本でも今後リテール分野の市場拡大の動きが見られる可能性が高いです。

地方銀行は再編が進む

地方銀行では、低金利やネット銀行・フィンテック業界の台頭以外に、地域の人口および企業数の減少などの影響から、収益の確保が難しい状況です。そのため、現在の過剰な実店舗や人員を見直さなくてはならないケースが増えています。

解決策として地方銀行が地域の企業と協力し合いともに発展したり、新しい金融ビジネスを開発したりして将来も持続的に発展していくことが求められます。

しかし、現実的にはこのような解決策での改善は難しく、現在、地方銀行は生き残りをかけて合併やグループ会社化などの再編を積極的に行っており、今後も地方銀行の再編が進むと予想されます。

金融業界の展望:DXの促進

収益性の向上が課題となっている金融業界でも、コスト削減や収益力の向上を目指し、DX化の流れが加速しています。以下、金融業界におけるDXの活用事例を紹介します。

AIやデータを活用

AIは、人手が必要な業務を自動化したり、人が処理できない多くのデータを活用したりするのに役立ちます。AIを金融業務に取り入れることは、データを用いた精度の高い予測が可能になり、コストの大幅な削減や顧客満足度の向上、生産性の向上などが期待できます。

たとえば、AIに学習させて融資審査を自動化したり、顧客の問い合わせをチャットボットで自動化したりすることで人件費を抑えられ、顧客満足度の向上に貢献できます。また、企業や組織の膨大なデータを一元管理し、AIを使って分析することで業務の効率化が図れます。

バックオフィス業務を効率化

バックオフィス業務とは、顧客と関わることがない経理や総務、人事、庶務などの業務のことです。この業務を効率化する手段として注目を集めているのが、RPA(ロボティックプロセスオートメーション)です。RPAとはPCで行う定型作業を覚えさせることで自動化できるテクノロジーで、書類作成や入金確認業務、メール作成のサポート、データ収集・分析などの業務を任せられます。
金融業界では取引先や顧客とのやりとりが多いため、RPAを活用することで時間と人材を適正化でき、人にしか扱えない重要な業務に専念できます。
Asana」も金融業界に貢献しているワークマネジメントツールです。Asanaで業務の進捗管理を可視化することで、バックオフィス業務におけるプロセスの効率化が図れます。詳しい導入事例を知りたい方は以下の記事をご覧ください。

クラウドシステムを活用

金融業界では、情報セキュリティの観点からクラウドシステムの導入が厳しいとされていました。しかし、「2025年の崖」問題や金融業界の規制に準ずる高いセキュリティを備えたクラウドシステムができたことなどもあり、少しずつですがクラウドシステムが活用され始めています。

クラウドシステムの導入は、金融業界の多くが使用しているオンプレミスシステムよりも運用コストや人件費の削減ができ、多様化するニーズに合った柔軟かつスピーディーな対応ができます。
さらに、インターネットバンキングの導入や口座のクラウド管理をすることで、利用者は各種手続きや申し込みなどをインターネット上で完結でき、店舗に行く時間を削減できるため顧客満足度の向上や利用者の増加などが見込めます。
ほかにも時間や場所に関係なく、いつでもシステムにアクセスできることから、従業員の業務の効率化にも貢献できます。

まとめ

日本の金融業界では、マイナス金利政策や大手企業への貸し出しが伸び悩んでいることなどから収益性が低くなり、生産性を向上する対策が求められています。

この金融業界の課題を解決する方法として、DX化への移行が進んでいます。たとえば、AIやビッグデータを活用したり、RPAやクラウドシステムを導入したりすることで、業務の効率化やコスト削減、顧客満足度向上を図り、経営改善にいかしています。

「Asana」は金融業界をはじめ、あらゆる業界に貢献しているワークマネジメントツールです。Asanaを導入することで、タスクやプロジェクトを一元管理でき、業務効率化や生産性向上に役立ちます。
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