プロジェクト管理におけるクラッシングとは?ファストトラッキングとの違い

 2022.10.13  ワークマネジメント オンライン編集部

WORK INNOVATION SUMMIT 24

「クラッシング」は、プロジェクト変更やトラブル発生時の、遅延対策に活用できる手法です。自社に導入することで、これまで遅延していたプロジェクトの効率を上げて、遅れを取り戻せるメリットがあります。当記事では、クラッシングについて、特徴や注意すべきポイント、実行する目的、事前の対策などを解説します。

プロジェクト管理におけるクラッシングとは?ファストトラッキングとの違い

プロジェクト管理におけるクラッシングとは?

プロジェクト管理における「クラッシング」とは、進行日程に遅延が出た際に調整する手法のひとつで、主に日程の短縮を目的として活用されます。以下、クラッシングの特徴や目的について、詳しく解説します。

スケジュール短縮に役立つ「クラッシング」

クラッシング(Crashing)とは、英語で「衝突する」を意味し、プロジェクトの途中で、ヒト・モノ・カネなどの新しいリソースを注ぎ込み、日程が終了するまでの時間を削減する手法です。

新たな人材を採用したり、働いている人の残業を増やしたりするなどで、リソースを追加し、日程の削減が可能です。事前に立案した計画よりも、必要な費用が増えるため、必ず会議を開いて、関係者全体から了承を得なければなりません。また、すぐに導入しても、遅延が改善しないケースも考えられるため、実際に効果があるのか、先に検証を行います。

クラッシングを行う目的

クラッシングは、進行日程を短縮して、プロジェクトの納期を守る目的で実行されます。進行中に、さまざまな原因によって、日程が遅延する事態が引き起こされるかもしれません。主な原因は、不適切な計画やリソース不足、外部からの急な変更依頼などです。

プロジェクトは期限内の終了が必須なので、途中で変更や問題が起こると、日程が延びて予定通りに進まなくなり、失敗に陥るおそれがあります。このような遅延を防ぐためには、進行の遅れが見え始めた際に、新しくリソースを注ぎ込み、作業の進捗を後押しする、クラッシングの活用が役立つでしょう。

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クラッシングとファストトラッキングの違い

どちらも進行日程を削減する手法ですが、特徴が異なります。それぞれどのように進行日程を削減できるのか、その違いについて解説します。

ファストトラッキングとは?

通常では、ひとつのタスクの終了後に、次のタスクへと移行する流れですが、「ファストトラッキング」では、日程を削減するため、両方のタスクの同時進行が可能です。スケジュールに組まれている順序に沿って進めるのではなく、次に予定しているタスクを前倒しすることで、終了時期が早まり、日程を削減できます。ファストトラッキングを導入すれば、プロジェクトの序盤から進行が遅延したとしても、途中で取り戻せるため、納期に間に合う可能性が高いでしょう。

しかし、本来のひとつずつ順序よく進める手法とは異なり、複数のタスクを同時進行する手法は、前のタスクでミスが見つかった場合、やり直しが求められるかもしれません。なぜなら、次に進めるはずだったタスクも、同様にミスの影響を受けて、誤っているケースがあるからです。

ファストトラッキングの活用により、日程の削減が叶い、プロジェクトの納期を守れるようになりますが、タスクの同時進行や複雑な管理などがミスをもたらしやすいことから、関係者の負担が大きくなるデメリットがあります。

クラッシングとファストトラッキングの使い分け

それぞれの特徴を考慮して、使い分けることが大切です。プロジェクトの状況に応じて、コストや品質維持などのメリット・デメリットに基づき、適切な手法を選びましょう。

【クラッシングの場合】
計画の予算を超えて、新しいリソースを注ぎ込みます。リソースが増えることから、作業に関わる担当者や管理者の負担が大きくなりにくいです。リスクを避けながら進行したいケースに適しています。

