DX化とは?実施のメリットや課題、成功のポイントを解説

 2022.04.13  2023.08.23

DXとは、デジタル技術の活用によってビジネス環境の変化に対応し、新たな価値を生み出すことです。市場優位性を築けるだけでなく、業務効率化や生産性の向上などの効果も期待できます。この記事では、DXの概要に触れながら、導入のメリットや成功に必要なポイントなどを解説します。

DX化とは?実施のメリットや課題、成功のポイントを解説

DX化とは

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称です。もともとは、スウェーデンの大学教授であるエリック・ストルターマン氏によって「ITの浸透によって人々の生活をよりよく変化させること」と定義されていました。

しかし、近年はより広い意味で使われるようになり、経済産業省の「デジタルガバナンス・コード2.0」によるとDXは次のように定義されています。「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」

つまり、DXをわかりやすくまとめると下記のようになります。

  1. データやデジタル技術によってビジネス環境の変化に対応すること
  2. また、それによって製品・サービス、ビジネスモデルを変革し競合他社より優位に立つこと

したがって、DXは、ただデジタル技術を導入する取り組みを指すのではなく、それによって企業が市場優位性を確立する取り組みを指します。

参照元:経済産業省「デジタルガバナンス・コード」
※P1をご参照ください。

DX化とIT化の違い

IT化とは、既存の業務プロセスをIT技術によって効率化することです。たとえば、「紙資料に記入していた売上表を会計システムで管理するようになった」「従業員の勤怠をタイムカードから社員証の読み取りに変えた」などが挙げられます。

IT化は、あくまでもともとの業務プロセスを維持したうえで、業務の効率化を目指します。IT技術の導入そのものを目的としており、新たな価値の創造や、仕組みの変革などを目的としているわけではありません。

一方、DX化はデジタル技術の導入だけでなく、それによる市場優位性の獲得を指す言葉です。顧客にこれまでにない素晴らしい体験を提供したり、社内の業務プロセスを根本から変えたりと、大幅な改革が行われるケースも見受けられます。したがって、ただ特定の業務をIT化しただけではDX化に成功したとはいえません。IT化はDX化を実現するための手段のひとつとして捉えるとよいでしょう。

DX化とデジタル化の違い

デジタル化とは、もともとアナログで行っていた業務やデータをデジタル技術に置き換えることです。「DX化とIT化の違い」で紹介したことと同じように、デジタル化もDXを実現するためのひとつの手段に過ぎません。デジタル化もデジタル技術を導入することそのものを目的としており、それによる変革や価値の創造を目的としているわけではないからです。

DXは、IT技術やデジタル技術などによって、ビジネスに変革が起きた状態を指します。したがって、ただ業務にデジタル技術を導入しただけではなく、その技術が成果や収益に結びついていることが大切です。

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DX化が重要視されている背景

近年、日本でDXが重要視されている背景には、経済産業省が発表した「2025年の崖」という課題が挙げられます。また、スマートフォンの普及により市場がいちじるしく変化し、データを活用したマーケティングが求められるようになった側面もあります。

「2025年の崖」に対する懸念

「2025年の壁」とは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」のなかで指摘した課題です。レポートによると、現在、日本企業が使用している業務システム「レガシーシステム」は、事業部門ごとに構築されていることが多く、データの横断的な活用ができなかったり、過剰なカスタマイズがされていたりする課題があります。仕様が複雑化・ブラックボックス化しており、このままではDXが実現できず、2025年以降1年あたり最大12兆円の経済損失が生じる可能性があると指摘しました。

レポートによると、日本企業の約8割がこのレガシーシステムを抱えているといいます。レガシーシステムは、保守・運用に費用や人材などのコストがかかりやく、このままではIT人材が不足しセキュリティをはじめとして、さまざまなリスクが高まる可能性があります。

このように、既存の業務システムを使い続けると、さまざまなリスクがあることがわかりました。経済損失や人材不足、セキュリティリスク、システム維持費の高騰、デジタル競争からの敗退などのリスクに備えるために、日本企業はシステムを根幹から見直し、DXを進める必要があります。

参照元: 経済産業省「DXレポート~ITシステム『2025年の崖』の克服とDXの本格的な展開~」
※P2,3,4,5をご参照ください。

環境変化への対応・企業成長の維持

インターネットやスマートフォンの普及により、消費者はさまざまな情報にアクセスできるようになりました。近年、企業のマーケティング施策はますます多様化しており、IT関連ではない一般企業においても、ウェブやアプリを通じた顧客接点の創出が重要視されています。

