プロジェクト憲章とは?書き方や使い方を詳しく解説

 2023.06.28  2023.06.29

プロジェクト憲章という言葉を耳にしたことがある企業経営者や担当者の方は多いのではないでしょうか。「憲章」と銘打っているため、とっつきにくい雰囲気があるものの、実際にはそうでもありません。本記事では、プロジェクト憲章の概要や必要性、盛り込むべき項目などについて解説します。

プロジェクト憲章とは?書き方や使い方を詳しく解説

プロジェクト憲章(プロジェクトチャーター)とは?


プロジェクト憲章は、プロジェクトの完遂に必要となるさまざまな情報を記載した文書です。プロジェクトを立ち上げるタイミングで作成され、目的や条件、スケジュールなどが盛り込まれます。ここではまず、プロジェクト憲章の基本を解説します。

プロジェクト憲章とは企画書のこと

プロジェクト憲章は、プロジェクト立ち上げ時に作成される企画書です。プロジェクトの完遂と成功を目指すうえでプロジェクト憲章は欠かせません。プロジェクトのオーナーや発起人が、計画に携わるメンバーや関係者へ情熱や思いを伝える目的があるほか、経営陣の承認を受けるためにも活用されます。

なお、プロジェクト憲章はプロジェクトマネジメントのグローバルスタンダードとして知られるPMBOKにおいて、「プロジェクト・マネジャーが母体となる組織のリソースをプロジェクト活動のために使用する権限を付与する」ため「プロジェクトの存在を正式に認可する文書」と定義されています。

プロジェクトマネジメント計画書との違いは?

プロジェクト憲章とプロジェクト マネジメント計画書は似て非なるものです。前者はプロジェクトがスタートする前に作成する企画書の性質をもち、後者は計画が始動したあとに作成するケースが一般的です。

また、それぞれの作成者も異なります。プロジェクト憲章を作成するのは計画の発起人やオーナー、企画者であり、計画書はプロジェクト・マネジャーが作ります。

盛り込まれる内容も異なるため注意が必要です。プロジェクト憲章に記載されるのは目指すゴールであり、計画書に盛り込まれるのはゴールへ到達するための具体的な道筋です。ゴールへ到達するためにどう計画を進めていくのか、どのような方法で取り組むのかといったことが記載されます。

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プロジェクト憲章の項目は

プロジェクト憲章に盛り込む項目は、プロジェクトの内容や企業によって異なります。ただ、一般的にはプロジェクトの目的やゴール、成功したと判断する基準、プロジェクトの概要、作業範囲などを盛り込みます。

また、前提条件や制約要件があるのなら、それらの項目も盛り込み、さらにハイレベルな要求事項、予算なども記載しましょう。プロジェクトを成功させるにはリスク要因も把握しておかなければなりません。潜在的なリスクや始動後に想定されるリスクを把握したうえで盛り込みます。

要約マイルストーンを記載するのも一般的です。マイルストーンとは、ゴールまでの中間地点・中間目標を意味します。計画が長期にわたるようなケースではマイルストーンを設定します。

また、プロジェクトの関係者も記載しましょう。計画の指揮をとるプロジェクト・マネジャーをはじめ、利害関係者や憲章の承認者などを整理して記載します。

プロジェクト憲章の必要性

プロジェクト憲章は、必ず作成しなければならないものではありません。実際、作成しないまま計画を打ち出し、進めていくケースも往々にして見受けられます。ただ、規模が大きく、長期にわたるような計画の場合、途中で目的やスケジュールなどが曖昧になりプロジェクトに支障をきたすおそれがあります。

考えられるリスクのひとつが、プロジェクトメンバー間における認識のずれです。目的やゴールを明確に示す憲章がないと、長期にわたるプロジェクトのなかで少しずつ認識のずれが起こりかねません。このような状況では、スムーズにプロジェクトを進めるのは困難でしょう。

