「CONNECT : Asanaアンバサダーが語る、富士通DXの舞台裏」
レポート

 2022.10.06  2022.10.07

2022年8月30日に開催したイベント「CONNECT : Asanaアンバサダーが語る、 富士通DXの舞台裏」では、2020年から推進されている全社DXプロジェクト(Fujitsu Transformation:フジトラ)に焦点を当てました。変革の立役者であり、Asanaアンバサダーでもある4名のキーパーソンをお招きしてリレー形式でお話を伺いました。

デジタル時代の競争力強化を目的として始動したフジトラ。Asanaのトライアル導入は、その業務改革の一環として行われました。本記事では、Asanaに期待される今後の役割や活用方法、浸透への工夫が一体どのようなものだったのか、その変革のリアルな舞台裏について詳しくレポートします。

IT企業からDX企業へ経営と現場が一体となった変革

一人目の登壇者は、富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 DX Officer 小久保 義之さん。小久保さんは4年ほど前からDX Officerを務めており、「富士通では、単なるIT企業からの脱却を目指し、DXを通じて競争上の優位性を得られるDX企業へと変革するべく取り組んでいます」とプロジェクト発足の背景を語りました。現在、さまざまな企業が取り組むDXへの潮流をチャンスととらえ、富士通自身がDXを実現し、そのノウハウや仕組みを形式知として顧客に届けることを目指しています。

富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 DX Officer 小久保 義之さん富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 DX Officer 小久保 義之さん

富士通の全社DXプロジェクト、通称「フジトラ(Fujitsu Transformation)」は、2020年7月から開始しました。「経営のリーダーシップ」「現場の叡智を集結」「カルチャー変革」という3つを軸に、経営と現場が一体となって、デジタルを最大限に活用した変革を推進しています。小久保さんは「DXのゴールは変革を起こし続けるカルチャー作り。そのためにDXを持続させる仕組みと、経営/ビジネス、IT/デジタルが一体となった運営がカギになると考えています」と説明しました。

フジトラのプロジェクトリーダーは、代表取締役社長CEOで、CDXOでもある時田隆仁氏。チームに「現場の叡智」を集めるべく、各部門から集まった20名以上のDX OfficerとDX Deisgnerが中心となってプロジェクトを進めています。

全社DXモデル

全社DXモデルは、既存事業の効率化(上図S1)とそのプロセスの再構築(S2)、未来へ向けた戦略事業(G1)、新規事業を創出するためのマインド・人材の育成(G2)、そして人を活かしあう制度・環境(E)といった要素で構成されており、小久保さんは「それぞれの要素にある課題を解決することがDXにつながっていくと考えています。これまでに生まれた大小150以上ものテーマにチームで取り組んでいます」と話しました。

フジトラではDXに臨む姿勢として、次の9つのステートメントを掲げています。

  1. パーパスを胸に
  2. オープンなコラボレーション
  3. わたしらしい働き方で
  4. 最高のエクスペリエンスを
  5. 最高の武器で
  6. ともかくやってみよう
  7. 全員参加で
  8. 未来をリ・デザイン
  9. ファーストペンギン

上記の1に関しては、富士通クループ社員13万人全員が、デザインシンキングの手法に基づいて、それぞれの「パーパス」を持っているといいます。

小久保さんは「フジトラでは、ただ『頑張ろう』というのではなく、個人や会社のパーパスを大切にしながら、デザインシンキングやアジャイル、データサイエンス、データドリブン経営など、世の中で実証されているフレームワークを取り入れ、最大限に活用しています。お客様や社員の声を吸い上げ、ワークライフシフト時代に合わせたエコシステムを構築しながら、活動を進めるためです」と語りました。

150以上のDXテーマ管理をAsanaで浸透を目指して行った工夫

有効なフレームワークを取り入れ、試行錯誤しながら、顧客やパートナー、社会にその形式知を活かしていくフジトラ。変革を推し進める同社がAsanaをトライアル導入した理由について、富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 Global Head Office 石橋 太さんが語りました。

石橋さんは、フジトラを進める上での課題について「ステータスの可視化」「構造化」「目標と成果のトラッキング」「リソース・計画へのリンク」の4つを挙げています。フジトラのプロジェクトを通じてこれらを実現するためには、フジトラで取り扱う多くのテーマがそれぞれどのような状態になっているかを、全社で共有できる仕組みが必要でした。そこで、候補となるプロジェクト管理ツールやチケット管理ツールを比較検討した結果、Asanaの試験運用が決まりました。