また、消費者の購買データやアクセスデータ、行動履歴などを蓄積してマーケティング施策に活かす取り組みも一般的になりつつあります。DXが進められていないと競争力の低下につながり、市場の変化に対応できなくなる可能性もゼロではありません。企業が成長を続けていくために、DXへの対応は必要不可欠といえます。

政府が面的DX化支援を実施

経済産業省が「2025年の壁」についてレポートを発表したことで、企業のDXを支援する支援政策が政府によって進められています。

たとえば、2022年5月に観光庁は「アフターコロナ時代における地域活性化と観光産業に関する検討会」の最終とりまとめを公表しました。この取り組みは、アフターコロナの観光産業再生に向けて2021年11月から議論を続けてきたものです。最終とりまとめでは、今後取り組むべき施策として以下の2点が挙げられました。

  • 観光地の面的な再生・高付加価値化の推進、持続可能的な観光地経営の確立
  • 観光産業の構造的課題の解決

ほかにも、IT導入補助金やものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金、中小企業デジタル化応援隊事業、戦略的基盤技術高度化支援事業など、企業のDXを支援する補助金が設立されています。

参照元:観光庁「アフターコロナを見据えた観光地・観光産業の再生に向けて~稼げる地域・稼げる産業の実現~(概要)」
※P1をご参照ください。

DX化を実施する目的

企業がDXを導入する目的は、主に企業競争力の向上や、業務効率化による生産性の向上などです。前述したように、DXはただ企業がIT技術・デジタル技術を導入する取り組みを指すのではなく、それらを活用し、いかに競争優位性を確立するのかがポイントとなります。したがって、それぞれの企業は「デジタル技術によってどのような価値を提供するのか」というゴールを明確にすることが大切です。

また、既存のビジネスにデジタル技術を組み込むことで、サービスの質が向上したり作業時間・人員が削減できたりする効果もあります。企業競争力の向上を目指すなかで、結果として生産性が向上するケースも少なくありません。

企業でDX化を実施するメリット

企業がDXを推進するメリットは、生産性の向上や働き方改革の実現、新しいサービス開発につながる可能性があることなどです。

業務効率化で生産性向上につなげられる

既存のアナログ業務をIT化・デジタル化していくことで、業務効率の向上が期待できます。たとえば、紙資料でデータを管理している場合、「どこにどのファイルがあるのか」「必要なデータがどこにファイリングされているのか」などを把握するのに時間がかかってしまいます。紙資料をデータ化しそれらを一元的に管理するシステムを導入すると、必要なデータをすぐに取り出せるようになります。

既存業務のデジタル化はDXを実現する手段に過ぎませんが、システムの見直しや新たなツールの導入などを進めていくなかで、結果として業務効率が向上する可能性があります。単純な入力作業など一部の業務を自動化することで、優先度の高い業務に人員を配置でき、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

働き方改革を実現できる

DXを進めるなかで業務のIT化・デジタル化が実現すると、従業員の働き方も変化していきます。新たなシステムの導入によって業務プロセスが効率化したり、作業工程が短縮したりすると、業務に従事する時間も短くなります。残業時間の減少やワークライフマネジメントの促進などが期待でき、従業員満足度の向上にも貢献するでしょう。

また、オフィス以外の場所からも必要なデータにアクセスできるようになると、リモートワークが可能性になります。従業員は働く場所を柔軟に選べるようになり、より自由な働き方が実現します。

新しい事業・サービスを開発できる

紙資料をデータ化し、ITシステムなどで管理するようになると、データが自動で蓄積されるようになります。また、IoTを導入することで、これまで把握できなかった課題が明確になったり、目の届かなかった場所をモニタリングできるようになったりするケースも少なくありません。新たなデータの獲得・蓄積が容易になるため、それらを活用することで新たな事業やサービスを展開できる可能性もあります。

加えて、蓄積したデータを業務に活かす方法もあります。たとえば、これまでの人事データを分析すると、適切な人材育成の方法や配置などがわかってくるかもしれません。過去のデータから傾向や対策、失敗のパターンなどを導き出せば、改善点の発見につながります。

DX化を実施する際にありがちな課題

このように、DXの促進は企業にとってさまざまなメリットがあります。しかし、DXを実施するなかで企業がおちいりやすい課題もあるため、あらかじめ対策を行うことが大切です。

