プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの違いとは?

 2020.04.09  2024.06.13

混同されがちなプログラムマネージャーとプロジェクトマネージャー。しかしその立場や仕事内容には大きな違いがあります。この両者の違いについて、それぞれが具体的にどのような業務を行っているかということに触れつつ解説をしていきます。

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プログラムマネージャーとは

プログラムとは多岐にわたるプロジェクトの集合体のことを指し、この複数のプロジェクトを管理する立場にある人のことをプログラムマネージャーと呼びます。プログラムと聞くとプログラミングを連想してしまいがちですが、ここでは主にコンサートやトレーニングのプログラムといった「予定の計画、手順」といった意味を含んでいます。プロジェクトマネージャーはPMと略されるのに対し、それと混同しないようこちらはPgMと表記されます。肩書でいうと部長以上のクラスの人が該当する場合が多いでしょう。

日本ではあまりなじみのないものでしたが、最近では国内でも注目される機会が増えました。それはプログラムマネジメントという考えが日本でも浸透してきたためです。プログラムマネジメントという考えが根付いたのは、国内でも十分にプロジェクトマネジメントの基礎が出来ていたからでしょう。

多くの企業において複数のプロジェクトを並行に行うことは決して珍しいことではありません。すると今度はプロジェクトが複雑化するといった問題が生じてきます。そこで、社内に展開されたいくつものプロジェクトを束ねる「プログラムマネジメント」という考え方が普及しつつあるのです。

プログラムマネジメントを行ううえで重視されるべき点は、「利益」よりも「価値」です。各プロジェクトはその分野においてコストパフォーマンスの良い利益を追求すべきですが、プログラムマネージャーは一過性の利益ばかりを見るのではなく、それが最終的に社内全体にとって価値のあるものであるかどうかを判断する必要があるのです。各プロジェクトが利益を上げつつ、こうした価値にたどり着けるように調整するのがプログラムマネジメントの仕事と言えます。

プロジェクトマネージャーとは

プロジェクトマネージャーとは、その名の通り個々のプロジェクトをまとめる立場にある人のことを指します。プロジェクトという目的に対して、その過程ややり方、必要なものを整理して管理するというのがプロジェクトマネジメントという考え方です。

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プロジェクトマネジメントの概念は冷戦期のアメリカの軍事開発の中で生まれたものです。それが近年ビジネスの場でも応用されるようになり、ここ10年ほどの間で日本にもしっかりその考えは根付いています。

一般的に、プロジェクトにおいては決められた日数やコストで目標を達成させる必要があります。プロジェクトマネージャーはプロジェクト達成のために必要な人員を集めてチームを作りますが、無事に目標を達成したら、そのプロジェクトチームは解散となります。プロジェクトチームの仕事はあくまでそのプロジェクトの完遂であり、完成させた成果物の運用などは基本的にはプロジェクトチームの管轄にはならないのが一般的です。プロジェクトマネージャーの仕事はここまでで、その後は別の案件に取り掛かるなり、新しいプロジェクトに携わるなりすることとなります。

プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーの違い

プログラムとプロジェクトという単語の意味合いをしっかり把握できれば、この二つの立場は全く異なる役割だということが分かります。それではこの両者について、それぞれどういった役割や知見などが求められるのか具体的に見ていきましょう。

役割の違い

前述したように、プログラムマネージャーは社内に展開されている複数のプロジェクトを把握し統括する立場の人のことです。展開された各プロジェクトがきちんと機能するように人員の配備や予算の検討を行ったり、社内全体の状況を考慮してプロジェクト間の調整を行ったりします。

一方、プロジェクトマネージャーの役割は請け負ったプロジェクトを完遂に導くことです。展開しているプロジェクト全体を長期的かつ統括的な目線で管理するプログラムマネージャーとは異なり、期間や規模があらかじめ定められたプロジェクトを目標通り完遂させるのがプロジェクトマネージャーの役割となります。プロジェクトそのものがきちんと機能するように、人員や予算、スケジュールといった面を含めて管理を行い、さらにその進捗をプログラムマネージャーに適宜報告する必要もあります。

必要な知識の違い

企業や案件によって必要な知識は当然異なってきますが、プログラムマネージャーに関してはその立場上、プロジェクトの内容だけでなく、投資やその効果の分析といった、より経営側に寄った知識が必要になってくるでしょう。そのため、プロジェクトマネージャーと比較すると、目の前の利益を見るだけでなく、より長期的な目線で社内の価値向上を目指していかなくてはなりません。

ここでいう価値とはいわゆるベネフィットと呼ばれるもので、社会的な評価や恩恵といったものを指します。これに対して、即物的だったり金銭的だったりする利益をプロフィットと呼びます。プログラムマネージャーは、プロジェクトがどれだけの利益を出したかだけでなく、それがいかにビジネスに生かされるか、今後の経営に役立つかということまで考える必要があるのです。そのため、この直接金銭に結びつかないベネフィットにも目を向けなければなりません。

プロジェクトマネージャーに関しては、そうした知見があるに越したことはありませんが、それよりはプロジェクトの実作業に関する知識の方が求められます。また、プログラムマネージャーのように長期的な視点を持つというよりは、そのプロジェクトが稼働している短期間の間にどれだけ利益を追求できるかという点に着目できるかが肝心です。

また、両者に求められる知識は各プロジェクトに必要な資金繰りの面に関しても大きく異なります。提示された予算をベースとしてコストの管理を進めていくプロジェクトマネジメントとは異なり、プログラムマネージャーは多岐にわたる各プロジェクトがそれぞれ必要となる資金を見通し、途中で破綻しないように残資金には特に目を配っておかなければなりません。こうした資金繰りの面でもマネジメントしていかなくてはならないため、プログラムマネージャーにはファイナンスの知識も必須と言えるでしょう。

求められるスキルの違い

場面によって求められるスキルは一概にこれだと決められませんが、いずれもマネジメントする立場なので、人員面での把握や配備、コストパフォーマンスについての検討、進捗の確認などといったスキルは共通して必要です。

ただ、プログラムマネージャーはその立場上、プロジェクトマネージャーよりさらに多くの人と関係していくことが考えられます。配下として働く各プロジェクトのマネージャーやメンバーをはじめ、経営層や関連部署、さらに取引先や顧客といった社外の人たちと接することも少なくはありません。このような、プログラムに関わる利害関係者のことをステークホルダーと呼びますが、プロジェクトマネージャーは実務以外にもこうしたステークホルダーの管理も重要になるのです。社内外問わずあらゆる人と接する機会が多いので、高いコミュニケーション能力、さらには多岐にわたる関係者の間に立つ調整力も求められると言えます。こうしたスキルはプロジェクトマネージャーにも求められるものですが、その規模はプログラムマネージャーほどではないでしょう。

また、プログラムマネージャーは前述しているように、経営ビジョンの明確化やリスク要因の洗い出し、対応策の検討など、経営戦略に携わる思考を持つことが何よりも大切です。このように、プロジェクトマネージャーと比較するとかなり多角的な能力が求められるポジションということが分かります。

まとめ

プログラムマネージャーとプロジェクトマネージャーは、名前こそ似ていますが、その役割は大きく異なります。プログラムとは複数のプロジェクトを統括して管理するものだという点について把握できれば、その両者の立場や必要なスキルの違いも見えてくるでしょう。

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