石橋さんは、比較対象となった他社のツールについて、「タスク管理はできても、プロジェクト管理に向いていない」「システム開発経験者に適しているが、開発経験のないメンバーには不向き」「複数のプロジェクトを横断したスケジュール管理ができない」など、不採用となった理由を説明しました。

富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 Global Head Office 石橋 太さん富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 Global Head Office 石橋 太さん

一方、Asanaには「豊富なテンプレートとカスタマイズ性」「ポートフォリオ機能」「マルチホーム機能」という3つの特長があり、これが決め手となりました。テンプレートについて石橋さんは「フジトラが持つ150以上のテーマに対し、豊富なテンプレートが適用できると判断しました。

ポートフォリオ機能については、各プロジェクトのステータスの可視化が1つの画面で完結できることや、ステータス更新機能を活用することで、部門長との個別チェックインといった活動にも応用できることをメリットとして挙げています。

また、一つのタスクを複数のプロジェクトに同時に所属させることのできるマルチホーム機能は、1つのテーマとして複数のプロジェクトを進行させたり、粒度の異なるテーマを1つのテーマとして機能させることに役立つと考えたといいます。石橋さんは、本機能の活用について「テンプレートを活用してプロジェクトの特性にあわせた独自の管理をしながら、マイルストーンをマルチホームにして複数プロジェクトで共有するスタイルで、プロジェクトを横断した追跡を行っています」と述べました。

Asanaの運用がはじまると、石橋さんはすぐにAsanaアンバサダー登録をし、社内のコミュニケーションツール上に、Asanaの利用やユーザーの問題解決に役立つ「よろず相談窓口」を開設します。そしてDXプロジェクトの活動の一環として、それまでスプレッドシートやプレゼンテーションソフトで作られた会議資料などをすべてAsana上に移行しました。

石橋さんは「スプリントごとのステータスアップデートや、課題をタスク化して事務局と共有する、全体を見てそれぞれのまとめをする、といった作業をする必要が無く、Asana上で管理・確認をすればいいという形にシフトしました」と説明しました。会議や報告のための書類作成といった「仕事のための仕事」を減らしていったのです。

しかし、Asana活用によって効率化が進められたものの、当初はフジトラプロジェクトのメンバーでも利用する人はまだ少数でした。そこで石橋さんはフジトラのメンバーに限らず、社内でこうした先進的なデジタルツールを使いたいという意欲のあるチームに対して、Asanaの利用を拡大していきます。「他のチームへ利用者を広げたところ、フジトラ関連でも徐々に使いたい人が増え、1年で10倍程度まで利用者が増加しました」(石橋さん)

悩み事:利用が浸透しない

石橋さんの所属するデジタルシステムプラットフォーム本部では、Asanaを使いこなし、それぞれのワークスタイルを変革する「New Work Style Challenge!」を実施しています。コミュニケーションだけに頼らず、知りたい情報をリアルタイムに確認し、報告のためだけの仕事や会議をやめ、より価値の高い仕事に集中するといった姿を目指す取り組みです。

石橋さんは、Asanaアンバサダーの在籍数において、富士通を世界一の企業にしたい、と今後の目標を語ります。「すでに日本一にはなっていますが、各組織にAsanaアンバサダーがいれば、ワークスタイル変革のきっかけにもなります。当社はそれなりに企業サイズも大きいので、世界一を目指したいです」と最後に意気込みを述べました。

ポートフォリオの活用で月間30時間の工数を削減

続いて、Asanaの具体的な利用シーンについて、富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 エンタープライズサービス統括部 加藤 寛隆さんが紹介しました。加藤さんのチームでは、これまで週次の会議に向けた報告書を、プレゼンテーションソフトを使って行っていました。主に報告するだけにもかかわらず、体裁などについてもさまざまな指摘があり、作成に多くの工数がかかっていました。

また、上司から部下に対し、日常的な進捗確認が発生し、その工数も課題となっていました。加藤さんは、「上司視点では、何かに着手するために部下への確認を行い、部下からの返信が来るまでその仕事に着手できずません。部下の視点では、作業中に上司に進捗確認されることで業務が中断され、業務に戻った際にどこまで作業していたかわからなくなり、さらに工数が増える、といった要因にもなっていました」を説明しました。

report-connect-fujitsu-dx-with-asana-5富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 エンタープライズサービス統括部 加藤 寛隆さん

