Googleが証明したプロジェクト アリストテレスとは?

 2021.03.08  2022.02.17

企業経営において生産性の最大化は重要な課題です。人口減少と少子高齢化も相まって、さまざまな業界で労働生産性の低下が懸念されています。そこで今回はGoogleが実証した生産性向上に寄与する「プロジェクトアリストテレス」について詳しく解説します。

Googleが証明したプロジェクト アリストテレスとは?

プロジェクトアリストテレスとは

「プロジェクトアリストテレス(Project Aristotle)」とは、Googleが2012年に開始した労働改革プロジェクトの総称です。ギリシア古典期の偉大な哲学者・アリストテレスは「全体は部分の総和に勝る」という言葉を残しています。

例えば、時計のパーツだけを集めても、それらを適切に組み立てなければ時計としての機能を果たしません。これと同じように、全体は部分の算術的総和以上のものであるとアリストテレスは説いたのです。プロジェクトアリストテレスは、この偉大な哲学者の言葉に敬意を表して名付けられました。

最高の組織を作るために必要なのは、最高の人材を集めることだと多くの人が思うでしょう。事実、Googleは「GAFA」の一角を担う世界トップレベルのIT企業であり、世界で最も優れたエンジニアが集う組織です。

しかしGoogleを世界トップレベルの企業へと押し上げた要因は、優れた人材を集めたことだけではありませんでした。エンジニアひとり一人の能力やパフォーマンスよりも、メンバー同士の関係性がチームの生産性に大きく関与していると、プロジェクトアリストテレスによって明らかになったのです。

Googleが考えるチームの生産性向上に寄与する5つの要素

プロジェクトアリストテレスは、生産性の高い優れたチームの共通点と影響因子を発見するべく発足しました。プロジェクトに携わったのはGoogleのアナリティクス部門だけでなく、外部の心理学者や社会学者、統計学者など、さまざまな分野の専門家です。そして従業員の業務プロセスやコミュニケーションを中心に、独自の指標を設定した定量的な分析と検証が行われました。その結果、チームを成功へと導く5つの要素を発見したのです。

そうした高いパフォーマンスを発揮するチームに共通する5つの要素を、以下で紹介していきましょう。

見える化のピラミッド
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心理的安全性(Psychological safety)

「心理的安全性(Psychological safety)」とは、チームの一人ひとりが不安を感じることなく、安心して発言・行動できる状態を指す要素です。Googleはプロジェクトアリストテレスの研究結果において、心理的安全性はほかの4要素を支える土台であり、チームの成功に最も重要な要素であると述べています。

心理的安全性を平易な言葉で表せば「安心して意見を言い合えるチーム」あるいは「恐怖や不安を感じることなく意見できる環境」と言い換えられるでしょう。それは決して無責任な馴れ合い環境や、仲良しグループを構築することではありません。チームメンバーが自律的かつ協力的な関係を構築し、お互いを尊重し合うことで、リスクを恐れず発言できる場が共有されている環境を指します。

心理的安全性の高い環境を構築することで、積極的な意見交換やアイデア立案につながり、チーム全体における労働生産性の最大化に寄与します。

信頼性(Dependability)

「信頼性(Dependability)」とは、チームメンバーが知識やスキルを認め合い、お互い尊重し合う関係性を指す要素です。

圧倒的な成果を創出するチームは「相互信頼」の値が高く、それに比例して仕事のクオリティも高い傾向にあります。一方で相互信頼の低いチームは、失敗を責任転嫁する傾向が高く、生産性は低いという調査結果が出ています。

従来は「個の最適化が全体の最適化につながる」と信じられていました。しかしプロジェクトアリストテレスによって、秀でた個の集団が必ずしも優れた組織ではないことが証明されました。優れたチームとは、「チームメンバーがお互いを認め、尊重し、信頼し合う環境において構築されるものである」と言えるでしょう。

構造と明瞭さ(Structure & clarity)

「構造と明瞭さ(Structure & clarity)」とは、簡単にいえば明確な目標設定を指す要素です。生産性の高いチームは、各メンバーが自身の役割を理解し、取り組むべきアクションが明確に示されています。

企業とは製品やサービスを通じ、社会に貢献することで発展していく組織です。そして繁栄する企業は例外なく確固たる企業理念やビジョンを有しています。明確な理念やビジョンによって企業の在り方が定まり、従業員一人ひとりが何を求められ、何を成すべきなのかという個人目標の設定に持つながるでしょう。「個人の目標が明確化されることで労働生産性が向上し、それが企業の業績アップへつながっていく」という好循環が生まれるのです。

仕事の意味(Meaning of work)

「仕事の意味(Meaning of work)」とは、何のために仕事に従事するのかという目的意識を指す要素です。

人は決して金銭のためにだけ働いているわけではありません。夢や目標といった自己実現のため、あるいは家族を幸せにするためなどといった、大きな意味をもって業務に従事しています。自身の仕事に意味や目的を持って取り組むことで、仕事へのモチベーションも高まり、チームの生産性の向上につながります。

インパクト(Impact of work)

「インパクト(Impact of work)」は、チームメンバーそれぞれが、自分の仕事が何らかのよい変化を生むものだと信じている状態を指します。

「働く喜びが仕事を完璧なものにする」というアリストテレスの有名な格言の通り、自身が取り組む仕事に対して誇りを持ち、意義を感じられるからこそ高い成果につながるのです。自分という小さな枠を超えてチームに貢献しているという実感に比例し、仕事へのモチベーションは高く保たれ、生産性向上に寄与するでしょう。

まとめ

万学の祖と称される偉大な哲学者・アリストテレスは「全体は部分の総和に勝る」という言葉を残しました。組織の生産性向上において重要な要素は個々のパフォーマンスではなく、心理的安全性の高い環境や優れた集団的知性です。プロジェクトアリストテレスによる研究結果は、新たな時代に沿った組織の在り方を示しています。

これからの企業戦略に求められるのは、個々の最適化ではなくチームの最適化です。そこでおすすめしたいのが、ワークマネージメントツールの「Asana」です。「Asana」はチーム状況の共有や目標達成など、生産性向上に不可欠な機能が網羅されています。組織力を強化するためにもぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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