【ファストトラッキングの場合】
進行の途中でヒト・モノ・カネなどの、新しいリソースを注ぎ込む必要がありません。計画の予算を超えずに対応したいケースに適しています。

クラッシングを行う際に確認すべき4点のポイント

クラッシングの実行には、事前にチェックすべきポイントがいくつかあります。

クリティカルパス上のタスクが遅延しているか

クラッシングは、プロジェクトの進行速度に大きく影響する、「クリティカルパス」上での実行が必要です。クリティカルパスとは、日程に大きな影響が出てしまい、同時進行が不可能な連続したタスクの流れです。クリティカルパス上の日程の削減により、プロジェクト全体にかかる日程も削減できますが、逆に元から同時進行を予定していたタスクに、リソースを注ぎ込んで日程を削減しても、プロジェクト全体の日程の削減にはつながりません。

遅延しているタスクが見つかっても、全体的には納期に影響がないケースもあります。クラッシングの活用が不要な場合に、リソースを注ぎ込むと、無駄になってしまうため要注意です。

クラッシングを行うためのリソースは確保できているのか

クラッシングの導入には、注ぎ込むリソースの準備が欠かせません。人員を増やすなど、人的リソースの注ぎ込みによるクラッシングは実行できますが、どのような人材を注ぎ込むのかが重要です。基準より習熟度が低い人材を確保しても、他のメンバーと同様に作業を進めることは厳しいでしょう。

即戦力ではない限り、研修や教育にかける時間が要され、超過している日程やコストが削減できないリスクも考えられます。プロジェクトメンバーの削減が予定されている場合は、そのまま人員を維持するなどの手法で、リソースの確保が可能です。

ある程度時間がかかることを考慮しているか

リソースを確保し、即戦力を注ぎ込めたとしても、新しいメンバーがプロジェクトの作業を引き継いだ後は、慣れるまでに時間がかかります。新しいメンバーの作業効率が上がるまでの時間や、プロジェクトの終了までに持てる余裕など、クラッシングの実行には、期限内に作業を終了させられるかを検討しつつ、確認することが重要です。

なぜクラッシングが求められるのか

クラッシングの活用には、導入する目的を明確にしておきましょう。進行日程の削減には、他の手法の導入も考慮すべきです。例えば、ファストトラッキングでは、コストを追加せずに日程を削減できるため、予算を当初に計画した範囲内で抑えられます。

クラッシングは、事前の会議において、了承を得なければ実行できないため、コストを注ぎ込んでまで、この手法を導入したい理由を挙げなければなりません。リソースの注ぎ込みが不要なファストトラッキングでの対応を検討することもおすすめです。

プロジェクトを遅延させない事前の対策が大切

前提として、双方の手法を導入するきっかけを生み出さないように、プロジェクトでは遅延させない進行を心がけることが大切です。プロジェクトの開始後に計画が変更になるケースや、突然トラブルが起こるケースは、実際に少なくありません。したがって、スケジュールや見積もりを計画する段階から、遅延時の対策を講じておくとよいです。

こまめに進捗状況を確認することで、早い段階において、遅延しているタスクを発見できます。進捗管理には、プロジェクト管理ツールの導入がおすすめです。全体のタスク管理や進捗状況などを可視化して、スムーズに情報共有を行えるため、遅延しているタスクを早めに発見し、大きな問題になる前に適切な処理を施せるでしょう。

まとめ

プロジェクト管理におけるクラッシングは、問題となっている進行日程の遅延を解消する手法のひとつです。クラッシングの実行には、リソースの注ぎ込みが求められるため、コストを抑えるには、事前に対策を講じておくことが重要です。プロジェクトを適切に管理するため、進捗状況を可視化できる管理ツールを活用した方がよいでしょう。

管理ツールには、Asanaの「Work Graph®」データモデルがおすすめです。タスクやメンバーに関する情報管理を効率化し、プロジェクトのスムーズな進捗管理や、チーム間の円滑なコミュニケーションをサポートします。

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