サステナビリティ経営とは?SDGsとの関係やCSRとの違いも解説

 2022.04.19  ワークマネジメント オンライン編集部

最近話題のサステナビリティ経営とは、具体的にどのようなものでしょうか。昨今は社会全体でSDGsの取り組み強化が叫ばれ、企業としても経営にサステナビリティの観点を取り入れることが求められています。本稿ではそんなサステナビリティ経営について、SDGsやCSR、ESGとの違い、メリットや導入の手順を取りあげます。

サステナビリティ経営とは?SDGsとの関係やCSRとの違いも解説

サステナビリティとは

まずサステナビリティという単語について改めておさらいしましょう。サステナビリティとは「持続可能性」という意味です。「持続可能性」と一口に言うと非常に幅広い言葉ですが、この場合、自然環境・人間社会・経済活動の3つが持続可能である、つまり失われることなく長く続いていくという意味を持っています。

文明の進歩と地球環境の保全は共存が難しいと見なされることもあります。しかし、昨今よく耳にする「サステナビリティ」は、「人間が生きていく社会」も「地球に存在する素晴らしい自然環境」も損なわれることのないよう「必要な経済活動」を進めていくという考え方です。

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 サステナビリティと類似する「CSR」「SDGs」「ESG」との違い

サステナビリティの意味を押さえたところで、もう少し深掘りしていきましょう。地球や社会への配慮を意識した、似たような単語がほかにもありますが、それぞれサステナビリティとどのように異なっているのでしょうか。

「SDGs」はサステナビリティを具体化した推進目標

まずはSDGsとの違いです。恐らく今社会で頻繁に話題となっている単語の一つではないでしょうか。
SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、直訳すると「持続可能な開発目標」となります。これは2015年に開かれた国連サミットにて全加盟国により採択されたもので、17のゴール=目標とそれに付随する169のターゲットがあります。

SDGsは、具体的にどのような手法で「サステナビリティ」を世界全体で実現していくかという観点からまとめられました。つまりサステナビリティを達成するための17の目標として、SDGsが設けられているのです。

SDGsにはエネルギー問題や気候変動への対応、貧富の差やジェンダー問題などさまざまな観点からアプローチされた目標が包含されています。非常に重要な考え方なので、この機会に目を通してみてはいかがでしょうか。

「ESG」は企業が長期的に成長するために重要とされる観点

続いて、ESGとの違いについて説明します。
ESGは「Environment」「Social」「Governance」の頭文字をとったものです。地球環境、人間社会、企業のガバナンス(適切な情報開示、法令順守などの事項)に対して企業が適切に配慮・対応できているかという観点を指しています。

ESGの観点に配慮した取り組みを行っている企業に対して投資することを「ESG投資」と呼び、現在注目を集めています。PLなどの財務的情報ではありませんが、これからの持続可能な社会に対してどのような姿勢で取り組んでいるかは、企業の将来性に大きく影響するものと見なされているのです。

このESGも持続可能という観点ではサステナビリティと同じ志のもとに生まれたものですが、確固たる定義がないため、個別の判断軸で企業の取り組みを評価していくことになります。また、ESGはあくまで「企業がステークホルダーとどのような関係を構築するのか」という企業の目線での取り組みです。それに対してサステナビリティとは、国や社会全体の視点に立って、持続的な成長を目指すものです。言い換えれば、企業はESGに配慮した取り組みを行うことで、サステナビリティに貢献できるでしょう。

「CSR」は企業が果たすべき「社会的責任」

CSRとの違いについても解説します。
CSRは「Corporate Social Responsibility」の略語で、日本語では「企業の社会的責任」と表現されます。これは、企業はただ利潤のみを追い求めるのではなく、その企業活動によって影響を及ぼす人や自然に対して責任を持ち、よりよい社会を作ることに寄与すべきであるという考え方です。この考え方はサステナビリティよりもかなり前から企業に取り入れられており、どちらかというとESGに近い考え方と言えるでしょう。

サステナビリティとの違いは、やはりCSRが企業のみの視点であり、利潤を追求しない社会貢献活動に近い側面を持つことです。一方、サステナビリティは社会全体の視点で、社会の持続的な発展を目指しながら利益を創出することを目指しています。

