プロジェクトの管理者なら知っておきたい13の手法

 2020.04.24  2024.04.11

プロジェクトの管理手法にはさまざまな種類があります。本記事では、プロジェクト管理を行う担当者の方に向けて、管理手法を知る意味や、ぜひ知っておきたい13の管理手法などについてご紹介します。上手に活用して、プロジェクトマネジメントに役立てていきましょう。

プロジェクトの管理者なら知っておきたい13の手法

プロジェクト管理の手法を知っておく意味

「プロジェクト管理」とは、プロジェクトにおける作業スケジュールやコスト、進捗状況、リスク管理などあらゆる観点から、プロジェクトが成功に終わるように全体の管理をしていくマネジメントのことを指します。プロジェクト管理をスムーズに行うためには、プロジェクト管理手法を知っておくことが重要です。プロジェクト管理手法を知ることで、管理をより効率的に行えるようになります。

プロジェクト管理手法を知るためには、「PMBOK」を学ぶのが効果的です。PMBOKとは、「Project Management Body of Knowledge」の略で、プロジェクトマネジメント知識体系ガイドという管理の分類と標準のことをいいます。PMBOKには、プロジェクト統合マネジメントやプロジェクト人的資源マネジメントなど、合計10の知識エリアが含まれているため、プロジェクト管理を行ううえで必要な幅広い知識を習得するのに役立つでしょう。

詳しくは、こちらの「プロジェクト管理ツールとは?その基本的な機能を解説」記事でご参考にしてください。

プロジェクトの管理者なら知っておきたい13の手法

プロジェクト管理者ならば知っておくべき管理手法を13個ご紹介します。具体的な管理手法としてはガントチャートやタイムライン、PERTなどさまざまな種類がありますが、それぞれ上手く活用するためには、それぞれがどのようなものかを知ることが必要です。なお、これからご紹介するプロジェクト管理手法はPMBOKの一つ、もしくは複数の知識エリアに関わるプロジェクト管理に活用できます。

WBS

WBS」とは「Work Breakdown Structure」の略で、「作業分解構成図」を意味します。WBSでは、プロジェクトを完成させるために必要な全体の作業を細分化し、説明していきます。

この手法を行うのは、プロジェクトにおける細かい作業を明確化するためです。細かな作業を明確にすることで、誰が・いつまでに・何をやらなくてはいけないかのスケジュールが分かるだけでなく、全体で図を確認することで、作業の抜けや漏れを確認し、作業範囲の共通認識を持てるというメリットがあります。

WBSを作成する場合、先の予定過ぎて何の作業が必要なのか細分化できないときもあるでしょう。そのような場合は無理に細分化せず、その前段階の作業をしながら徐々に作業内容を洗い出していくとよいです。また、プロジェクトごとに作成し直すのではなく、あらかじめ作成してあるものを参考に書き換えていくことで、作業の洗い出しミスを防いだり、作成時間を短縮したりできます。

なおWBSを作成する際は、Excelやwebなどのツールを活用するのがおすすめです。

ガントチャート

「ガントチャート」は、世界中の多くのプロジェクトでも活用されている管理手法で、最も古いスケジューリング手法といわれることもあります。プロジェクトの作業工程や進捗状況を表形式で表わすことができ、一目で確認できるのがポイントです。なお、ガントチャートは単体で活用するのではなく、WBSと組み合わせて使用するのが一般的です。そのため、WBSを作成する際に一緒に作成しておくとよいでしょう。

ガントチャートでは、タスクを表の上から順番に記入し、それぞれのスケジュールや作業時間を左が開始日、右が完了日を示すバーで表示していきます。タスクは順次実行するだけでなく、並列または重複して実行可能です。WBSとともにガントチャートを作成することで、プロジェクトの工数見積もりを正確に算出できるなど、作業スケジュールを視覚化できる点が優れています。

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ガントチャートはプロジェクト管理ソフトを使用すれば簡単に作ることができるので、それらのツールの活用も検討してみましょう。

マインドマップ

「マインドマップ」は通常のプロジェクト管理手法よりも、柔軟性をもってタスク管理ができるツールとして知られています。マインドマップを作成することで、複雑なプロジェクトを小さなタスクに分解して、問題点を分析できます。ここで分解したタスクはWBSの作成にも用いることが可能です。マインドマップでは、マップ上に写真やファイルを置いて、リンクもできます。

カレンダー

「カレンダー」は最も導入しやすく、簡単に使えるスケジュール管理手法といえるでしょう。カレンダーを使ったスケジュール管理は、プライベートでも活用している人も多いので馴染みがあり、取り入れやすいでしょう。プロジェクト管理でカレンダー機能を活用する場合は、プロジェクトのタイムスケジュールを分かりやすく記入します。納期までの時間を逆算して記入することで、プロジェクトマネジメントにおける時間管理をスムーズに実行できます。

カレンダーは、プロジェクトに参加しているメンバー全員で共有できる状態にしておくとよいでしょう。個人管理に頼るのではなく、メンバー全員でカレンダーを共有し、メンバーそれぞれの作業スケジュールや状況を全員でチェックしながらプロジェクト管理ができるため安心です。

タイムライン

「タイムライン」を使用すると、プロジェクトのタスクを時間通りに線で表示できます。時系列でタスクを表示できるので、いつまでに何をやらなくてはいけないのか、視覚的にはっきり分かるようになるでしょう。一方で、そのような表示ができるのは便利ですが、作業の進捗状況や完了状態を表示させるには制限があるので、少々不便に感じる面もあるかもしれません。

