ワークライフバランスの具体的な定義や取り組みについて

 2021.04.27  2022.09.07

近年、多くの企業においてワークライフバランスへの取り組みが重要な経営課題となっています。仕事と生活の調和を図り、ワークライフバランスを実現することで、組織で働く人々のエンゲージメントが高まり、結果として企業価値の向上につながります。そこで本記事では、ワークライフバランスの意味や必要性について解説していきます。

ワークライフバランスとは?意味や必要性のほか取り組み例についても解説

ワークライフバランスの意味

「ワークライフバランス」とは、端的にいえば「仕事と生活の調和」です。仕事と生活の調和によって両方を充実させ、経済的な発展とともに、人々がゆとりある暮らしを謳歌できる社会を目指す取り組みと言えます。

日本では従来、勤労意識の高い国民性ゆえ、プライベートを犠牲にしてでも仕事に取り組むことが美徳とされてきました。しかし近年では、過重労働による心身の疾患や過労死などが大きな社会問題となっています。このような社会背景とともに、働き方改革の推進も相まって、労働環境の抜本的な変革が求められているのです。

ワークライフバランスの実現は、よりよい社会を築くために不可欠な要素として、官民一体での推進が方針に掲げられています。ワークライフバランスについて、具体的かつ明確に統一された定義はありません。内閣府ではこれを、Webサイト内にて「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」と定義しています。

また同サイトでは、「就労による経済的自立ができること」「健康で豊かな生活のための時間が確保できること」「多様な働き方・生き方が選択できること」という3つの要素を兼ね備えた社会を目指すべきとしています。仕事と生活の調和を実現するためには、従来の労働意識から脱却し、新しい時代に即した労働環境の確立が不可欠です。組織と従業員の双方にとって最適化された労働環境を確立することが、現代の企業経営における重要な課題と言えるでしょう。

ワークライフバランスの必要性

ワークライフバランスの実現が求められるのには、さまざまな理由が存在します。その一例として挙げられるのが、少子高齢化と人口減少による市場競争力の低下です。

総務省統計局の調査によると、2021年2月時点での高齢者数は3,616万5,000人と推計され、国内総人口の28%以上を占めています。高齢化率28.7%という数字は先進諸国のなかでもトップであり、日本は超高齢化社会へと変容していることがわかります。しかも、日本の総人口は2008年の1億2,808万人をピークに、下降の一途を辿っているのです。

少子高齢化と人口減少は今後も加速していくと予測され、同時に日本の労働人口も減少していくでしょう。このような社会背景のなかで、企業が競争優位性を確立するためには、労働環境の抜本的な変革が必要です。

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従来のような過重労働を強いる企業風土では、従業員のモチベーションが下降し、優秀な人材の離職率を高め、結果として企業価値の低下を招きかねません。企業の競争力が低下することで賃金も下がり、日本経済のさらなる低迷へとつながる悪循環に陥ります。このような事態を打破すべく推進されているのが、ワークライフバランスの実現です。

従業員にとって最適化された労働環境を構築し、仕事と生活の調和を実現できれば、従業員のエンゲージメント上昇につながります。エンゲージメントの上昇は、労働意欲の向上や離職率の低下につながる重要な要素です。福利厚生や休暇制度を充実させ、子育てや育児支援を推進していくことで企業イメージが上昇し、優秀な人材を確保できる可能性も高まります。過重労働が常態化する企業風土を脱却し、柔軟な労働環境を構築することは、従業員の貢献意欲の上昇とともに業績向上に寄与するでしょう。

ワークライフバランスの取り組み例

ワークライフバランスの実現は、何も従業員にとって快適な労働環境を提供するだけではありません。例えば、エンゲージメントの上昇や優秀な人材の確保、貢献意欲の向上、企業イメージの健全化など、企業にもさまざまなメリットをもたらします。ここからは、ワークライフバランスを実現するために実施すべき取り組みの例を紹介します。

多様な働き方の採用

仕事と生活の調和を実現するために不可欠となるのが、多様かつ柔軟な働き方の採用です。従来の労働に対する古い価値観を手放し、フレキシブルな働き方を採用することで、多様な人材の確保につながります。そのためには、テレワークや時短勤務、フレックスタイム制など、従業員のさまざまな事情を考慮した働き方の提案が必須です。