サステナビリティを経営に取り入れることで得られるメリット

ではサステナビリティについて理解が深まったところで、この考え方を経営に取り入れると、どのようなメリットがあるのか考えてみましょう。以下3点を取り上げます。

取り組みの発信により企業の価値が上がり事業の成長につながる

まずは、企業価値の向上です。
多くの消費者がサステナビリティやSDGsなどのワードに多く触れている今だからこそ、サステナビリティを意識した取り組みを発信することは特に効果的です。消費者から好意的な目で見られ、企業のブランドイメージ向上につながるでしょう。

また、自社で提供しているサービスや新規で提供するサービスがサステナビリティに関連したものであれば、市場で高く評価されやすく、結果として事業の大きな成長も見込めます。
ESG投資を受けやすくなることで、資金調達も容易になると考えられます。

取り組みの推進によりコストの見直し・削減ができる

続いてのメリットは、コストの削減です。
企業は電力、紙、水の使用も多く、環境に対して大きな負荷をかけています。たとえば紙の使用に関しては、ペーパーレス化により使用量を減らしたり、適切にリサイクルしたりすることで、企業としてもコストカットになり、社会全体としての環境保護にもつながるでしょう。

業務の見直しや効率化によって、適切な人員配置が可能になり、最終的には人件費の削減にもなる可能性もあります。

取り組むことで従業員のモチベーションが上がり、優秀な人材が集まる

最後に、人材の確保です。
サステナビリティを経営に取り入れることは、そこで働く従業員も「サステナビリティ」であることを意味しています。つまり、職場環境が健全であり、賃金も適切な水準で支払われていることが求められます。また、出産や介護などライフステージの変化に応じて柔軟な働き方ができる制度も必要でしょう。

経営者側としては難しい課題もあるかもしれませんが、従業員が働きやすい環境を整えると従業員エンゲージメントが上がり、企業全体の生産性も高まることが期待できます。

また、サステナビリティに取り組むことで、自社が社会に貢献していることを意識でき、働き甲斐や自社への誇りの醸成にもつながるでしょう。

従業員が待遇に満足し、仕事に誇りをもっている職場は、就職や転職を考えている人から見て魅力的に映るため、優秀な人材も集まりやすくなります。そして優秀な人々が成果を生み出し、企業としてはプラスのサイクルが回り出すでしょう。

サステナビリティを経営に取り入れることは、企業、従業員、社会のいずれにとっても益があるのです。

サステナビリティ経営を推進するための手順を流れで解説

最後に、実際にサステナビリティ経営に着手するにあたっての手順を解説していきます。5つのステップがありますので、一つずつ見ていきましょう。

  1. 導入に向けて考え方やビジョンの共有を行う
    何のためにやるのか、中長期的にどのような状態を目指すのかといったビジョンを明確にして共有します。目的意識やゴールが共有されていないとプロジェクトはうまく進行しません。
  2. 事業内容の洗い出し
    サステナビリティに取り組むと一口に言っても非常に範囲が広いです。ここで先述のSDGsに立脚した考えを活用します。自社で行っている事業内容や、CSRの活動をすべて振り返ってみて、自社はSDGsの目標のうちどの部分にアプローチできるのかを吟味しましょう。
  3. 取り組み目標の設定
    2.で検討したSDGsの目標に関して、具体的な目標を立てます。なるべく数値や期限を設定するのがポイントです。
    例:2030年までに男性育休取得率を対象者の80%以上にする、など
  4. 取り組み実施とその後の評価
    目標を設定したら定量・定性的に振り返ります。具体的な数値目標があれば、定期的に数値を把握することで評価できます。数字で表せないものについては、どのような点が遂行の妨げになったのか、どういった点が進歩したかをまとめ、今後の取り組みに生かしましょう。
  5. 外部への取り組み状況の公表
    先述した通り、サステナビリティに関する取り組みは企業のブランドイメージ向上に役立ちます。社内で取り組んだ実績を公に発信していきましょう。外部の目に触れることでモチベーションアップになりますし、取り組みがさらに洗練されて良い結果につながることを期待できます。

まとめ

サステナビリティ経営とは、自然環境や人間社会、経済活動の長期的な持続可能性を高めるアクションを行うものですが、単なる社会貢献活動ではありません。社会の持続的発展に貢献しながらも利益を生み出していく経営のことです。そして経営においてサステナビリティを意識していくと、企業価値を大きく向上させることにもなります。

Asanaで経営に関するデータを一括管理することは、サステナビリティ経営の考え方の一つにあった「コストカット」に役立ちます。サステナビリティを意識する今、ぜひAsanaでコスト削減から始めてみるのはいかがでしょうか。

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