「マジカミ」開発会社が“隔週で
約30件の施策をリリース”できる秘策

 2021.02.09  ワークマネジメント オンライン

「変化するニーズに応え、価値あるプロダクトを素早く顧客に提供すること」はビジネスの差別化において重要なポイントだ。アジャイル型の開発プロセスは、ウオーターフォール型開発プロセスに比べて変化に強く、価値の高いプロダクトを迅速に作り出すための手法として注目されている。

 とはいえ重要なのは「どちらが優れているか」ではなく、開発するプロダクトの要件や体制、スケジュールによって適切な開発プロセスを選択することだ。「決められた期日までに決められた工程を終わらせる」といった開発にはウオーターフォール型開発プロセスが適しているし、場合によっては2つの開発プロセスを使い分けることも有効だろう。

 Studio MGCMは開発フェーズによって開発プロセスを使い分ける企業の一つだ。同社は、Webブラウザとスマートフォン向けのソーシャルゲームアプリ「マジカミ」を開発、運営している。ソーシャルゲームの開発はリリース前と後で開発フローが大きく変化するという。

 同社は、高頻度で改修が発生するリリース後の開発にアジャイル型開発プロセスを採用。それに伴って「2つの開発プロセスに対応したプロジェクト管理」を実現するため、プロジェクト管理ツールの刷新を決意した。

 Studio MGCMが求めたのは「効率良くプロジェクトを管理し、全体の状況をチームメンバーそれぞれが主体的に把握可能な環境づくり」ができることだった。同社の期待に応えられるプロジェクト管理ツールはあったのだろうか。

開発フェーズの変化に合わせ「ガントチャート」からの
脱却を検討

Studio MGCMが手掛けるマジカミは、PCブラウザ向けのソーシャルゲームとして2019年6月にリリースされた。2020年6月からはiOS/Android向けのスマートフォンアプリも配信されており、着実にプレイヤーを増やしている。

Studio MGCMでスクラムマスターを務める鑓水優行氏によると、ソーシャルゲームの開発はリリース前と後で開発フローが大きく変化するという。

Studio MGCMの鑓水優行氏
Studio MGCMの鑓水優行氏

「リリース前は、ゲームの基盤となる各種の機能やコンテンツを仕様に沿って時間をかけて作り込み、ユーザーが安定してゲームを楽しめる環境を完成させる。リリース後は、ユーザーデータのメトリクスを参考にして短いスパンでUI(ユーザーインタフェース)/UX(ユーザーエクスペリエンス)の改善やユーザーを飽きさせないようなイベントを実施し、サービスを継続的に成長させる必要がある」(鑓水氏)

Studio MGCMのリリース前のプロジェクト体制は「シナリオ」「企画」「デザイナー」「エンジニア」「3Dデザイン」といった担当分野ごとのチームに分かれており、スケジュール管理や他チームとの情報共有は主にチームのマネジャーの役割だった。管理には、ガントチャートを中心としたウオーターフォール型の開発プロセスに最適化したプロジェクト管理ツールを利用していた。

マジカミリリース前(2019年5月)の体制図
マジカミリリース前(2019年5月)の体制図

「ゲーム開発は『決められた期日までにある工程を完了させる』ウオーターフォール型の進め方が合う領域が多い。ただ特にソーシャルゲームの場合、リリース後はリリース前より高い頻度で改善や機能追加が発生する。ユーザーの反応や1日当たりの利用者数、課金ユーザー率などをKPIとして参照しながら課題を探り、改善を続ける必要があるからだ」(鑓水氏)

マジカミの場合は、30件前後の施策を2週間に1回リリースする必要があると見込んでおり、「ウオーターフォール型の開発プロセスでは対応できない頻度」と鑓水氏は考えた。そのため、リリース後の開発プロセスをアジャイル型に変更することにした。

それに伴ってプロジェクト管理ツールもこれまでのガントチャートを基本としたものではなく、「ウオーターフォール型とアジャイル型の両方の開発プロセスに対応できるものにしようと検討を始めた」(鑓水氏)そうだ。

チーム全体で参照するプロジェクト管理ツールとして「Asana」を選択

新たなプロジェクト管理ツールの検討で重視した要件は大きく3つ。「アジャイル型の開発プロセスにも対応できる機能を持っているか」「プロジェクトが拡大し、チームが70~80人規模になった際にも対応できるか」「全てのチームメンバーにとって使いやすく、軽量なUIを持っているか」だ。

