DXの推進部門が考えるべき戦略とは?事前の準備や策定のポイントを解説

 2022.04.11  2022.10.28

近年、「DX」というワードが飛び交っていますが、正しく意味を理解されているでしょうか。DXは、経済産業省が企業に対してDX化を推進し、ITツール等を積極的に導入するように呼びかけたことで広まりました。本記事では、DXが必要とされる理由や、導入の流れまでポイントを絞ってご紹介します。

DXの推進部門が考えるべき戦略とは?事前の準備や策定のポイントを解説

DXの意味と推進の必要性

DXとは「Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」の略で、データやデジタル技術を人々の生活に浸透させ、日々の業務やビジネスモデルをよりよいものへと変革する取り組みをいいます。

目まぐるしく変化する現代ビジネス環境において、企業が競争優位性を保つためには、移ろいやすい顧客・市場ニーズを敏感に把握し、それらに即応できるビジネスモデルを構築する必要があります。そして、それを実現しうるのがデジタル技術の活用であり、デジタル技術により企業の変革を促すDXが重視されているのです。

またDXの推進は、多くの企業が直面しているレガシーシステムの課題にも、解決の糸口を示します。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」によれば、レガシー化したシステムを使い続けることにより、2025年には最大12兆円もの経済損失が生じる可能性が示唆されています。DXを通じて自社システムの刷新を図ることで、こうした技術的負債を解消し、業務効率や生産性の向上が期待できます。

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DX推進の戦略を考えるにあたっての事前準備

DX推進の戦略を考えるにあたっては、組織改編や方針・方向性の決定など、実際にツール(ハード・ソフト問わず)を導入する前に入念な打ち合せを行い、準備段階で基盤を固める必要があります。また、既存システムの変更は会社全体に影響するため、社内各部署と密にコミュニケーションを取りながら連携しなければなりません。

つまり、DXを推進するには、その目的や意義を社内で共有し、各部署間の協力体制を構築して取りまとめる、新たな推進部門が必要です。以下では、推進部門が行う準備と果たすべき役割について見ていきましょう。

推進部門の整備

DXを推進する組織には、主に3つの編成パターンが存在し、それぞれ違った特徴をもっています。したがって、まずは自社がどのパターンに該当するか確認しておきましょう。

1つ目が、既存の情報システム部門の延長線上で考える「IT部門拡張型」です。もともとの部門がメインとなるため、新サービスの付加やシステム改修などには、スムーズに対応できます。反面、既存システムに疑問を抱いていない技術者が多いケースもあり、新しいことやシステム改修にネガティブなイメージを抱かれるかもしれません。したがって、組織を構築する際はIT部門からだけでなく、業務ノウハウを有するメンバーや他部署との調整役を担えるメンバーの人選が鍵となります。

2つ目は、事業部門がメインとなり、情報システム部門がサポートする形をとる「事業部門主導型」です。事業部門がメインとなることで、現場視点からDXを推進できるメリットがあります。一方、IT技術に関する専門知識は不足しているため、デジタル化という側面においてはスキル不足や事業スピードの鈍化なども懸念されます。この編成パターンでは、事業部門と情報システム部門が連携を密にとり、互いに状況を把握しながら推進することが重要です。

3つ目は、DX推進のために専門部隊を編成する「専門組織型」です。情報システム部門と事業部門、さらには外部ベンダーなども加えて、専門部隊としてDXを促進します。この編成パターンでは、リーダーのスキル(統率力・調整力・豊富な知識など)こそが成功の鍵を握ります。また、各部門(総務・経理や安全など)から適任者を選択してチームを構成するため、適切な人材の確保も重要です。DX化で成功を収めている企業の多くは、この専門組織型を採用しており、最も成功率が高いパターンといえるでしょう。

方針・方向性の決定

推進部門を整備後、具体的な戦略を立案し、取り組みの方針・方向性を決めていきます。この際、DXの目的を明確化して関係部署全体と共有しましょう。また、将来のビジョンに向けて、どのようなプロセスを経てDXを推進していくかも確認します。

DXは目的ではなく、あくまで手段に過ぎないので、しっかりと推進部門の役割を明文化(共有)し、社内全体としての取り組みとなるよう動機づけしておくことが大切です。

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DX推進の戦略策定で押さえたいポイント

次に、DXを効果的に推進するために、戦略策定で押さえておきたいポイントをご紹介します。推進部門の方は、事業を成功に導くためにぜひご確認ください。

スモールスタートの意識

DXは一度限りでなく、日々の業務に対して継続的に手を加えるものです。したがって、企業全体での大きな推進を前提とするのではなく、スモールスタートで一部から始めることを考えてください。

