プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)とは?その基本をわかりやすく解説

 2022.01.06  ワークマネジメント オンライン編集部

企業の扱う事業の方針を決める上で「プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)」は有効な分析手段ですが、実際にはどのように活用するのでしょうか。またPPMによってどのようなことが分かるのか、そして経営に活かせるのかを解説していきます。

プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)とは?その基本をわかりやすく解説

PPMとは

企業が成長していくと、それぞれの部署で様々な事業を展開するようになり、また各事業内においても複数の製品を扱うようになります。企業は経営を行っていく上で、それぞれの事業や製品に対してどの程度の「ヒト」や「カネ」といった自身のリソースを投資するのが効率的であるかを判断する必要があります。そこで各事業の成長性や収益性を把握するため、それぞれの事業を分析するための手法を「プロジェクトポートフォリオ管理(PPM)」と呼びます。

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PPMにおける事業の4分類

PPMにおいては、各事業をその事業の「市場成長率」とその事業が属する業界における「相対的市場シェア」の高低により、「花形」「問題児」「金のなる木」「負け犬」という4つに分類します。

市場成長率とはその事業が属する業界における市場の成長度合いを示す指標であり、相対的市場シェアは業界全体の売上げに対して自身の事業がどれだけのシェアを占めているかを表した指標です。

花形(Star)

市場成長率と相対的市場シェアの両方が高い事業を、花形に分類します。いわば自社を代表する事業と言えるでしょう。一方で成長率の高い事業であるため、各社もシェアを狙っており、競争が激しいということに注意しなくてはなりません。利益を維持するためには積極的に投資の継続を行い、シェアを維持していく必要があります。同時に成長性とシェアが高い事業は多くの利益を引き出せるため、その利益を再投資して事業と利益の拡大を狙うことができます。

問題児(Question Mark)

問題児とは、市場成長率が高いものの、相対的市場シェアが低い事業です。事業を立ち上げたばかりでまだシェアが確立できていない事業などがこれに当たります。問題児の事業は、集中してリソースを投下するなど、投資によって花形の事業に成長することが見込めます。しかし市場成長率が高い分野の業界は、他の企業とシェア獲得のための競争が激しくなる可能性があります。また、まだシェアが確立できていないことから、その事業単独では利益を十分得られないことが予想されるため、積極的な投資を行う場合は他の部署などからリソースをまかなう必要がある場合があります。最終的にどうしても利益に結びつかないと判断した場合、撤退する判断を行うこともあります。

このように問題児の事業は、経営者にとっては最も判断に悩まされる事業と言えるでしょう。

金のなる木(Cash Cow)

市場の成長は低いものの、自社が高いシェアを誇る事業を金のなる木に分類します。今後の成長が見込めないと考えられる業界にあえてこれから参入する企業は少ないと考えられます。そのため企業間の競争が起きにくく、シェア維持のために負担のかかる投資を行う必要がありません。市場成長率が低い分野の事業に必要以上に投資しても利益の回収は狙えないため、この分野の事業においては、どれだけのコストダウンを図れるかが課題になります。さらにこの分野の事業で得た利益を、他の分野の事業に投資することも検討しましょう。

負け犬(Dog)

負け犬とは、市場成長率が低く、かつ相対的市場シェアも低い事業を指します。積極的な投資を行いシェアを上げても今後事業が成長する見込みは低く、投資に見合った利益の回収が見込みづらいと考えられるため、それまでこの事業に割いていたリソースを他の分野に回した方が有効です。状況によっては撤退も視野に入れる必要があります。

PPM分析で必要な計算式

それでは実際にPPM分析を行うための計算方法について解説します。

市場成長率の算出方法

市場成長率は、今年の市場規模(売上)が前年度の市場規模に比べてどの程度成長したかで調べます。具体的な計算方法は次の通りです。

  • 今年の市場規模(売上総額)÷前年の市場規模(売上総額)×100

それぞれの市場の売上がいくらであるかを知るためには、各省庁や業界団体が発表している数値を調査しましょう。より詳しいデータを参照する場合には、民間のリサーチ会社からマーケットデータを購入するか、調査を依頼する必要があります。

相対的市場シェアの算出方法

相対的市場シェアは、自社の事業や製品と業界内でトップの事業や製品を比較した際、どの程度のシェアを占めているかを表した数値です。具体的な計算方法は次の通りです。

  • 自社の絶対的市場シェア÷業界トップ他社の絶対的市場シェア
    絶対的市場シェアとは、その市場のシェア全体に対して各社が占めるシェアのことを指します。絶対的市場シェアの計算方法は次の通りです。
  • その事業における各社の売上高÷市場全体の売上総額

PPMの活用方法

企業が扱う事業や製品を、成長性や市場シェアに基づきPPMによって仕分けすることで、それぞれの事業や製品の重要性や将来性を見極められます。

金のなる木に属する安定した事業から利益を回収し、花形や問題児に属する事業に積極的な投資を行っていきましょう。問題児に属する事業を積極的に支援し、花形事業に育成していくことが企業を成長させるためには重要です。

市場の成長率が鈍化して負け犬になりつつある事業がある場合は、投下する資金や人員を減らしたり、場合によっては事業の撤退を考えたりする必要があります。

PPMの結果は事業の動向や市場全体の傾向によって変動するため、定期的に分析をして状況を見極めることが肝心です。

PPMの注意点

PPMは、成長して多角化した企業において各事業の動向を知るために活用できますが、同時に注意しておきたい点がいくつかあります。

事業間のシナジーが考慮されない

一般的に企業は各部署が連携して事業活動を行い、生産部門や研究開発などでシナジー効果を創り出すことによって、より高い企業価値を生み出しています。しかし、PPMの測定においては各事業の売上やシェアのみを考慮して計算を行うため、事業間のシナジー効果の影響が考慮されなくなってしまう点に注意が必要です。

現時点での成長率、相対市場シェアでしか評価されない

PPMの計算においてはあくまで現在の売上総額や市場成長率のみが参照されるため、将来的な市場成長率の変化やシェアの変動予測などは考慮されていません。仮に業界に新技術の開発など急激な変動が起きた場合に、PPMを前提とした分析では即時対応できない危険性があります。

潜在的に成長可能であっても、成熟した事業には追加リソースを投入しないことを前提としている

PPMは「既に成長した事業からは利益を回収し、市場成長率の高い事業に積極的に投資しよう」というモデルであるため、仮にその成熟した事業が更に成長できる可能性を秘めていたとしても、その事業に更なる投資を躊躇してしまう可能性があります。

指標に利用した数値が正確とは限らない

分析に利用した数値はあくまで調査によって把握しているため、必ずしも正確とは限らない点に注意が必要です。対象とすべき数値が複数ある場合は、どの数値を採用するかによって、測定結果も変動することになります。

まとめ

PPMを活用すると、各事業の業界内での立ち位置を把握できるとともに、自社が今どの事業に集中して取り組むべきかを知ることができます。

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