プロジェクト管理におけるCCB(Change Control Board)とは?

 2022.01.14  2022.10.05

プロジェクトマネジメントにおいては、「CCB」を設置する場面が少なくありません。CCBとは「Change Control Board」の略で、「変更管理委員会」と呼ばれる組織のことです。本記事では、CCBの概要や運用するメリット、運用上の留意点について解説します。プロジェクト管理を効率化したい方は、ぜひ参考にしてください。

プロジェクト管理におけるCCB(Change Control Board)とは?

CCB(Change Control Board)とは?

「CCB」とは「Change Control Board」の略で、日本語では「変更管理委員会」と呼ばれています。プロジェクトは通常、事前にある程度の進行計画を組み、それに沿って進められますが、大抵の場合は途中で変更が生じます。その変更を計画なしにメンバーそれぞれが判断して行ってしまうと、場合によっては秩序がなくなり、プロジェクトの目的達成が困難になりかねません。そこで、発生した変更の報告をもとに分析し、承認もしくは棄却を決定する機関として設置されるのがCCBです。

CCBが設置されたプロジェクトにおいては、変更が発生したらまず変更提案書を作成し、CCBへ提出します。それをCCBが受理したのち、審議を行います。CCBは変更について、プロジェクトに対する影響やその範囲、必要であれば予算や計画についても確認します。審議を経て妥当と評価された変更は、提案者へ回答し、実施につながります。

なお、CCBと似た言葉に「CAB(Change Advisory Board)」というものがあります。こちらは「変更諮問委員会」を意味し、主にITサービスマネジメントの分野で組織されるものです。CCBとは違い、CABでは「発生した変更が、すでに稼働しているサービスやその運用に対し、どのような影響を与えるか」という視点から変更管理を行います。

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CCBが重要視される理由とは

プロジェクト進行中に発生する変更は多岐にわたります。たとえば、ハードウェアの追加購入や修理、ソフトウェアについてのオプション追加や新規導入といった、システム面での変更が考えられます。それに加えて担当者や役割の変更、業務プロセスの変更や廃止など、人事的な面についても考慮が必要です。

このように変更にはさまざまな形があり、それらひとつひとつについてプロジェクト内のメンバーで議論するのは難しく、効率性も低くなります。CCBの設置は、そうした変更に対する業務を最小限かつスムーズに行ううえで非常に重要です。

そして変更が生じた際、プロジェクトメンバーの場合にはクライアントとの関係性から客観的に判断できず、意見を鵜吞みにしてしまう可能性もあります。また、CCBのような第三者機関がないことで、失敗の報告を回収できないことも考えられます。CCBを置くことで、発生した変更に対し客観的な判断を下せます。また、失敗報告を回収しやすい体制も整うため、プロジェクトをより成功に導きやすくなります。

CCBのメリット

前項ではCCBの重要性について述べましたが、それではCCBを運用することで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、プロジェクトにCCBを設置する主なメリットをご紹介します。

プロジェクト変更に効率的に対応できる

プロジェクト変更の必要が生じた際、CCBが審査することで効率的な対応が可能です。あらかじめ第三者機関を設置しておくことで、プロジェクトにおける複雑な変更に対しての議論判断を任せられるため、メンバーはプロジェクトの進行に集中できます。

CCBは、その変更の可否をはじめ、類似の変更がないか、変更が与える影響はどのようなものかを考えます。その変更による想定外のリスクや混乱が生じないかどうかも、第三者目線で判断を仰げるため、事前に失敗を防止でき、結果として変更に対して効率的に対応できるのです。

客観的に変更の可否を分析できる

プロジェクトメンバーは、クライアントやメンバー間での関係性から、生じた変更の必要性について判断しようとしても客観性を持てない場合があります。CCBが設置されていれば受けた提案に対して、まずCCBへ判断を仰ぐプロセスが生まれます。分析・承認の過程が生まれるので、誤った判断に基づくプロジェクトの進行を食い止められるうえ、それに伴う時間的な損失も未然に防げます。CCBの設置は、当事者間の関係性に影響されることなく変更可否を分析するうえで大変重要です。

プロジェクト成功率が向上する

ここまで見てきたように、プロジェクトの変更には利害関係者やプロセスへの影響を伴う場合が多く、現場のプロジェクトメンバーの一存で判断することは困難です。適切にCCBを設置できれば、変更に関する判断で重要な効率性や客観性を保てるため、結果としてプロジェクトの成功率が高まるでしょう。

CCB運用の注意ポイント

このように、CCBの設置にはさまざまなメリットがあります。しかし、いざCCBを運用するにあたっては、留意したいポイントもあります。以下の2点を考慮することで、CCB運用効果の最大化につながります。

プロジェクトマネージャーをCCBに参加させない

CCBには客観性を持たせることが不可欠です。そのため、プロジェクトマネージャーをCCBに加えることは避けましょう。

プロジェクトマネージャーもメンバーと同じく、クライアントと接点を持つ機会が多くあります。そのような人材が変更についての権限を持つと、結局クライアントの意見が反映されてしまうなど、自社にとって最良の決断につながりにくくなるおそれがあります。そうなると、客観性を欠いたCCBになってしまい、効果的な運用は望めません。プロジェクトマネージャーは必要なときにCCBへ招集する程度にとどめ、プロジェクトメンバー以外でCCBを構成するようにしましょう。

とはいえ、CCBの体制は企業によって大きく異なり、プロジェクトチーム内にCCBが存在する場合もあります。そのような場合も、プロジェクトについてビジネス面・IT面どちらのニーズもよく把握した第三者がいれば、その人材に任せるのが適切でしょう。

変更申請を文書化しておく

CCBへ変更を提案する場合、口頭での申請ではなく、申請内容を文書化してもらうよう周知徹底しましょう。変更の履歴として残しておけるのはもちろん、文書化することでCCB内の複数人で変更を確認しやすくなり、効率的に作業できます。

文書の内容としては、変更の原因や現場で想定される時間・コスト、変更による効果などを記載してもらいます。プロジェクト進行中の変更は多岐にわたることが予想されます。そのため、CCB内でもその事象ごとに担当を決めて審査に当たることが多くなりますが、最終的にはCCB全体で判断を決定する場合がほとんどです。そのとき変更が文書化されていれば、提案内容を全員が齟齬なく共有・把握できます。

また、変更内容が社内だけにとどまらず社外にも影響する場合、金銭面や納期の変更といった対外的で失敗できない決定になることが考えられます。そのような場合は特に、口頭での申請がうまくいかなかったというリスクは避けなければなりません。そういったときのためにも、普段から文書化する習慣を付けさせておくことが大切です。

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まとめ

CCBを導入することで、プロジェクト進行中に発生した変更を効率的かつ客観的に判断し、解決に導くことができます。プロジェクト中の変更は多岐にわたるため、あらかじめCCBのような仕組みを用意しておくのは、成功につなげるうえで大変重要です。

しかし、CCBでは第三者に判断を委ねる以上、プロジェクト内容の正確な共有が不可欠です。情報が十分に共有されていれば、プロジェクトの進行状況や変更に関する文書の管理がスムーズになり、さらなる業務効率化が望めます。

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