プロジェクトを円滑に進めるには、プロジェクト計画書の作成が重要です。この記事では、プロジェクト計画書の概要や記載すべき8つの項目について、わかりやすく解説します。ポイントを押さえて、目標達成につながりやすい計画書を作ってみましょう。
プロジェクト計画書とは?
業務でプロジェクト遂行を任された場合、まず作成するのが「プロジェクト計画書」です。これは、プロジェクトの始動から当初立てた目標達成までの筋書きが書かれたもので、プロジェクトに関わるメンバーは、この計画書に沿って活動します。まったく新しい作業であっても、この計画書があれば、メンバーはある程度決まったルートに則ってスムーズにプロジェクトを進められるのがメリットです。
また、取引先や顧客など、社外の利害関係者(ステークホルダー)と認識をあわせる際にも活用されることがあります。
プロジェクト計画書に求められる8つの項目
計画書の仕様に決まりはなく、企業やプロジェクト規模によって必要な量もさまざまです。ただ、内容として盛り込むべき項目は主に8つあるとされます。ここでは、各項目についてわかりやすく解説します。
1.プロジェクトの目的・目標
最初に、なぜこのプロジェクトを進める必要があるのか、何を目指すのかといった、根本となる「目的」や「目標」を明確に記載します。もし目的があいまいであれば、メンバー間の認識に食い違いが生じ、結果として本来目指すべき目標にたどり着けない、といった状況になりかねません。
また、目標を記載する際には、プロジェクト終了後に客観的に評価できるよう、定量的な数値を盛り込むようにします。とくに「QCD(Quality:品質、Cost:コスト、Delivery:納期)」と呼ばれる生産管理の指標を用いると、より的確な評価が可能になるでしょう。
2.プロジェクトの範囲(スコープ)
次に、プロジェクトをどの業務範囲(スコープ)まで広げて行うかを決めます。業務の一部を対象とするなら、そのシステムの範囲を明確にし、「WBS」と呼ばれる作業分解構成図を作成するのがおすすめです。もちろん、部署や担当といった組織における対象範囲を指定する場合もあります。いずれにせよ、スコープがはっきり定まれば、「誰が」「何を」「どこまで」するのかといったタスクを正しく洗い出せるでしょう。
また、スコープを線引きすることによって、たとえば複数の部署が参加するようなプロジェクトであっても、自分の部署でやるべきことがよく見え、業務が無駄に重複するリスクを避けられます。
3.項目ごとにかかるコスト
スコープで対象とするプロジェクト範囲が定まれば、次は項目ごとにどれだけのコストがかかるのかを明らかにしていきます。たとえば人件費であれば、作業時間と作業人数で算出が可能です。また、ソフトウェア費用やハードウェア費用、インフラ費用、ライセンス費用なども確認して記載します。このように細かく項目ごとに予算を算出しておけば、予算がオーバーした際、どこで超過したのかを素早く確認したり、費用対効果を測ったりするのに便利です。
4.全体のスケジュール
コストの見積もりを出したら、次は全体のスケジュールを把握します。プロジェクトのフェーズを大まかに分け、流れがわかるように工程表を作成するのが一般的です。すると、各メンバーはプロジェクトの全体像を頭に入れながら効率よく活動できます。途中の進捗状況を確認できるように、中間目標(マイルストーン)も設定しておくとよいでしょう。
ただ、プロジェクトを進める前に経営陣へ説明することを想定し、計画書としてはスケジュール上の細かな実作業などを記載する必要はありません。最も作業時間がかかりそうなクリティカルパスのみを載せたり、管理指標を記載したりすることを検討すれば十分です。
5.プロジェクトを運営するための体制
プロジェクトは社内のさまざまな部署で連携して進められることが多く、始動前にしっかりと運営体制を組むことで、スムーズな活動へつなげられます。どの部署が参加するのかをまとめるとともに、その部署の従業員一人ひとりの役割についてもはっきりさせておくと、目標を達成しやすくなるでしょう。
また、責任範囲が明確になることで、タスク管理がしやすくなったり、伝達ミスが減ったりするメリットも考えられます。プロジェクトの規模や社外メンバーの参加有無によっては、利害関係もより複雑になる可能性があるため、最新の状況をいつでも確認できるようにしておくことが重要です。
6.成果物の品質管理
プロジェクトを進めた結果、ソフトウェアやハードウェア開発などで完成した設計書や納品物のことを「成果物」と呼びます。プロジェクトにおいては、成果物の品質についてもきちんと管理することが必要です。その際、計画通りのものが出来上がっているかを確認するために品質管理の担当者を設定しておくと、管理が行き届きやすくなります。
また、プロジェクトの目標達成度を測るには、品質分類や品質項目、品質指標、目標値などで分類しておくとわかりやすいでしょう。成果物を客観的に評価・管理するためには、数値化し定量的な基準を設けることも大切です。
7.会議・コミュニケーションのルール
品質管理の仕組みが決まれば、次はプロジェクトメンバー同士、どのようなコミュニケーション手段を用いて意思決定していくのか、中間報告(マイルストーン)はどのように実施するのかといったルールを決めます。会議にまつわることなら呼称や開催頻度など、あるいはコミュニケーションにまつわることであれば、プロジェクト管理ツールや議事録作成ツールは何を使うのかなどを決めるのが一般的です。また、普段やり取りするメールの件名も定めておくと、混乱なくスムーズにプロジェクトを推進できます。
8.起こり得るリスクと対策方法
どれほど綿密に計画を立てたとしても、プロジェクトが何の問題もなく計画通りに進むとは限りません。そこで、事前に考えうるリスクの洗い出しをしておくと安心です。具体的な項目としては、問題の重要度や発生しうる確率・頻度などが考えられます。
ただ、項目を挙げるだけでは、実際に問題が起きたときに最適な対処ができない可能性もあります。リスクの内容とともに、万一それが実際に起きた場合は、どのような対策を講じられるのかもあわせて検討しておくことが重要です。プロジェクト計画書に盛り込んでおくことでリスクの情報を可視化でき、メンバーと共有しやすくなります。これにより、いざというときに迅速なリカバリーが可能になるでしょう。
プロジェクト計画書の作成ポイント
ここまで、プロジェクト計画書に必要な項目について解説しましたが、実際に作成する際には以下のポイントを押さえておくと、より高い効果を見込めます。
そもそもプロジェクト計画書は、プロジェクトを円滑に進めるために作成する資料です。そのため、メンバー間で計画書の見方や書き方の認識合わせをします。すると統一感のある計画書ができ、それに基づいた確認作業も戸惑わずに済むでしょう。もし記載量が多い場合は、複数枚にわたっても構いません。できるだけわかりやすく、見やすい計画書にすることが大切です。
また、昨今はクラウド型のさまざまなプロジェクト管理ツールが提供されています。情報共有だけではなく、進捗やタスク管理もまとめて行えるため、ぜひこのようなマネジメントツールも積極的に活用するとよいでしょう。
まとめ
プロジェクトの推進が決まれば、プロジェクト計画書の作成が不可欠です。計画書の内容として、実施の目的や目標をはじめとする8つの項目を満たす必要があります。
作成後も効率的に推進するために、プロジェクト管理ツールを活用するのもよい方法です。とくに「Asana」なら、プロジェクトにおける情報共有だけではなく、タスクも一元管理が可能となり、プロジェクトをスムーズに進められます。確実に目標達成へ導けるよう、ぜひAsanaの導入をご検討ください。
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