たとえば、経理部門のバックオフィスやデータ管理など、DXとの親和性が高い部分から着手を検討してみましょう。これらの業務は、自動化によって作業効率や生産性が向上しやすいため、ITツール導入前後の効果測定も比較的容易です。小さな成果からコツコツと積み上げていき、結果的に企業全体でDXを推進できれば理想的です。

ロードマップの設定

DXで取り組む内容が決まったら、それぞれの施策をスケジューリングしていきます。戦略期間中(3年後、5年後、10年後など)に目指すべき姿から逆算していくと、現実的な日程を組めるでしょう。

直近の課題を解決するため即行動に移す企業もあれば、DXの重要性を社内に浸透させることを優先し、研修などからスタートする企業もあるかもしれません。どれが一概によいというものではなく、自社の置かれた状況やリソースに応じて決める必要があります。

また、推進部門の想定と現実が異なる場合もあるため、前述したとおり入念なヒアリングと準備を行ったうえで、ロードマップを設定することが重要です。

パートナーの協力

DX戦略を推進するうえでは、自社内ですべてを解決しようとすると、うまくいかないケースが多くあります。DXで重要なのは、ユーザー視点と外部の意見を掛け合わせ、よりよいシステムを構築することです。

DX戦略に長けた人材を社内のみでまかなうのは容易でないため、状況に応じて専門性の高いパートナーを迎え入れるのがよいでしょう。パートナーとの協業は、従来ではあまり受け入れられませんでしたが、今後は柔軟に社外の声にも耳を傾け、議論を活発化させていくのが大切となってきます。

フレームワークの活用

DX戦略の立案には、自社の現状分析や将来構想を整理しなければなりません。そこで有効なのが、フレームワーク(骨組み・枠組み)を用いた整理です。フレームワークには考えるべき観点やテーマがあるため、それに沿って自社の情報を当てはめることで簡単に整理できます。

主なフレームワークとしては、たとえば「PEST分析」や「SWOT分析」があります。PEST分析は「Politics(政治)」「Economy(経済)」「Society(社会)」「Technology(技術)」の4視点で考え、SWOT分析は「Strength(強み)」「Weakness(弱み)」「Opportunity(機会)」「Threats(脅威)」の4視点から自社の事業状況を整理するフレームワークです。これらを組み合わせて考えると、自社の強みを今後も継続できそうか否かが検討できます。

現状の把握

現状の把握とは、自社のDX推進状況が客観的にどのレベルにあるかを測るものです。これは、戦略期間内にどのレベルを目標とし、どのような施策を行うべきか決めるのに必要なプロセスです。また、この段階ではDXの知識がなくても実践でき、自社のレベルを測るとともに、自社の強みを知るよい機会にもなるため、ぜひ実践しましょう。

技術の検討

DXにおいては、導入できるツールに「クラウドサービス」や「IoT」など多くの選択肢があるため、悩んでしまうことが想定されます。ここでは、自社の課題を解決するのに適した技術を選定し、ひとつずつ確実にこなせるツールを導入しましょう。しっかりと目標までのプロセスを細分化し、各ステップで目標を設定して、それに応じた技術の検討を進め、段階的に推進することが重要です。

改善の実施

DX戦略は、将来的なビジョンを達成するための中長期的な手段であり、目的ではないことを忘れないようにしてください。したがって、ITツールを導入したからといって必ずしも成功するわけではなく、失敗する可能性も十分に考えられます。そういった場合は、なぜ失敗したのかを分析し、必要な改善を加え、つど軌道修正するようにしてください。

あまりにも変更が多いと推進力に欠け、反発もあるかもしれませんが、目標達成に向けて柔軟に見直しを図ることは重要です。これらを実施するには、リーダーの強い判断力と決断力が鍵となるでしょう。

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まとめ

DXの推進は業務効率化や生産性向上、既存の組織構造からの脱却だけでなく、新たなビジネスモデルの創出や多様な事業への参入など、さまざまなシーンで効果が生まれます。しかし、組織的な取り組みになっていない場合や、ツールの導入自体が目的となっている場合、かえってシステムの複雑化や業務工数の増加を招きかねないことも留意しておきましょう。

DXを推進するためのITツールは無数に存在しますが、その中でも「Asana」は仕事の調整と管理をサポートし、生産性向上に貢献するITツールとして高い評価を得ています。有名企業への導入実績もあり、サポート体制も充実しているため、ぜひ候補のひとつとして検討してみてはいかがでしょうか。

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