作成にはタイムライン作成ツールを活用するのがおすすめです。作成ツールを使用すると、さまざまなデザインのタイムラインを作成でき、色変更やサイズ調整なども簡単に行えるでしょう。無料で使えるツールもあるので、ぜひチェックしてみてください。

ウォーターフォール

「ウォーターフォール」は、作業工程を順番に積み上げながらスケジュールを立て、時系列に沿って一つずつ着手していく手法です。システム開発であれば、顧客ヒアリングや設計、運用など、プロジェクトの流れを参考にスケジュールを組み立てていきます。

この手法はシンプルで分かりやすいので、規模が大きく、完成までに長期間を要するプロジェクトを管理するのに向いているといわれています。また、作業工程が毎回変わらないようなプロジェクトにも適しています。

しかし、作業途中でプロジェクトの方針が変わる可能性がある場合は、変更に余計な手間がかかるため、対応しにくいというデメリットがあります。そのため短期間のプロジェクトや、作業の流れが変わる可能性のあるプロジェクトには不向きとなります。近年のプロジェクトでは、顧客のニーズや環境による変動が起こりやすくなっているので、ウォーターフォールはあまり推奨されていないようです。

アジャイル

「アジャイル」は、変更の発生に対応しやすい管理手法で、ウォーターフォールに代わる方法として注目を集めています。この手法では、プロジェクトを1~4週間単位の短い期間に分けて、管理を行うのが特徴です。分けた期間ごとに目標や計画を立て、それを繰り返していくことでプロジェクトを進めていきます。

短い期間に分けて計画を立てておくことで、途中で変更が起きても対応がしやすくなります。反面、長期間プロジェクトの場合は全体を管理しにくくなるというデメリットもあるので、アジャイルは短期間のプロジェクトで活用するのがおすすめです。

進捗管理

「進捗管理」は、プロジェクトの進みを追う手法を指します。タスクごとの進み具合を確認できるだけでなく、メンバーの作業状況も可視化できます。タスクの進捗状況と作業担当者を明確にできるので、全体管理もスムーズに行えるでしょう。また、タスクの進捗状況は%で表示されるので、完成までにあとどれくらいの作業が必要なのかを把握しやすいのがメリットです。

QFD

「QFD」とは「Quality Function Deployment」を略したもので、「品質機能展開」を意味します。QFDは日本発の管理手法で、顧客のニーズを受け止めたうえ、どのような技術工夫を行えば品質を満たしながら顧客の要望に応えられるのかなど、品質を確保しながら顧客ニーズに応える方法を明確にします。顧客と開発者の橋渡しをするための効果的な提案や設計稿を得るのに役立たせることができるでしょう。

QFDには品質展開やコスト展開など、5つの種類が含まれています。また、QFDを視覚化させるためには「品質機能展開表」の作成が効果的です。品質機能展開表は顧客の要求を聞き、階層構造にまとめることから始まります。その後、技術的にはどのような特性を考慮すべきかを検討したのち、企画品質や設計品質を明確にしつつ構成していきます。

CCPM

「CCPM」は「Critical Chain Project Management」の略で、大規模プロジェクトで使われることが多い手法です。CCPMでプロジェクト管理を行うことで、無駄を防いでスケジュールを短くし、プロジェクト全体に余裕を持たせる効果が期待できます。この手法を用いることで、作業者が締め切りギリギリまで作業をしない事態を防げるほか、万が一作業に遅れが発生した場合も、あらかじめ余裕があるスケジュールを設定しているので、納期に影響させなくて済むというメリットがあります。

PERT

「PERT」は「Program Evaluation and Review Technique」を略したもので、タスクや作業の処理順序の関係を図表化し把握する手法です。図にはタスクや作業時間、作業開始日や終了日を記入していきます。また、タスク同士を矢印でつなぐことで、それぞれの相互関係と順序関係を明確にすることができるため、煩雑なプロジェクトの際に使用されることが多いようです。この手法を導入することで、プロジェクトの重点を置くべきポイントや問題点が分かるようになるでしょう。

PPM

「PPM」は「Project Portfolio Management」の略です。全体を統括的に管理する手法のため、複数のプロジェクトを管理する際に役立ちます。

PPMでは、プロダクトを「問題児」「花形事業」「金の成る木」「負け犬」の4つの概念に当てはめて考えていくのが特徴です。これらの概念をもとにしながら、組織全体のリソースをどのプロジェクトに配分するか検討していくために活用されます。

P2M

「P2M」は「Project & Program Management」を略したもので、プロジェクト管理にプログラムマネジメントの要素を取り入れたものです。2001年に経済産業省の主導もと、日本で開発されました。この手法を用いることで、全体を俯瞰しながら個々のプロジェクトを制御し、複数のプロジェクトを統合することができます。PMBOKの課題といわれていた、複数のプロジェクトの統括マネジメントを可能にする手法といえるでしょう。

まとめ

プロジェクト管理手法にはガントチャートやマインドマップをはじめとして、あらゆる種類があります。これらの管理手法を用いることで、プロジェクト完成までスムーズに作業できるでしょう。無料で導入できるツールもあるので、よりよいプロジェクト管理を行うためにもぜひ導入を検討してみてください。

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