目標管理におけるMBOの課題や運用上の注意点とは

 2020.10.12  ワークマネジメント オンライン

年功序列が色濃く残っていた日本でも、近年の変化の速いビジネス環境を受けて、成果主義が広がってきています。それに伴い、マネジメント方法にも変化が現れ始めました。そこで本記事では、メジャーなマネジメント手法のひとつである「MBO」について解説します。MBOを活用するメリットや、運用上の課題などについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

目標管理におけるMBOの課題や運用上の注意点とは

MBOとは

「MBO(Management by Objectives)」とは、世界的にも有名なアメリカの経営学者ピーター・ドラッカー氏が提唱した、マネジメントに関する手法のことです。直訳すると「目標による管理」を意味し、しばしば「目標管理」とも呼ばれています。

具体的な内容としては、個人の目標を組織の目標達成の中に位置付け、各個人がその目標達成に向けて行動することで、モチベーション向上や人材育成につながるとするマネジメント手法です。上司からの一方的なマネジメントではなく、部下それぞれが自発的に目標を立て、その達成に向けて上司が伴走するイメージです。

日本では、伝統的に年功序列主義が根付いていたのですが、近年の成果主義への転換も相まって、MBOの考え方が広がりつつあります。

MBOの課題

MBOによるマネジメントはメリットも多い一方で、具体的に実践する際の課題もあります。ここでは、MBO運用における主な課題についてご説明します。

目標と結果のみへのフォーカス

MBOは成果主義とも好相性なマネジメント手法ですが、裏を返すと、目標や結果のみにフォーカスされてしまう危険性も孕んでいます。つまり、目標や結果ばかりが重視され、そこに至るまでのプロセスが軽視される可能性があるのです。

ある意味「ノルマ管理」のように、MBOによるマネジメントがなされた結果、MBOの一部である生産性向上や人材育成に対して効果をもたらさなくなってしまうことがあります。もちろん、組織や個人の目標の達成度も重要ですが、そのプロセスも含めて評価されるような運用が望ましいです。

モチベーションの低下

目標を明確に定め、それによって管理していくMBOは、人事評価とも関連するケースが多いです。よって、目標への達成度がそのまま評価に直結します。もし目標に思うように近付けず、評価が低かった場合、従業員のモチベーション低下につながりかねません。あるいは、主体的に定めた目標ではなく、上司や組織から一方的に定められた目標であれば、そもそも達成への意欲が上がらなくなる懸念もあります。

人事考課用のノルマ管理ツール化

目標を中心としたマネジメントでは、人事評価と連動しているケースが多く、ともすると人事考課用のノルマ管理ツールと化しかねません。そのほうが、評価を行うプロセスが簡易になり便利だからです。

しかし、目標の達成度が人事評価の中心となると、単なるノルマ管理とほぼ同義になってしまいます。冒頭でもご説明した通り、MBOには目標管理とその達成プロセスを通じた生産性向上・人材育成などの側面もあるため、「ノルマ管理」ではMBOのメリットを活かしきれません。

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低い目標設定の懸念

MBOは、目的をしっかりと理解してから運用しないと、「目標を達成できたかどうか」にばかり焦点が当たってしまいます。すると、特に目標の設定を各個人に任せきりにした場合、達成しやすく低い目標に設定しがちです。つまり、本来よりも低いレベルの目標を立ててしまう可能性があるのです。

無論、この場合においてもMBOが本来目指す人材育成や企業の業績向上とは、反対のベクトルになりかねません。

MBOの運用上の注意点

次に、MBOを運用していくうえでの注意点を6つの観点から解説します。

組織目標や方向性の共有

MBOを運用していると、各社員が自身の目標にのみ集中してしまいがちです。特に、人事評価と紐づいている場合、ある意味仕方のない部分もありますが、その目標が組織全体の目標にどう位置付けられるかを納得・理解してもらったうえで、業務に臨んでもらうことが大切です。そのためには、組織が短期・中長期的に向かっていく目標を各社員に共有し、理解を得ることがポイントになります。

企業理念や企業の目標を現場の各社員に浸透させるのは簡単ではありませんが、MBOの運用を効果的に行うには欠かせない部分です。一方で、個人目標と組織全体の目標の両方の視点を各社員が持っていれば、社員の一体化や経営者視点の共有も同時に実行できます。継続的に企業の理念やビジョン、目標について共有する機会を設けるとよいでしょう。

