伊勢の⽼舗⾷堂ゑびや⼤⾷堂の
新しいデジタル変⾰の挑戦を⽀えたものとは

 2021.02.04  2022.09.07

「このままのやり⽅では会社がつぶれるかもしれない。ITの⼒で何とかしなければ」

こうした悩みを抱える経営者は少なくない。少し前で⾔えば経済産業省のレポートで「2025年の崖」という⾔葉が取り上げられ、最近では新型コロナウイルス感染症の拡⼤によって⼈の⾏き来が制限されるという外部環境の変化があった。こうしたさまざまな要因が経営者に危機感を与えている。

伊勢神宮の近くの⽼舗⾷堂、ゑびや⼤⾷堂(以下、ゑびや)を経営する⼩⽥島春樹⽒(代表取締役社⻑)もそういった経営に関する悩みを抱えていた。「当時、伊勢神宮の参拝者が増えてもゑびやのお客さまは頭打ちで、このままなら廃業するという状況だった。このままじゃいけないとITの⼒でビジネスを変える決意をした」と⼩⽥島⽒は振り返る。

⼩⽥島⽒が取り組んだのは、飲⾷ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)だ。飲⾷ビジネスを可視化し、集めたデータを使って来客予測をするといった、これまでの「慣習」とは別のアプローチでこの危機を脱しようと考えた。

そこで課題になったのがプロジェクト管理だ。ITを活⽤するためには多くの⼈の⼒がいる。だが、多くの⼈が関わるプロジェクトを進めるには、並⾏して動くタスク全体をリアルタイムに把握し、適切に分業する必要がある。

「フロー型のコミュニケーションツールだけではなく、ストック型のタスク管理の仕組みも必要だった」(⼩⽥島⽒)

これらの要件をかなえる、ゑびやの新しい挑戦を⽀えた仕組みとは何だったのか。

「チーム内で分業して1つのゴールを⽬指す」

ゑびやの⼩⽥島春樹⽒
ゑびやの⼩⽥島春樹⽒
⼩⽥島⽒が、三重県伊勢市で妻の実家であるゑびやの経営に携わることになったのは2012年のことだ。当時のゑびやは「昔のままのやり⽅」で運営されていたため、⼩⽥島⽒は飲⾷ビジネスのDXに取り組むことにした。

「まずはデータをしっかりと収集し、事実に基づいた経営をしなければならない」と⼩⽥島⽒は考えた。データから得た知⾒を基に判断し、新しい商品やメニュー、サービスを開発する。そうすることで「お客さまのための⼼地よい空間」を作っていこうと考えたのだ。

⼩⽥島⽒は早速、さまざまな取り組みを実施した。紙の⾷券からPOSレジ、勘と経験での仕⼊れからデータ分析に基づく来客予測システムへの変更、新メニューの開発など。こうした取り組みが実を結び、ゑびやのビジネスは徐々に変わり始めた。

ゑびやはデジタル技術を活⽤するデータ駆動型の経営に変わっていった。ブランディング向上のためのデジタルマーケティングやお⼟産品の販売などの⼩売りビジネスといった新しい分野にも取り組んだ。こうしてさまざまなチャレンジを続けるゑびやは、その中で得た経験や構築したITシステムを世の中に還元したいと考え、EBILABを設⽴した。

「EBILABは『デジタルの⼒で飲⾷ビジネスを変⾰し、成⻑をサポートする』仕組みを提供する。ゑびやがそうだったように、各地のさまざまな企業をITの⼒で成⻑させることで『笑顔を売る⼈が、笑顔でいられるようにする』ことを⽬指している」(⼩⽥島⽒)

ゑびやには「組織を拡⼤せずに⽣産性向上で成⻑する」という理念がある。例えばEBILABにはもともと店舗で働いていたスタッフがおり、現場の課題を適切に開発に伝えることで、ありがちな「現場と開発とのコミュニケーションロス」を防いでいる。

「メンバー数を変えずに従業員⼀⼈⼀⼈がいろいろなことにチャレンジしている」(⼩⽥島⽒)

こうしたさまざまな取り組みにチャレンジするためには、社内の業務効率を向上させ、社外の協⼒者とも連携して仕事を進める必要がある。

Asanaで「フロー型のコミュニケーション」と「ストック型のタスク管理」を両⽴

ゑびやが本格的に新たな取り組みを始めたのは2016年ごろ。それを実現するため、幾つものチームが⽣まれた。代表的なものとしてマーケティングチーム、データ分析チーム、商品やメニューの開発チーム、店舗を運⽤するチーム、データ活⽤のためのソフトウェアを開発するエンジニアチームがある。これらのチームが連携し、さらにそれぞれが社外とも連携する。

こうしたプロジェクトを進めるには、まずはコミュニケーションの迅速化が必要だった。そのため「⽇常的にはフロー型のコミュニケーションツールを使いつつ、ストック型の情報共有、タスク管理の仕組みを組み合わせることにした」と⼩⽥島⽒は⾔う。

