プロジェクトのコストとスケジュールを可視化するEVMとは?

 2021.12.28  2022.09.05

「EVM」は、プロジェクト管理に活用できるスケジュールとコストを可視化する手法のひとつです。EVMでプロジェクトをコスト面から管理することで、定量的な数値に基づいてスケジュール管理できるなどのメリットがあります。本記事では、EVMの概要や活用方法などについて解説します。

プロジェクトのコストとスケジュールを可視化するEVMとは?

アーンドバリューマネジメント(EVM)とは

「アーンドバリューマネジメント(Earned Value Management)」とは、プロジェクトの進み具合をコストの視点で管理する方法のことです。一般的に「EVM」と省略します。作業工程ごとに必要な人件費などの必要とするコストを明確にしていき、進捗状況を可視化します。

費用をタスクなどの工程ごとに計画し、実際にタスクを行った際に消費した「消費コスト」と、成果を金銭で表した「実績(成果)」とを比較する方法で、金銭面での進み具合や目標までの達成度が把握できます。

EVMは、1960年代にアメリカで国防などのプロジェクトに使われたのが始まりとされています。アメリカで国防省調達規則に規定されたあとは、米国行政管理予算局などに採用されるなど、コスト調達における進捗マネジメントの標準技法として使われています。

EVMで何ができる?

EVMの管理は、スケジュールだけではありません。費用の管理も行い予算オーバーを防ぐこともできます。プロジェクトの目的は単に製品を完成させるだけでなく納期に間に合わせ、費用を抑えて利益を上げることです。

進行状況の管理は時間で把握するといったケースが多く、「明後日までにタスクを終了できず、少し時間がオーバーする」といった具合に、時間基準での判断で管理が行われています。それに対しEVMでは、進行状況の管理をコスト目線で行うため、「明後日までにタスクを終了できず、残業のために費用が〇〇円かかる」などの費用を明確にした管理が可能です。数値を用いて現状を理解できるため、費用と時間の両方を客観的に把握できるメリットがあります。

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EVMの構成要素

EVMは、「PV」「EV」「AC」「BAC」といった要素で構成されています。これらの要素を活用すると、かかる費用や時間の分析・管理が可能です。

PV(計画予算)

PV(Planned Value:計画予算)とは、プロジェクトの計画時に決定した全行程分の予算のうち、ある段階までにかかる予定の費用を指します。たとえば、スケジュールを30%まで終えた際の費用の計算方法は、「PV=プロジェクト完了率(予算:30%)×BAC」です。このPVと実績を比較することで、現在の状況を把握することができます。

EV(出来高)

EV(Earned Value:出来高)とは、ある段階まで実際に行われた作業の量のことです。現時点で完了しているところまでの作業量(出来高)として、見積もっている予算額をもとに計算します。たとえば、プロジェクトを現段階で20%まで終えている場合、「EV=プロジェクトの完了率(実績:20%)×BAC」で算出されます。EVでは、予算額より計算される出来高により、実際の進捗度が確認可能です。

AC(実コスト)

AC(Actual Cost:実コスト)とは、ある段階までに実際にかかった費用の合計額のことです。スケジュール通りの数値だった場合は、その段階でのPVと同じですが、残業代や外注費などすべての費用も合わせて計算するため、予算よりもオーバーしているかどうかが明確にわかります。

BAC(完成時総予算)

BAC(Budget at Completion:完成時総予算)とは、プロジェクトの実行に必要な予算の総額を指し、計画立案時に見積もられるものです。BACをもとにしてPVやEVなどを計算するため、正確に計算するほど高精度なEVMが可能となります。

EVMの見方

EVMは、横軸に時間、縦軸に費用を記載した折れ線グラフで表します。グラフを活用することで、EV・PV・ACの各折れ線から、時間の増加とともに金額がどれだけ増えるかを確認できます。PVでは全行程での予算の動き、EVでは予算額を基準にした現時点までの出来高推移、ACでは現時点までにかかった実際の費用がわかり、それぞれの推移が可視化されます。グラフ上では、それぞれの動きからコストの状態を把握できます。

【PVとEVを比較】

PV(計画予算)とEV(出来高)は、どちらも予算額の推移を表します。作業が100%終わった時点でBAC(完成時総予算)と同じ金額になるので、2つの折れ線は途中経過に注目します。EVの金額がPVよりも大きいパターンでは、予定よりも早く進んでいると判断でき、進み具合は順調とわかります。逆に、EVがPVよりも小さいパターンでは、予定よりも進み具合は遅れている状態です。