スケジュールが曖昧になるリスクも考えられます。どの作業をいつまでに終わらせるべきなのか、優先的に取り組むべきことは何なのかといったことが把握できず、最終的な納期に間に合わなくなるおそれもあります。スケジュールを盛り込んだ憲章を作成しておけば、このようなリスクの回避が可能です。

また、リスクを把握しにくいため、トラブルが発生した際にスムーズな対応ができないおそれもあります。トラブルが発生するたびに、その都度対応しなくてはならないため非効率であり、プロジェクトの遅れにつながります。憲章のなかに考えられるリスクを記載しておけば、あらかじめリスクを把握できるため、いざトラブルが発生してもスムーズな対応が可能です。

プロジェクト憲章の使い方

プロジェクト憲章の概要や必要性については理解しているものの、具体的にどう使えばよいのかが分からない企業経営者や担当者も少なくないでしょう。ここからは、プロジェクト憲章の具体的な使い方を解説します。

組織内部の契約書の代わりに使う

プロジェクトによっては、組織内のさまざまな部門に協力を仰ぐケースがあります。また、自社だけでなく社外の協力者を迎えることも珍しくありません。プロジェクト憲章があれば、社内外に協力を要請する際に話がスムーズに進みます。

いきなりプロジェクトに協力してほしいと依頼されても、全容や目的などが明確でないと難しいでしょう。目的や目標、条件などが明確に記載された文書があれば説得しやすいため、協力を得られる確率が高まります。

また、同じ組織に属する部門や特定の人材へ協力を要請しても、すぐに応じてくれるとは限りません。応じてくれたとしても、組織内の人間と契約書を交わすことは少ないため、のちのちトラブルに発展するおそれもあります。このようなトラブルを回避するため、プロジェクト憲章を作成して契約書代わりにします。

プロジェクト・マネジャーの理解のために使う

憲章と銘打たれているため難しく感じるものの、基本的に企画書という認識で問題ありません。プロジェクトに関する企画を盛り込んだ文書であるため、プロジェクト・マネジャーが理解を深めるのにも役立ちます。

プロジェクト・マネジャーは、プロジェクトを成功させるためマネジメントを担う役割です。そのため、プロジェクトの全容を把握するのはもちろん、目的やスケジュール感なども正しく理解しておかなければなりません。

プロジェクト憲章の作成を進めながらさまざまな情報を共有すれば、マネジャーの理解が深まります。自分がやるべきこと、負うべき責任なども明らかになり、円滑なプロジェクトの遂行につながります。

プロジェクト憲章の書き方

プロジェクト憲章には以下の項目を記載するのが一般的です。
  • プロジェクト名
  • 目的
  • 目標
  • プロジェクトの仕様
  • 予算
  • 成果物

プロジェクト名はできるだけ分かりやすい名称をつけましょう。プロジェクトのゴールである目的や目指すべき目標を明確にし、プロジェクトの仕様や予算も記載します。プロジェクトの遂行に要する費用と、それをどこから調達するのかも記載しておくとよいでしょう。成果物とは、プロジェクト完遂時にできあがる商品やサービスです。

なお、プロジェクト管理ツールである「Asana」を導入すれば、プロジェクト憲章を簡単に作成できます。さらに、メンバー個々のタスクやチームの進捗状況などをリアルタイムに把握できるため、プロジェクトの円滑な進行が可能です。

まとめ

プロジェクト憲章は、プロジェクトの目的や予算、スケジュールなどを盛り込んだ企画書であり、計画の発起人やオーナーなどが作成します。あらかじめ企画書をきちんと作成しておくことで、社内外へ協力を要請しやすくなるほか、プロジェクト・マネジャーの理解を深めることにも役立ちます。
ただ、素晴らしいプロジェクト憲章を作成できても、計画が始動したあとの管理が杜撰ではプロジェクトを完遂できません。メンバーのタスクやチームの進捗状況をリアルタイムに把握できる、優れた管理ツールを導入すれば、プロジェクト憲章に沿ったスムーズな計画の進行が可能です。
プロジェクト管理スタートアップガイド

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