調査データからみる日本の働き方の特徴〜世界と比べてどこが変?〜

 2020.04.27  2022.02.17

日本では働き方改革の重要性が強調されていますが、自社が成功していると考える企業は、そう多くはないのではないでしょうか。その原因に日本のナレッジワーカー(知識労働者)が生産性の低い「仕事のための仕事」にかける時間が、世界と比べ2倍であることなどが挙げられます。当記事では、調査データを基に、日本の働き方の特徴や働き方改革が進まない理由を考察します。

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日本の働き方の現状

日本で働き方改革の必要性が叫ばれるようになって、すでに数年が経過しています。今や日本の企業で、このキーワードを聞かない職場はほとんどないのではないでしょうか。

しかしながら、実際には職場をよくするための働き方改革によって、かえって現場が混乱するなど、その効果がきちんと表れていない企業も多く見受けられます。たとえば、残業時間を減らすため安易に残業禁止をしたり、効率化のための施策や導入したツールが現場に合っていなかったり、はたまた従業員の状況把握にかかる管理職の負荷が大きくなったりしているのが、現場が混乱する主な理由です。

なぜ、こうも働き方改革の効果が出ないのでしょうか。それは、働き方改革を正しく実践できていないことが原因です。そもそも働き方改革とは具体的に何を目指すものか、改めて振り返ってみましょう。

働き方改革は日本企業にとって変革のチャンス

働き方改革は本来、自社の変革をもたらすチャンスであるはずです。働き方改革は、今後、少子高齢化が進み労働者の確保が必要となる中、「誰もが活躍できる一億総活躍社会」を実現するための取り組みとして生まれました。

現状のまま人口が減っていくと、日本の労働者人口が2060年にはピーク時の半分にまで落ち込むといわれています。働き手不足をカバーするためにも、働き方改革を推し進め、企業が変わる必要があるのです。

働き方改革によって実践すべきなのは、たとえば一人当たりの労働生産性を上げることで、従業員が自身の能力を発揮できるようにすること、従業員満足度を上げ離職率低下を防ぐことなどです。自社で働き方改革を行っていたとしても、これらが正しく実践されておらず従業員の満足度が低下してしまっているようであれば、その施策には意味がありません。反対に、働き方改革が正しく実践さえできれば従業員の労働生産性が上がり、企業の変革につながるのです。

世界と日本の働き方を比較

「ナレッジワーカー(知識労働者)」とは、その名の通り、自身の知識によって企業や社会に新しい価値をもたらすタイプの労働者を指します。肉体労働者に対する概念といえば分かりやすいでしょうか。

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世界と日本のナレッジワーカーの働き方を比べてみると、なぜ日本の働き方改革が成功しないのか、その要因が見えてきます。両者の働き方には明確な違いがあるからです。

ここからは、「Asana Japan(アサナ ジャパン)」が調査した、世界6ヵ国の働き方に関する調査「仕事の解剖学」指数のデータを基に、日本と世界の働き方にどのような違いがあるのかを説明します。

日本の労働時間の使い方

日本のナレッジワーカーに、仕事をしている中で無駄と思われる時間は全体のどれくらいの割合か聞いたところ、28%との結果が出ました。これは世界平均の35%と比べ、7ポイント低い結果ですが、実際に「他国に比べて無駄な時間が少ない」わけではありません。

たとえば週次報告を準備するに当たり、事前にすり合わせするためのミーティングなどの「仕事のための仕事」は無くてもよいものですが、日本のナレッジワーカーはこれをおかしいと感じずに、必要な仕事と認識しています。対して客観的に自己分析を行う欧米のナレッジワーカーは、それを「仕事のための仕事」と認識し、「無駄な時間」と判断しているのです。

日本と世界とでは、このような意識の違いから労働時間の使い方にも差が生じています。

残業する人の割合、労働時間が最も多い

頻繁に、もしくは常に残業する日本のナレッジワーカーは全体の82%にも及び、他国と比べ最も高い割合であることが分かりました。また、週当たりの労働時間は世界平均が37時間57分であるのに対し、日本の平均は38時間32分と世界で最も長く、一人当たりの1日の平均残業時間は1時間11分でした。

日本のナレッジワーカーは、世界で最も長時間労働を強いられている上に、残業・サービス残業も多いことが見て取れます。

生産性を感じられない仕事が多い

日本のナレッジワーカーが生産性の低い「仕事のための仕事」にかける時間は全労働時間の59%を占めており、世界平均の2倍以上との結果が出ています。さらに、日本のナレッジワーカーが全労働時間内に無駄があると認識している割合は28%にとどまっています。

つまり、世界では仕事の生産性についての意識が高いのに対し、日本では生産性の低い「仕事のための仕事」が必要な仕事になってしまっていて、世界と比べると異常な状態です。その原因はどこにあるのでしょうか。

「仕事のための仕事」を減らすメリット

自分の仕事が会社の付加価値をどれだけ高めているか、会社の目標を達成するのに役立っているか自覚できている日本のナレッジワーカーは、全体の19%にとどまります。また、日々の業務に関して、誰が・いつまでに・何のためにするのかといった「タスクの明確性の欠如」の割合は32%に達し、それが国内のナレッジワーカーのストレスとなっています。

そういったストレスから解放されるためには、生産性が疑われる「仕事のための仕事」を減らし、目の前の業務の目的を明確化することが必要です。その結果として、「よい仕事ができている」という実感をもって正確な判断ができるようになり、新たなビジネスチャンスをつかめるようになります。

「仕事のための仕事」を減らすには

それでは、どのようにすれば「仕事のための仕事」を減らせるのでしょうか。有効なのは、仕事を一元化できるツールを活用することです。それによって計画やプロセス、誰が・いつまでに・何をするのかといったことを関係者が簡単に把握できるようになります。

結果、関係者同士で認識合わせのためのミーティング(仕事のための仕事)など、無駄な時間を減らせるわけです。これで従業員は、より価値のある仕事に明確な目的をもって臨めるようになり、働き甲斐を得ます。生産性も高まるため、会社への貢献度・ワークライフバランスを最適化できるのです。

Asana による効果

「Asana」とは、世界中の先進的な組織に採用されている仕事管理ソフトウェアです。Asanaを使えば、関係者が計画や進捗状況をいつでも簡単にチェックできるようになり、より効率的なコラボレーションが実現するのに加え、「仕事のための仕事」の発生を防ぎます。仕事の作業効率・生産性も大幅に上がると共に、従業員が目の前の仕事をする意味や価値を明確に把握できるようになります。

その結果、従業員のモチベーションにもつながり、それが生産性を向上させるという好循環のきっかけになるのです。従業員は、コンピューターでは行えない業務に自分の時間を割くことができるようになり、より重要なタスクに取り組めるようになります。適切なツールの利用により、従業員が自信を持って業務に取り組めるようになるのも重要な効果です。

Asanaは2012年のリリース以降、195ヵ国で利用されるまでとなり、これまで作成されたタスクの数は10億件に及びます。数多くの企業が参考にする技術や製品の報告書「The Forrester WaveTM」では、ワークマネジメントのトップツールとして高く評価されています。

まとめ

日本のナレッジワーカーは海外と異なり、生産性の低い「仕事のための仕事」を必要な仕事と割り切ってきた歴史があります。結果「仕事のための仕事」に海外の2倍以上の時間をかけています。適切なツールを用いて業務の目的を明確化することにより、「仕事のための仕事」を減少させ、より価値の高い仕事に取り組めるようになるでしょう。

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