【ACとEVを比較】

AC(実コスト)とEV(出来高)を比較することで、コスト状況を評価・管理します。ACは実際のコストを表します。なので、予算額を示すEVよりもACが少ない場合は、コストを予算内で抑えている状態です。逆に、ACがEVよりも高いときは、予定以上にコストをかけている状態といえます。その場合、計画よりも遅れることで人件費を増やしている、といった問題が起きているかもしれません。

EVMの進捗管理で使用する数値

EVMの進捗管理では、「SV」「SPI」「CV」などさまざまな数値を使用します。コストをさまざまな数値で分析することで、コストコントロールに役立てられます。

SV(スケジュール差異)

SV(Schedule Variance:スケジュール差異)は、スケジュールの進み具合を表したものです。「SV=EV-PV」で算出します。

EV(出来高)からPV(計画予算)を引き算した結果、その差がプラスになっていれば、予定よりも作業が進んでいる状態とわかります。SVがマイナスになっているときには、プロジェクトが計画よりも遅れていると判断できます。スケジュールと実際の作業工程の差が大きい場合、スケジュールの見直しも必要です。

SPI(スケジュール効率指数)

SPI(Schedule Performance Index:スケジュール効率指数)とは、スケジュール効率の良し悪しを表したもので、「SPI=EV/PV」で算出します。

EV(出来高)をPV(計画予算)で割り、その商がちょうど1のときには、プロジェクトが計画通りに進んでいる状態とわかります。1未満のときは「出来高<予算」となるためスケジュール効率が低い状態、1より大きいときは「出来高>予算」となるためスケジュール効率がよい状態を表します。

CV(コスト差異)

CV(Cost Variance:コスト差異)とは、予算と実際に生じた費用との差異を表したもので、「CV=EV-AC」で算出します。

現段階で完了しているタスクの予算であるEV(出来高)から、現段階でかかった費用のAC(実コスト)を引き算します。その結果、差がプラスならコストが予算内に収まっている状態と判断できます。マイナスの場合には予算オーバーしている状態とわかるため、対策を講じる必要があります。

CPI(コスト効率指数)

CPI(Cost Performance Index:コスト効率指数)とは、現時点で計画に対しどれだけの費用が発生しているかを表し、「CPI=EV/AC」で算出します。

現段階での予算であるEV(出来高)を、実際に使用されたAC(実コスト)で割り算します。商が1になったときは、予算と費用がぴったり合っている状態です。1より大きい場合は費用がそれほど発生していない状態、1より小さい場合は予算以上の費用が発生している状態を意味します。そのため、基準値の1からかけ離れている場合には予算の見直しをしなければなりません。

ETC(残作業コスト予測)

ETC(Estimate To Complete:残作業コスト予測)とは、現段階から全工程終了までの分、つまり現在残っている予算額を表し、「ETC=(BAC-EV)/CPI」で算出します。現在の作業状態から、完了までにどれだけの費用がかかるかを確認する際に用いられます。

BAC(完成時総予算)から現段階までの予算であるEV(出来高)を引き算します。差をCPI(コスト効率指数)で割ると、以降で必要となる残りの作業コストを割り出すことができます。現段階までの「コスト効率」を使った計算方法で、現実的な数値の算出が可能です。

VAC(完了時コスト差異)

VAC(Variance At Completion:完了時コスト差異)とは、全行程が終わった際の全コスト予測値における差異を表し、「VAC=BAC-EAC」で算出します。

当初の総予算であるBAC(完成時総予算)から、現在予測可能なトータルコストであるEAC(完了時コスト予測)を引き算します。差がプラスの場合には、費用を予算内で抑えられていると判断できます。マイナスの際は、実際に必要と計算された費用が最初の予算を超えてしまうことになるので、作業効率の見直しなどコスト削減を図る必要があります。

EAC(完了時コスト予測)

EAC(Estimate At Completion:完了時コスト予測)とは、現時点において予測可能な全行程完了時にかかる総コストを表し、「EAC=AC+ETC」で算出します。

現段階で実際に発生しているAC(実コスト)と、今後発生が予測されるETC(残作業コスト予測)」を足し算することで、予測値を算出できます。現在の状況から、実績に基づいた総コストの予測が可能です。

まとめ

EVMは、コスト面からプロジェクト管理を行う手法です。製品の完成に必要なコストを予算立てて、予算と実際にかかった費用を比較することにより、進捗状況を管理します。コスト管理は、とくに利益の向上につながるため重要とされています。

プロジェクト管理ツールAsana」を利用すると、簡単にタスクの整理や進捗管理が行えるようになります。チーム内のコミュニケーションが取りやすく、ボードでお互いの進捗状況を確認できるため、連携して効率よく業務を進めることが可能です。プロジェクト管理を効率化するためにも、ぜひ導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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