日本の労働時間は世界に比べて長い?労働実態の問題点を解説

 2021.10.01  ワークマネジメント オンライン

かつては「24時間戦えますか?」のフレーズが流行し、文字どおり時間を気にせず勤労に励むことが良しとされていた時代もありました。しかし現在は働き方改革を推し進めていることもあり、長時間労働の是正が叫ばれています。ここでは世界と日本の労働時間を読み解き、長時間労働がもたらすリスクや企業側の行える改善策について解説します。

日本の労働時間は世界に比べて長い?労働実態の問題点を解説

世界から見た日本の労働時間は?

まず、世界と日本の労働時間を比較したデータを見てみましょう。経済協力国際機構(OECD)が2020年までの労働時間 (Hours worked)を調査したデータによると、日本の労働時間は1,598時間で、加盟国中第24位でした。OECD平均の1,687時間、第1位のコロンビアの2,172時間、アジアで最も長時間で第4位だった韓国の1,908時間、アメリカの1,767時間と比べ、日本は少ないように感じられます。

主な理由として考えられるのは、統計データには、時短勤務やアルバイト、パートなどの雇用形態で働いている人の労働時間が含まれている点です。厚生労働省の調査によると、フルタイム勤務の一般労働者の労働時間は、平成5年から令和元年まで常に2,000時間前後を推移しており、大きな変化はありません。一方、同じ期間中、パートタイム労働者の比率は年々増加しており、パートタイム労働者の労働時間は減少傾向です。結果として、労働者全体の労働時間が少なくなったと考えられます。

また、上記の統計には有給・無給にかかわらず時間外労働の時間も含まれていますが、実際の労働時間よりも少なく報告する隠れ残業の場合、統計には含まれていない例もあるでしょう。近年テレワークの広がりで在宅勤務の機会も増えていますが、どこまでが労働時間になるのかといった線引きが曖昧になり、隠れ残業が増えている可能性も懸念されています。

このように、OECD調査では一見日本の労働時間は少なく見えるものの、長時間労働の問題は依然として解決していません。

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なぜ日本の労働時間は長いのか

厚生労働省が公表している「令和2年版過労死等防止対策白書」によると、週の労働時間が49時間以上の労働者の割合は、日本は18.3%です。他国と比較してみると、韓国の23.1%よりは少ないものの、アメリカ15.7%、イギリス11.4%、ドイツ7.7%などと比べて多い結果となっています。

なぜ未だ長時間労働が改善されないのでしょうか。要因はさまざまですが、まず日本人の意識として長時間働くことイコール勤労の意欲が高いことと捉えられがちな点が挙げられるでしょう。さらに昨今の人手不足により、1人当たりの業務量が過多になることや、無駄な業務が発生しているものの業務改善が行われないことが要因になっていると見られています。

長時間労働がもたらすリスク

長時間労働は、企業の業務と労働者双方にマイナスの影響を与える可能性が高いといえます。ここでは具体的にどのようなリスクがあるのかについて説明します。

生産性の低下

働く時間と比例して生産性や収益が向上するわけではありません。長時間労働をすると、きちんと休養が取れず生活習慣の乱れを引き起こし、ストレスが蓄積されてしまいます。その結果、集中力や思考力、行動力が鈍り業務のミスや作業効率が落ち、生産性の低下を招きます。長時間労働が常態化してしまうと、ひいては企業の利益にも悪影響を及ぼしてしまうのです。

健康への影響

前述にもつながりますが、集中力の低下は思わぬ事故や怪我を引き起こす原因になります。加えて、疲労が蓄積されることで健康を害し、病気や障害、最悪の場合死に至ることもあるのです。病気や怪我で思うように身体が動かなくなってしまうと、当人や家族は身体的・経済的・社会的に大きなダメージを受けるでしょう。

「過労死」は社会的な問題として取り上げられています。ひとたび企業で過労死などの問題が起これば世間的な評価も下がり、ブラック企業というイメージを挽回するのは容易ではありません。

長時間労働改善のための対策

企業は、長時間労働を是正するために対策を講じていく必要があります。しかし、例えば社員に定時に帰るように促すだけでは根本的な解決にはならず、業務が滞ってしまうなど別の問題が浮上するだけです。ここでは具体的にどのような対策を練るべきか、3つの点に絞って解説します。

新しい勤務制度の導入

「出社して決められた場所で、定めた時間内に仕事をする」いわゆるオフィス型勤務だけではなく、社員それぞれの事情や業務内容に合わせて柔軟に働ける勤務制度は、長時間労働の改善に有効です。最近は、積極的に導入する企業も数多く見られます。

具体的には、労働時間の長さや配分を社員が決められる「フレックスタイム制」や労働時間が従業員の裁量によって決められる労働形態の「裁量労働制」、働く場所を自宅やサテライトオフィスなど柔軟に変えられ、労働時間に縛られない「テレワーク」が挙げられます。

このような制度を仕事の内容や、育児や介護などのライフイベントに合わせて取り入れることで、長時間労働をしなくともそれぞれの社員(従業員)のスキルが発揮できる職場となるでしょう。

マネジメント層の意識改革

マネジメント層の労働に対する意識を変えていくことも、改善にとって重要な要素です。言い換えると、マネジメント・管理職が前向きに残業削減に取り組まないことが、長時間労働の改善がなかなか進まない原因の1つであると見られています。

「私の若い頃は、夜遅くまで働くのが当たり前だった」といった価値観で部下の人事評価をしているのであれば、考え直さなければならないでしょう。部下の残業時間を把握し、各々の社員のスキルや業務の進捗状況に応じて仕事の割り振りをすることも必要です。

マネジメント層の意識が変わることは、会社全体の風土を変えていくことにもつながります。長時間労働に頼ることなく、企業のHRM(人的資源管理)の効果を最大化する施策について検討・実行していく必要があるでしょう。長時間労働の改善は企業の働きやすさにつながり、ES(従業員満足度)の向上、企業価値の向上、優秀な人材の確保といったメリットをもたらします。

システムの導入

長時間労働を是正して労働時間を意識的に減らすと、今いる人材だけで従来の業務内容をこなせなくなることも大いに考えられます。生産性の維持・向上のためには、無駄な業務を洗い出し、省力化を図った上で、人ではなくシステムを導入して効率化を図るのも有効な手立てです。

具体的には、新しい勤務制度も含めて社員の勤怠をより管理しやすくする「勤怠管理システム」や、移動して1つの場所に集まらなくても会議が行える「Web会議システム」、社員同士のコミュニケーションを活性化する「コミュニケーションツール」などが挙げられます。システムを導入することで、これまで人員を割いていた定例的な確認作業も簡素化され、またテレワークが引き起こすコミュニケーション不足の解消も期待できます。

まとめ

長時間労働の改善は喫緊の課題です。常態化していると生産性の低下や健康への悪影響を招き、企業と社員どちらにとってもリスクが生じてしまいます。改善していくためには、柔軟な働き方を取り入れる、業務内容を洗い出した上で無駄な作業は省く、人でなくてもできることはシステムを導入する、といった方法があります。

システム導入の際に重要視すべき点は、自社の要望や使い方に合わせられる柔軟さがあるか、管理業務をはじめ必要な業務を一元化できるかでしょう。Asanaは、社員のスケジュールや業務の進捗管理、ルーティン作業の自動化が可能です。またプラットフォーム上でZoom やGoogleドキュメントなどのオフィスソフトとの連携も可能で、1つの場所で業務全体を捉えられる仕組みが整っています。長時間労働の改善策を模索している管理職の方は、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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