デシジョンツリー(決定木)とは? 作り方やメリットを解説

 2022.10.20  ワークマネジメント オンライン編集部

ビジネスで持続的な成功を収めるためには、数多くの多様な選択肢の中から、確かな根拠を持って最良のひとつを選んでいくことが欠かせません。デシジョンツリーとは、そうした意思決定を行うための根拠を数値として可視化するためのフレームワークです。本記事では、デシジョンツリーの概要やメリット、作り方を分かりやすく解説していきます。

デシジョンツリー(決定木)とは? 作り方やメリットを解説

デシジョンツリーとは?

まずはデシジョンツリーの概要やそのメリットを解説します。

デシジョンツリーの概要

デシジョンツリーとは、ビジネスにおける意思決定プロセスをモデリングするフレームワークです。英語でデシジョン(Decision)は「決定」、ツリー(Tree)は「木」を意味することから、「決定木分析」と呼ばれることもあります。

デシジョンツリーにおいては、取り組むべき課題や目標をまず明確化します。そして、その目標からツリー状に分岐させていく形で、想定される複数の手段やコスト、それらの手段を採用した場合に予測される期待値などを記載していきます。

たとえば課題が「顧客管理システムの導入」であれば、「製品A、製品B、製品C…」というように大まかな候補を挙げ、そこからさらに各製品の「aプラン、bプラン、cプラン…」というように細かな料金プランを記載していくような形です。

このように手段やコスト、リターンなどを樹状に可視化していくことで、目標の達成のためにはどのような手段が妥当なのか、それぞれの選択肢を数値的に分かりやすく比較検討できるようにするのがデシジョンツリーの目的です。デシジョンツリーの作成には多くの計算が含まれるため、ITツールを活用する場合も多々あります。

デシジョンツリーのメリット

ビジネスにおいては、容易には決断できない複雑な意思決定をする必要がしばしば生じます。その際の選択を直感に頼って決定していては、ビジネスは大きな不確実性にとらわれてしまうことになるでしょう。

デシジョンツリーは、ビジネスにおける重要な意思決定をする際、目の前にはどのような選択肢が存在し、それぞれの選択肢に伴うコストや期待される効果などはどのようなことが考えられるかについて、将来の見通しをつけやすくするためのメソッドです。これにより、数多くの可能性が存在する場合でも、それぞれのメリット・デメリットなどを客観的に把握した上で、最適な手立てを考えることが可能になります。

もちろん、意思決定をサポートするフレームワークは他にも存在しますが、その中でもデシジョンツリーは比較的汎用性が高いのが強みです。デシジョンツリーの示す結果は、データ解析や統計学などの知識が乏しい人にも理解しやすく、前処理にもそれほど手間がかかりません。また、デシジョンツリーはある行動の結果予測をするためにも使えますし、既存の問題の原因特定をするためにも活用できます。

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デシジョンツリーで用いる機能図形(ノード)の意味

デシジョンツリーを作成する際には、「ノード」と言われる機能図形が用いられます。代表的なノードは、以下の3つです。

  • 意思決定ノード(正方形の記号)
    自分でコントロールできる問題に対して付記されるノードです。たとえば、「どのような新商品を開発するか」は自分で決められる事柄です。デシジョンツリーの始点には必ず意思決定ノードが置かれます。

  • イベントノード(円形の記号)
    想定される不確定な可能性に付記されるノードです。たとえば開発した新商品がヒットするか否かは確実に保証されるものではありません。したがって、デシジョンツリーを作る際は、新商品がヒットした場合とそうでない場合、それぞれの期待値がイベントノードと共に記載されることになります。あるイベントノードから別のイベントノードへと派生していくことも珍しくありません。「関連ノード」と呼ばれることもあります。

  • 終点ノード(左向きの正三角形の記号)
    デシジョンツリーの終端に付記されるノードです。終点ノード以降にさらにツリーが展開していくことはありません。終端には主にそれぞれの分枝が示す予測結果などが書かれます。新商品の開発の場合は最終的な予想収益などです。

つまり、デシジョンツリーは基本的に、「意思決定ノード-イベントノード-終点ノード」という順番で展開していくことになります。

デシジョンツリーの考え方と作り方

デシジョンツリーを実際に作る際には、どのような手順で分析を進めるのでしょうか。以下では、デシジョンツリーの考え方と作り方を解説します。

テーマを決める

デシジョンツリーを作る際には、最初に分析の対象となるテーマを決めます。一例を挙げると、「新店舗の立地計画」などです。

テーマを決めたら、次はツリーの終点に記載されるゴールや比較検討のための評価方法を決定します。先に挙げた新店舗の立地計画という例で言えば、「候補地ごとの収益の期待値を明らかにすること」などが該当します。評価方法は客観的に比較検討できるように、数値で示せるものにするのが重要です。

問いと選択肢を書き出す

次の段階では、問いと選択肢を書き出していきます。まずはツリーの始点に問いを書きましょう。たとえば「どこに新店舗を置くべきか」などです。そして、その問いから考えられる選択肢を派生させていきます。

問いはひとつとは限りません。店舗計画で言えば、候補地以外にも「営業時間は何時までにするか」など、選択できる事柄は存在するでしょう。このように分析者の意思でコントロール可能な分岐点には正方形のノードで印をつけていきます。詳細に比較検討するには、考えうる選択肢をできるだけ洗い出すことが重要です。

選択肢を分岐させる

選択可能な事柄を洗い出したら、今度はそれらの選択から想定しうる結果を条件別に記載していきましょう。大雑把に言えば、「そのお店が流行った場合/流行らなかった場合」などがその事例です。このようにコントロール不可能な分岐点には円形のノードを使って印をつけます。

発生確率と得られるリターンを書き込む

選択肢を分岐させる際には、それぞれの発生確率と得られるリターンを記載しましょう。たとえば、賑やかな駅前と人通りの少ない裏道とでは、お店が流行る確率もリターンも当然異なります。こうした確率やリターンを割り出す際には、過去の類似データなどを参照し、できるだけ客観的なものになるように努めることが大切です。

期待値を計算して比較する

それぞれの選択肢の発生確率とリターンを割り出せたら、デシジョンツリーの終点となる期待値も計算できるようになります。期待値を出すための計算式は、「確率×リターン=期待値」です。それぞれの選択肢から予想される結果の期待値を明らかにすれば、どの選択が最良の結果を生む可能性が高いのか、数値に基づいて比較検討できるようになります。

まとめ

現代のビジネスにおいては、曖昧な直感などに依存せず、データに基づいた意思決定をしていくことが成功のカギです。デシジョンツリーを活用することで、課題解決のために取りうる選択肢や、そこから予想される期待値などを洗い出し、各選択を客観的な数値によって比較検討することが可能になります。

デシジョンツリーによって方針を決定したら、そこからは実際に業務を遂行する段階に入ります。この段階においては、計画通りに業務を進めるためにプロジェクト管理を的確に行うことが重要です。Asanaは、チームメンバーの仕事状況を一元管理し、プロジェクト管理を支援するITツールです。ぜひ導入をご検討ください。

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