「プロジェクト管理ツールというと、どうしてもチームの責任者やリーダーといった管理者だけが利用するイメージがある。だが、それでは管理者の負担が大きく、作業者は主体的に動きにくい。作業者自身が『それぞれのタスク遂行に関して責任を持つ』意識を持ってほしいと考えていた。そのため、情報の見やすさと使いやすさは重要だった」(鑓水氏)

複数のプロジェクト管理ツールを比較検討した結果、同社が最もニーズに合っていると判断したのが「Asana」だった。

「今後開発体制が拡大することを想定し、成果物全体の状況を一覧で把握できる機能も必要だった。候補に挙がった他のツールは、タスクを階層構造にした場合に末端のタスクが見えにくくなる懸念があったが、Asanaはワンクリックでタスクの詳細を表示できるなど『情報の見せ方』を工夫しており、末端のタスクも明確にできると感じた」(鑓水氏)

「開発現場の課題を解決するための投資は惜しまない」というStudio MGCMの方針もあり、Asanaの導入はかなりスムーズに進んだという。前ツールからのデータ移行やAsanaを効果的に使う方法の検討、メンバーへの説明には若干の手間が掛かったが、鑓水氏は「そういった課題は新しいツールを導入するときには必ず起こるものだ。ただ、Asanaは他のツールよりも課題解決に掛かる手間が少なかったように思う。チームメンバーにも違和感なく受け入れてもらえた」と語る。

新体制ではマネジャーが煩雑なスケジュール管理業務から解放

Asanaを活用した新たな開発体制に切り替えたStudio MGCM。新しい体制では、それまで5つあったチームを2つにまとめた。デザインの制作物を管理する「アセットチーム」とエンジニアによる作業が必要な制作物を管理する「開発チーム」だ。この2つのチームで情報を共有しながらアジャイル型の開発プロセスでプロダクト開発を進めている。

現在の体制図
現在の体制図

「Asanaは、各タスクの状況を『ボード』と『リスト』という2つのビューで表示できる。ビューは簡単に切り替えることができ、タスクに関連付けられた子タスクの状況はワンクリックで一覧表示できるため、すぐに全体の状況を把握できる。タスクの管理だけでなく各チームが作成した資料の共有にもAsanaを利用しており、Asanaの以前と比較してチームメンバー間のコミュニケーションコストを大きく削減できた」(鑓水氏)

全体のバックログを表すAsanaの画面
全体のバックログを表すAsanaの画面
各チームのスプリントバックログを表すAsanaの画面
各チームのスプリントバックログを表すAsanaの画面

以前はスケジュール管理に関する業務が各チームのマネジャーに集中しており、調整や折衝が彼らの業務の大部分を占めていた。Asanaによる情報共有とコミュニケーションの円滑化が実現したことで、新体制ではマネジャーがそうした業務から解放され、「ユーザーに提供する価値を高める」という本来のミッションに多くの時間を割けるようになった。

「納品やリリースのスケジュール遅延も以前と比較してだいぶ減少した」(鑓水氏)

各メンバーが主体的に動きチームのレベルを上げる情報共有の基盤に

Studio MGCMがマジカミのプロジェクトにAsanaを導入し、本格的にプロダクト開発で利用し始めてから1年以上たった。Studio MGCMは、Asanaの機能強化と改善が継続的に続けられている点にも魅力を感じているという。

「長く使うことで、初めて見えてくる課題がある。Asanaは、そうした課題や要望を常に収集しているので好感を持っている。要望が反映されることもあり、長期間継続して使うことを考えた場合、その姿勢にはメリットを感じる」(鑓水氏)

Studio MGCMを含む、世界中の利用者からの要望によって追加された機能には「リスト形式で作成したプロジェクトをボード形式のプロジェクトに変換できる機能」「タスクに階層構造で関連付けられた子タスクを一覧するUI」などがあるという。

Asana導入によって、「高速、高頻度でリリースできる開発体制」を構築できたStudio MGCM。今後は、プロダクト作りの課題をチームメンバーそれぞれが把握し、自主的に改善のアクションを取れる仕組みをつくり上げたいと鑓水氏は語る。

「Asanaには、プロダクトの課題がより分かりやすく可視化される機能の実装を期待している。Studio MGCMには『メンバーがそれぞれにチャレンジし、ハッピーな人生を実現できる職場でありたい』という目標があるので、それを実現するためのツールとしてもAsanaを引き続き活用したい」(鑓水氏)

※本記事は2020年12月4日にTechTargetへ掲載されたものです。

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