マイクロマネジメントとは? 職場への悪影響と改善の対策

 2022.12.15  ワークマネジメント オンライン編集部

WORK INNOVATION SUMMIT 24

部下の仕事ぶりを何もかも管理していないと落ち着かないというマネージャーに心当たりはないでしょうか。このような過度の管理手法はマイクロマネジメントと呼ばれ、利点よりも悪影響の方が強いことで知られています。本記事では、マイクロマネジメントの概要や原因、デメリット、対策についてわかりやすく解説します。

マイクロマネジメントとは? 職場への悪影響と改善の対策

マイクロマネジメントとは

マイクロマネジメントとは、簡単にいうと部下の仕事状況などを過度に管理することです。たとえば、上司が仕事を部下やチームに任せられず、逐一進捗状況を確認したり、部下が行う些細な行動や決定にも自分の許可を求めたりすることを意味します。このような行為を行う管理者は、「マイクロマネージャー」と呼ばれます。

マイクロマネジメントは、たとえば新人研修のときや、責任者が直接指揮を取らなければならないようなプロジェクトにおける短期的な戦略としては有効です。しかし、それ以外の多くの場面においては、長期的にみると利点よりも悪影響を及ぼすことの方が多いため、基本的にはネガティブな言葉として使用されます。

なお、マイクロマネジメントの対義語は、マクロマネジメントです。こちらの場合、上司は部下に一定の裁量を与えて仕事を任せます。

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マイクロマネジメントの原因

マイクロマネジメントは、部下にとっても厄介ですが、管理者本人にとっても負担になる行為です。しかしながら、なぜこういった管理手法が行われるケースが起こり得るのでしょうか。以下では、その主な原因を解説します。

ミスへの不安

原因のひとつとして考えられるのが、ミスへの不安です。上司にとって、部下のミスは自分の責任問題となり、人事評価での減点へとつながってしまう恐れがあります。それを防ぐために、部下が失敗しないように細かく管理しようとします。そういった自己中心的な考えではなく、単純に部下が失敗して傷つくことを恐れているケースもあり得ますが、いずれにしてもミスへの不安ということは共通しています。また、マネジメント経験の浅い人などは、業務での失敗を防ぐために「全体」を管理するという感覚がわからず、枝葉末節といえるほどの「部分」にこだわってしまい、マイクロマネジメントに陥ってしまう可能性があります。

自己顕示欲

自己顕示欲の示し方として「管理」という手法を使ってしまう人もいます。たとえ部下が終えた仕事が問題のない出来だったとしても、何かしら自分がそこに関与して手を加えないと気が済まないというマネージャーも存在します。そのような人は、自分の能力を顕示して組織に認められたい、人より優位でいたいという思いが強い可能性があります。あるいは、過去の成功体験による過度な自信からこのような行動を行っているケースも考えられます。

マイクロマネジメントが職場にもたらす悪影響とは

マイクロマネージャー自身はそれが最善だと信じているかもしれませんが、基本的にマイクロマネジメントは悪影響の方が強い管理手法です。以下では、その具体的なデメリットについて紹介します。

モチベーションの低下

第一に考えられる悪影響は、従業員のモチベーション低下です。管理する側はよかれと思って行っていることでも、過度の管理を受ける部下からすれば、「自分の裁量で仕事をさせてもらえない」「信頼してもらえていない」「監視されている」と感じ、仕事へのやりがいを失ってしまうかもしれません。モチベーションの低下は、チームや組織にも影響を与え、結果として生産性の低下や離職へと結びついてしまう恐れもあります。また、部下に心理的な圧迫感を与えるような管理方法を取っている場合は、パワーハラスメントと捉えられてしまう可能性があります。

成長の阻害

部下の成長を阻害してしまうことも大きな弊害です。上司が細かい事柄にまで指示を出して管理するのが当然という風潮が生まれれば、部下はそれに従うことに専念し、自分で考えることをやめてしまうかもしれません。いわば、「指示待ち人間」を生み出していることになってしまいます。そうなっては、その部下はいつまでも成長ができず、キャリア形成にも悪影響が出てしまうでしょう。目先の作業しかやらせてもらえず、自分自身の仕事すら自分で管理した経験がなければ、たとえ昇進しても部下の仕事の管理を適切にするのは困難です。

管理負担の増加

管理負担の増加もデメリットです。部下の仕事ぶりを頻繁に監視し、口出しするような管理方法は、当然それを行っている側の負担も相当なものです。本来なら部下に任せるべき仕事を、半ば自分でもやっているような状態が日常的になっていれば疲弊するのも当然です。このような過剰な管理方法を続けているうちに余裕がなくなってしまい、管理職として本来やるべき仕事もできなくなるという本末転倒な事態になる恐れがあります。

マイクロマネジメントを改善するための対策

では、マイクロマネジメントを改善するためにはどのようにすればいいのでしょうか。以下では、その対策を解説します。

意識の改革

第一に必要なのが、管理者自身の意識改革です。先述したように、過度の管理・干渉は部下のやる気を失わせ、かえって組織や自分自身の生産性を低下させてしまう恐れがあります。まずは、過度に管理をしようとしてしまう原因が何なのか、マイクロマネージャー自身に内省させることが大切です。そして、自分がいつ、どのようなときに部下の仕事に干渉したくなってしまうのかを自己分析させ、なるべくその衝動を押しとどめるように促しましょう。「自分が常に正しいと思わない」、「小さなミスは責めない」、「できて当たり前という思い込みを捨てる」というように、管理者自身に染みついている思考を改善させることが重要です。

信頼の醸成

部下とのあいだに信頼を醸成することも大切です。マイクロマネジメントに至る理由のひとつには、「部下が頼りなく感じて任せられない」というものもあります。管理する側が信頼して仕事を任せるという一歩を踏み出さないことには、その部下は成長する機会を得られず、いつまでも頼りないままです。まずは、管理する側から部下に期待や信頼を示し、部下もその思いに応えようとする、そのようなやりとりを成立させる必要があります。それが繰り返されることで相互に信頼感が醸成され、自然と管理の仕方も是正されていくことが期待できます。

ルールの整備

当事者が考え方を変えるだけでなく、ルール面を見直して対策に充てることも重要です。過度のマネジメントは逆効果ですが、管理を放置しすぎるのもよくはありません。かといって、管理者が気になったタイミングで確認するなどといった属人的な方法では適切なマネジメントは行えません。こうしたケースでは、報告のタイミングや定期ミーティングの時期・周期などを事前に設定しておくといった対策が有効です。「この時期になったら報告してもらえる」ということがはっきりしていれば、管理者は確認したい気持ちがあっても部下の自発的な報告を待てるようになるでしょう。部下としても、期限が設定されていれば節度をもって仕事に取り組みやすくなります。

まとめ

マイクロマネジメントとは、部下の仕事を過度に管理してしまうマネジメント手法です。こうした管理の仕方は部下のモチベーションを低下させ、チームや自分自身の生産性にも悪影響を与える原因になります。このような状態を改善するには、本人の意識改革はもちろん、部下との信頼関係の構築やルールの整備なども重要です。

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