⼩⽥島⽒はプロジェクトを管理するさまざまな製品やサービスを検討し、最終的にゑびやが選んだのは「Asana」だった。Asanaは「チーム状況の共有」「タスクスケジュールの管理」「⽬標管理」などチームでプロジェクトを進めるために必要なものがそろっていた。Asanaの導⼊で、苦労したことは特になかったと同⽒は振り返る。

「事前のデータ移⾏なども必要なく、⾃分のタスクを⼊れていけばすぐに利⽤を開始できる。使い⽅を解説した動画が⽤意されており、特に研修などのトレーニングは必要なかった。⾮エンジニアのスタッフでも、20分も触っていれば使えるようになる」(⼩⽥島⽒)

ゑびやはコミュニケーションツールに「Microsoft Teams」(以下、Teams)を利⽤している。AsanaはTeamsとの連携が容易で、Teamsのメッセージをやりとりする画⾯からAsanaのタスク管理画⾯にスムーズに遷移できる。営業管理には「Salesforce」を利⽤している。AsanaはSalesforceとも容易に連携可能だ。Teamsの画⾯でAsanaの営業タスクを確認するといった使い⽅もできる。⼩⽥島⽒は「こうしたさまざまな製品やサービスと連携できる点もAsanaの選定理由の⼀つだ」と語る。

Microsoft Teamsで「Asanaゴール」を表⽰している例
Microsoft Teamsで「Asanaゴール」を表⽰している例

Asanaのテンプレートの豊富さもゑびやは評価している。

テンプレートを使えば、すぐにタスク管理のフローを作れる。検索性が⾼いので、情報をAsanaに集約しておけば必要になったときにすぐ⾒つけられる。今週どんなことが起きていて、担当者の今週の活動、成果が何かといった確認も素早くできる」(⼩⽥島⽒)

エンジニアチームには、開発プロジェクトが幾つも並⾏して進んでいても、それぞれのメンバーのToDoリストが⾒やすく整理される点が評価されているという。

「Asanaのデザインは、余⽩の取り⽅がうまい。情報が多くても余⽩があることで複雑には⾒えない。それが誰でも使いやすいツールだと感じる理由だろう」(⼩⽥島⽒)

BILABの「スマート⽇報」開発プロジェクトにおけるAsanaの使⽤例
BILABの「スマート⽇報」開発プロジェクトにおけるAsanaの使⽤例

「⾃律的にプロジェクトを進めていく⼟壌がある」

プロジェクト管理といえば「プロジェクトの管理者がメンバーにタスクを割り当てる」といった進め⽅をイメージするだろう。Asanaは管理者ではなく、それぞれのメンバーが⾃分でタスクを登録する進め⽅を推奨している。必要なタスクを⾃分でAsanaに登録することで、各メンバーが⾃律的に動ける体制を構築できる。

「会社の⽬標に向かって⼀⼈⼀⼈の仕事が関連付いている。Asanaの『ゴール』機能を使うことで営業職だけでなく、開発チームのエンジニア、マーケティング、企画など全てのメンバーが『⾃分の仕事が事業にどう貢献したか』⾒える仕組みが出来上がっている。このチームでのコラボレーションにAsanaは⼤いに役⽴っている」と⼩⽥島⽒は評価する。

経営者の⽴場でビジネス全体を把握するのにも、Asanaが持つダッシュボードは⽋かせないものになっているという。

「毎朝の会議もAsanaの情報をベースに進めている。経営層を含め、従業員全員がAsanaの利⽤を習慣付けている。そうすることでツールの定着化を図っている」(⼩⽥島⽒)

Asanaはスマートフォンでも利⽤できる。外出先でもすぐに情報の確認やタスクの登録ができるため、「取引先での打ち合わせで発⽣したタスクをその場で追加する」といった使い⽅ができる。

ソフトウェアを開発するエンジニアチームは、Asanaを使うようになって抜け漏れが格段に減ったという。「感覚値だが、抜け漏れなどのミスがほとんどなくなっている。管理者⽬線でなく、⼀⼈⼀⼈が⾃らAsanaにタスクを登録し、⾃律的にプロジェクトを進めていく⼟壌がある。Asanaは全ての業務の効率化に貢献している」(⼩⽥島⽒)

働く⼈をハッピーにする

ここ数年、ゑびやの売り上げは右肩上がりで成⻑しているが、従業員数は増やしていないと⼩⽥島⽒は語る。

「ビジネスを拡⼤すると⼈を追加したくなるのが普通だろう。だが、ゑびやは⼈を増やさなくても売り上げを伸ばしている。それは『リソースが⾜りなくなる問題』をAsanaで解決しているからだ」(⼩⽥島⽒)

ゑびやは引き続き⾃分たちでビジネスを変⾰しながら、他の企業をサポートするための製品やサービスを開発、提供する。「各地にある店舗などのビジネスが成⻑し、そこで働く⼈をハッピーにしたい。Asanaには、その取り組みをサポートするためのサービスや機能の提供を期待している」と⼩⽥島⽒は語る。

※本記事は2020年11月30日にTechTargetへ掲載されたものです。

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