これらの課題を解消するため、加藤さんが着目したのがAsanaのポートフォリオです。この機能を使えば、複数のプロジェクトのステータスや進捗が一目でわかります。週次報告では、プロジェクトのステータス更新機能を活用することで、完了・未完了のタスクが可視化され、定例会のために体裁の調整をする必要もなく、報告書を容易に作成できるようになりました。

「週次報告には共有課題事項のみを記載しています。一般的な報告では進捗内容を記載しますが、各プロジェクトのタスク一覧やタイムラインを見ればわかりますので、入力を省略できました」(加藤さん)

上司・部下間の進捗確認についても、ポートフォリオに情報を集約して解決しました。加藤さんが上司から進捗を問われた際に、ポートフォリオのURLを共有して回答するようにしたところ、上司の行動も変わり、問い合わせるのではなくポートフォリオを見るようになったといいます。

これらの取り組みの効果について加藤さんは、以前は1週間に8.7時間ほどの工数がかかっていたものが、わずか1.2時間となり、それぞれのチームで毎週7.5時間、月間にして30時間の削減に成功したと試算しています。

改善効果

最後に加藤さんは「Asanaポートフォリオの活用は、私たちのチームにとっても非常に有用で、今後も積極的に活用し、この改善効果を維持していきたいと思っています」とコメントしました。

ユーザー利用状況の把握でさらなるAsanaの推進へ

最後にもう1つの利用シーンの紹介として、富士通株式会社 グローバルマーケティング本部 DX企画部 木下 薫さんが登壇しました。グローバルマーケティング本部では、データを活用して見込み客の獲得やイベントなどを開催、マーケティングインテリジェンスによってマーケティングを企画・改善しています。そうした一連の業務のなかで、「見込み顧客獲得」「ユーザー会などのイベント開催」において、特にAsanaのテンプレート機能が有効であることに気がついたといいます。

富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 DX企画部 木下 薫さん富士通株式会社 デジタルシステムプラットフォーム本部 DX企画部 木下 薫さん

木下さんはその予測を実証するべく、2021年7月からAsanaのトライアルを行い、2022年から本部全体へ導入する計画を進行しました。トライアルの評価ポイントを捉えるため、Asanaを積極的に使っている人/使っていない人それぞれの利用状況を把握し、個別にインタビューも実施しながら傾向を分析しました。その結果、本部全体にアカウントを付与するより、業務内容に応じて個別に付与する方が良いとがわかり、それぞれのメンバーに業務内容を聞き出し、理解した上で使い方を提案することにしました。

使用頻度の高い人に対するインタビューでは、「自動でガントチャートが作成できる」「増え続けるスプレッドシートを削減できる」「季節ごとのイベント管理・ノウハウの集約・継承に最適」「複数並行するコール業務の管理に有効」といった意見がありました。一方で使用頻度の低い人からは「戦略検討やインシデント対応などでは効果が見出せない」「多彩な機能を使いきれない」「繁忙期でうまく活用できなかった」といった意見が挙がりました。

インタビューの結果から、Asanaは作業に工程がある業務の管理に適していること、テンプレート活用で類似した業務も管理できること、そして、そうした業務に関わるメンバーに対して使い方の提案が必要であることが明らかになり、これらのポイントを加味した利用促進が進められています。

Asana導入の流れ

使っている人/いない人を把握するコツについて木下さんは「Asanaの管理機能からは最終ログインしか見えません。そのため誰がどれだけ利用しているのかの利用頻度を確認することが必要です」と説明します。また、使い方の提案をする中で頻繁に生じる不明点やあいまいな点は、Asana側にもサポートを仰ぎながら明らかにし、部内への浸透をすすめています。

このように、新しいツールの導入ではいきなり利用を押し付けるのではなく、プロジェクトチームごとに丁寧なヒアリングや分析を重ねしながら課題を整理し、フェーズに沿って調整しながら進めていくのが成功の秘訣だと言えそうです。

同社では今後もこのフジトラを通した取り組みに対し、定量評価・定性評価を繰り返しながら、改革を推し進めていくために必要なデータを蓄積していく考えです。

富士通のパーパスである「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」。この実現に向けてフジトラが目指すデジタル時代の競争力強化には、 Asana の浸透が深く関わっています。時代の変化に合わせて柔軟に新しい価値を創造する富士通の挑戦が、こうした取り組みを推進力としてさらに広がりを見せていくことが期待されます。

今回のイベントレポートは以上です。
本記事がDX推進を目指す企業の皆様にとってもヒントとなれば幸いです。
今後のAsana Togetherのイベントにもご期待ください。

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