近年、働き方改革の推進や新型コロナウイルスの影響も相まって、テレワーク制度を導入する企業が増加しています。最適化されたテレワーク環境を構築できれば、場所を選ばない自由な働き方が可能です。子育てや介護で忙しくフルタイム勤務が困難な人も、個々人の事情に合わせた柔軟かつ多様な働き方が実現します。多様な働き方の採用は、働きたくても働けなかった人々の雇用促進につながるため、社会貢献としても大きな意味を持つでしょう。

労働時間の短縮

ワークライフバランスを実現するためには、労働時間の短縮が何よりも優先すべき課題と言えます。とくに重要となるのが、長時間労働の是正です。先述したように、日本人は勤労意識が高く、身を粉にした企業への貢献を美徳とする傾向があります。そうした業務に対する姿勢は、日本人の誇るべき美点です。

しかし、「企業に貢献すること」と「自分を犠牲にして働くこと」は違います。まずは、このような労働意識に対し、企業と従業員の双方における意識改革が必要でしょう。そのうえで、長時間労働を是正するための方策を立案し、企業と労働者にとって適切な労働時間を設定します。労働時間に関する諸問題への方策を固め、残業の制限や禁止、早上がりの促進や勤務間インターバル制度の導入など、柔軟な労働環境の構築が求められます。

有給や育児など休暇取得の促進

ワークライフバランスの推進において重要視されている項目の1つが、休暇取得の促進です。とくに有給休暇取得については、2019年4月から年5日の確実な取得が義務付けられています。

また、新しい時代に即した働き方を考えるうえで無視できない要素として、育児休暇制度の導入が挙げられます。充実した育児休暇制度の導入は、人材確保はもちろんのこと、人口減少や少子高齢化の解決の糸口となる施策です。女性だけではなく、男性でも育児休暇を取得できる企業風土の構築も必要となるでしょう。

評価制度の見直し

ワークライフバランスの実現とは、従来の就業体制が大きく変わることを意味します。そのため、人事評価制度の大幅な見直しが必須です。日本はこれまで残業を美徳とし、定時退社を悪徳とする傾向がありました。しかし、人事評価は労働時間ではなく、企業への貢献度で推し量られるべきでしょう。また、現在は働き方改革関連法の施行により、原則として月間45時間・年間360時間を超える時間外労働が禁止されているため、注意が必要です。

そのほかにも、滅私奉公を美徳とする古い企業風土の組織は、有給休暇の取得率が低くなりがちです。これは、長時間労働や時間外労働が評価される企業では、有給休暇や育児休暇を取得した従業員の評価が厳しくなる傾向にあるためです。長時間働いている従業員が、必ずしも高い成果を創出しているとは限りません。したがって、適切な人事評価を実施するためには、定量的な分析に基づく評価制度の仕組み化が求められます。

福利厚生の充実

充実した福利厚生は、優秀な人材確保において不可欠な制度です。とくに育児・介護休暇といった制度の充実は、離職率の低下に貢献します。先述したように、これまで休暇制度を利用した従業員は評価が下がる傾向にあったため、評価への影響を考慮して制度を利用できないというケースがしばしばありました。福利厚生の利用は従業員の権利であり、適切に利用されるべき制度です。

従業員が働きやすい環境を構築するためにも、福利厚生の充実は欠かせない要素と言えます。福利厚生の充実は、従業員と家族の経済的安定につながり、エンゲージメントの向上に寄与します。そして、労働意欲や組織への貢献度が高まることで、結果として企業の業績向上へとつながるでしょう。

まとめ

ワークライフバランスを実現することでエンゲージメントが高まり、ひいては企業価値の向上につながります。ワークライフバランスの実現において不可欠となるのが、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進です。DXとは、最先端の情報通信技術を活用し、企業経営の在り方そのものに変革をもたらす取り組みを指します。DXを推進するためには、優れたITソリューションの活用が欠かせません。

そこでおすすめしたいのが、ワークマネージメントツール「Asana」の導入です。Asanaとは、プロジェクト管理やタスク管理、あるいはワークフロー管理など、さまざまな業務を効率化するITソリューションです。1つのプラットフォームで複数のプロジェクト進捗を可視化したり、ルーチン作業を自動化したりする機能を備えています。新しい時代に即したワークスタイルを確立するためにも、ぜひAsanaの導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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