個人目標に関する話し合い

MBOでは、会社やチームの目標に基づいて、個人の目標にブレイクダウンします。この前提を守れていれば、企業全体の方向性と異なる目標が設定されることはありませんが、目標レベルの妥当性については上司も含めて確認が必要です。
目標の達成度によって評価が決まる側面もあるので、心理としては達成可能な目標を設定しがちです。各個人が主体的に設定し、当事者意識を醸成できるのもMBOのメリットですが、その目標の適性さについてはしっかりと検証を行うようにしましょう。

組織・個人の成長につなげるという観点においては、達成可能ではあるものの、ある程度の難易度があり、努力しないと届かない水準に設定するのがよいでしょう。つまり、社員のその時点での能力や経験を少し超えている水準を見極めることも大切なので、上司などによる確認も重要なのです。

進捗の把握

目標を設定して終わりではなく、定期的に進捗をチェックしたり、振り返ったりすることでMBOの効果が高まります。目標の設定そのものを目的化してはならず、その進捗を確認するプロセスを運用に組み込むことが大切です。方法は企業や組織によりけりですが、日報への記載や上司との定期的な面談などにより、定性的・定量的に把握します。

また、目標を定めるうえで、同時に「期間」についても設定するのが基本ですが、期間終了時にのみ振り返りや評価を行うのではなく、途中でも適宜振り返りを行うのがポイントです。途中で目標に対する行動のズレを発見できたり、そもそも目標の妥当性が低いことに気付けたりすることもあります。日々の運用の中で、目標に対する進捗をきちんと把握しておきましょう。

評価基準の明確化

MBOでは、目標の達成度やそのプロセスが主な評価基準となります。実際の評価は、期末やプロジェクトの終了時などに行うのが基本ですが、まずは自身で達成度や各項目に対する振り返り・評価を行い、上司や人事部も評価を行ったうえですり合わせします。MBOでは、上司などによる一方的な評価ではなく、被評価者本人も自己評価を行い、自身で振り返り考えさせるプロセスが大切です。自己評価を一方的に否定するのではなく、その評価に至ったプロセスも含めヒアリングすることで、あるべき方向性に導くことも可能になるでしょう。

なお、評価にあたっては、目標の達成に対する評価基準や軸を事前に明確にしておくことが大切です。事前に明示された基準を理解したうえで、各社員が日々の業務に向かっていれば、事後の評価に対する納得感は高まります。一方、基準が曖昧な状態で運用した場合、他者からの評価に対して納得しづらいものです。メンバー間での評価に公平性が欠けないよう、可能な限り客観的な評価軸を事前に明示しましょう。

コミュニケーションの意識

「目標達成に向けた進捗の把握」と被る点もありますが、組織内でのコミュニケーションへの意識を高めることも、MBOを運用するうえで大切なポイントです。

MBOには個人単位で目標に向けて行動していく側面があるので、しばしばコミュニケーションが軽視されがちですが、MBO成功の鍵は、上司と各社員あるいは社員同士の信頼関係にあるといっても過言ではありません。そのためには当然ながら、日ごろのコミュニケーションが重要なのです。

MBOでは目標への到達度が可視化されるため、あまり成果が出ず評価の低い社員については、特に上司が積極的にコミュニケーションを図り、目標とのギャップや評価について納得してもらうことが必要です。個人個人の主体性が鍵を握りますが、主体性を引き出すポイントは「納得感」にあることを念頭に置きましょう。

MBO自体に関する理解

MBOのようなビジネス用語は、言葉だけが独り歩きして、その意味や意義についてしっかりと理解されないまま運用される傾向もあります。企業の理念やビジョンが現場レベルの従業員にまで落とし込まれていないケースがあるように、MBOについても経営陣や人事だけが理解し、現場ではなんとなくの運用に留まることもあるでしょう。

しかし、MBOを企業としての成果に結び付けるには、少なくとも上司やマネージャーレベルのメンバーは、その意義を正しく理解できている必要があります。そのための説明やコミュニケーションを抜かりなく実施するようにしましょう。

場合によっては、管理職を対象とした研修も有効です。一番の理想は、管理職や上司レベルの先に、現場の全社員にもMBOの目的や内容をしっかりと理解してもらったうえで、より主体的なアクションを各々が取れるようにすることです。

最初は手間や時間もかかるかもしれませんが、一度この「文化」や「仕組み」が定着すれば、中長期的な業績向上に大きく寄与するでしょう。

まとめ

高度経済成長期に根付く「年功序列」をベースとした企業経営が今、岐路に立たされています。ITをはじめとしたテクノロジーの浸透や、変化のスピードが速くなっていることが背景に挙げられます。

そこで、近年広がりを見せているのが「成果主義」への転換です。中でもMBOは成果主義と相性がよく、導入する企業が増えてきています。一方で、ご紹介したポイントや注意点を押さえておかないと、MBOがマイナスに働くこともあります。

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