ひとつ目は、既存システムの仕様を把握できていないと、システム移行が難航する可能性があることです。「DX化が重要視されている背景」で紹介したように、DXを促進し「2025年の崖」に対応するには新たなシステムへの移行が不可欠です。しかし、管理者がすでに退職していたり人材が育っていなかったりと、既存システムの仕様を把握できない状態にあることも珍しくありません。加えて、既存システムを長期間使用している場合、システムの肥大化・複雑化が起こりやすく、仕様の把握が困難になりやすいという問題もあります。そのような問題が発生しているときは、まず障壁となる既存システムの問題解決を優先しましょう。

ふたつ目は、予算や人員を十分に確保できないと、既存業務のデジタル化が進まない可能性があることです。システム導入の費用や開発費、ランニングコスト、運用・定着を進めるための人材など、システム移行にはある程度のコストがかかります。十分な予算が確保できないと、業務をデジタル化する段階で失敗してしまうこともあります。無駄なコストを削減することも大切ですが、長期的な視点で企業競争力を向上するために、しっかりと予算を確保しましょう。

DX化の成功に必要なポイント

DXの促進で大切なのは、必要な予算・人材を確保することや、従業員の理解を十分に得たうえで実施することなどです。

必要な予算を確保する

新たなシステムへスムーズに移行し、従業員に定着させるには予算の確保が大切です。システムの導入にかかる初期費用だけでなく、既存システムの複雑性を把握するための人材や、新規システムの選定に必要なコストなども想定しましょう。

また、導入するシステムはただ最新のものを選べばよいわけではなく、企業の体制やルール、業務内容などに合ったものでなくてはなりません。適切なシステムを慎重に選ぶ必要があり、導入後は状況にあわせて外部の運用支援サービスなどを活用する方法もあります。

人材を確保・育成する

DXを成功させるには、デジタル領域に精通した人材を社内に確保することが大切です。たとえば、DXの実現を先導するプロデューサー、ビジネスデザイナー、データサイエンティスト、システムアーキテクト、エンジニア、UXデザイナーなどはDXに向けた組織づくりに欠かせない重要な人材です。内部に適切な人材がいない場合は、外部から新たな人材を採用することも検討しましょう。

また、社内でDX人材を育成するという方法もあります。時間やコストはかかりますが、業務内容や体制、ルールなどを理解した従業員がDXに取り組むため、企業の特色に合った施策を進めやすいというメリットがあります。

社員の理解を得る

DXによって既存システムを新たなものへ移行すると、従業員の業務プロセスもこれまでと大きく変わる可能性があります。また、ビジネスモデルや事業内容、社内組織などを根本から見直す必要性もあり、DXは企業に大きな変化をもたらします。そのため、従業員のなかには変革に反対する人も現れるかもしれません。

DXを成功させるには、現場の従業員と企業の上層部が意見を共有し、しっかりとコミュニケーションを取ることが大切です。なぜなら、DXで取り組む内容は、実際に業務を行う従業員が求める改善でなければ意味がないからです。意思決定を行う上層部だけでなく、企業全体でDXに取り組むことを意識し、しっかりと従業員の理解を得るようにしましょう。

DXを支えるデジタル技術とは? DX実践事例や成功のポイントも紹介

近年、DXの実現が多くの企業で重要な経営課題となっています。そこで本記事では、DXを実現するうえで欠かせないソリューションやポイント、企業のDX事例などをご紹介します。DXの推進に取り組んでいる企業は、ぜひ参考にしてください。

まとめ

DXとは、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)」の略称で、デジタル・IT技術の活用によって市場優位性を確立する取り組みを指します。ただ既存の業務をデジタル化するのではなく、それによって製品・サービスをよりよいものに変え、ビジネスモデルや業務内容、組織、プロセスなどを変革し、これまでにない新たな価値を生み出すことがポイントです。

したがって、DXは企業に大きな変化をもたらします。DXを進めるなかで行った施策が、結果として業務効率・生産性の向上や働き方の改善、新たなサービスの開発などさまざまなメリットにつながる可能性もあります。しかし、その一方で予算・人材不足によって効果が得られなかったり、既存システムの問題によって既存業務のデジタル化が進まなかったりと、課題を抱える企業も少なくありません。DXに取り組むときは、あらかじめしっかりと予算・人材を確保し、従業員の理解を得たうえで企業が一体となって推し進めることが大切です。

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