組織風土とは改革を行う理由と具体的な方法を解説

 2022.06.02  ワークマネジメント オンライン編集部

WORK INNOVATION SUMMIT 24

メディアなどで構造改革の重要性が叫ばれてから長い時間が経ちました。企業を取り巻く環境は常に変化しているため、環境に適応した組織への変革が求められ続けています。そうした中、企業の長年の蓄積である、組織風土の改革まで考える経営者も増えてきています。そこで本記事では、組織風土の改革を進めるうえで押さえておきたいポイントをご紹介します。

組織風土とは改革を行う理由と具体的な方法を解説

組織風土とは

組織風土とは、ある種の文化として組織内に根づき、組織の構成員のあいだで共通認識として捉えられている価値観や規則、制度などの総称をいいます。個人の考えや行動、ひいてはチーム・グループなどより大きな単位での意思決定にも影響を及ぼすとされており、いかにしてよい組織風土を構築するかが、組織運営におけるひとつのポイントとなります。

しかしながら、企業を取り巻く環境は常に変化しているものの、組織そのものは「人」によって構成されている以上、なかなか変えることが難しいのが実情です。というのも、組織風土は企業の歴史の積み重ねとともに醸成されるものゆえ、その存在の重みが明示されているか否に関わらず、どうしても構成員の行動規範や判断基準をある程度拘束してしまうからです。

組織の硬直感・停滞感を解消するために、組織風土を変えなければと考える経営者も多くいますが、組織風土の改革は容易なことではありません。特に、組織風土が暗黙の了解や不文律として存在している場合、なおのこと改革は困難といえます。

では、どういった視点から組織風土の改革に取り組めばよいのでしょうか。それを知る前に、まずは組織風土を構成する要素について押さえておく必要があります。

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組織風土を構成する要素

組織風土は大きく分けると、制度やシステムなどに基づくハード要素と、個々人の行動や価値観などに基づくソフト要素によって構成されます。以下、それぞれ詳しく見ていきましょう。

ハード面

企業は通常、全社的な認識の共通化を図るとともに、統制のとれた行動を促すためにさまざまな規則・規範・方針を定め、管理システムを構築しています。たとえばMVVや人事評価制度、コンプライアンス、中期経営計画、戦略目標などが該当します。これらのハード的な要素は明文化されているため、どこが外部環境に適応していないかがわかりやすいともいえます。

ソフト面

組織風土における多くを占めるのがソフト要素で、いずれも表面化こそするものの明文化はしにくいという特徴があります。具体的には仕事の進め方や意思決定プロセス、個人あるいは組織の価値観や行動様式、暗黙の了解、コミュニケーションなどが挙げられます。

なお、このソフト要素の中でも、とりわけ従業員の心理・精神面に強く影響するものをメンタル要素として区分する場合もあります。

組織風土改革が求められる背景

新型コロナウイルスの拡大や働き方改革の推進、人材の流動化など、ここ数年で企業を取り巻く外部環境は大きく変化しており、今や「Volatility(変動)」「Uncertainty(不確実)」「Complexity(複雑)」「Ambiguity(曖昧)」の頭文字をとってVUCAの時代といわれています。しかし、そのような状況下においても企業は外部環境に適応し、存続・発展していかなければなりません。

企業がこうした環境変化に素早く適応するためには、柔軟な意思決定を実現できるよう、組織間の連携強化と従業員一人ひとりの主体性を向上させることが不可欠です。その点、組織風土の改革は社内の円滑なコミュニケーションを促し、個々のモチベーションやエンゲージメントの向上に寄与するため、変化に対する即応力が求められる現代ビジネス環境において、非常に重要な取り組みとして認識されています。

改革を進めるためのアプローチ

組織風土の変革にあたっては、ハード面とソフト面でそれぞれ適した手順があります。ここでは、ハード面・ソフト面それぞれの改革方法について考えていきましょう。

ハード面からの改革

改革の意思さえあれば取り組みやすいのがハード面です。制度やシステム、規則やルールを改革することで、従業員の新たな行動パターンを形成し、行動変革を促します。

ハード面においては、「ビジョン」と「システム」の2つの視点に基づく、戦略変革および仕組み変革のアプローチが中心となります。これらの変革はいずれも目に見えるものであるため、従業員にとってもわかりやすいでしょう。たとえば、ビジョンに基づく戦略に沿った人事評価システムを整備することで、従業員の行動パターンも新たに変化していくことが予想されます。

ソフト面からの改革

ソフト面では従業員の行動様式に影響を与える価値観や、コミュニケーションのあり方、意思決定の方法、従業員の関係性といった目に見えない部分にアプローチするため、変革は容易ではありません。したがって、リーダーシップの発揮の仕方を変えるなど、経営者自身が模範となって示すことが大切です。

ソフト面においては、従業員の思考や行動を方向づける「プロセス」の視点に基づく、行動変革のアプローチが中心となります。これと前述のビジョン・システムを加えた三位一体でのアプローチにより、ハード面・ソフト面の改革を進めていきます。

改革を進める際の注意点

組織風土の改革を進め、従業員の考えや行動の変化を促すにあたっては、いくつか押さえておくべき注意点もあります。

改革を進めるためのリサーチには時間がかかる

組織風土とは、企業が歴史を刻む中で生じた、さまざまな要因が積み重なって醸成されたものです。そのため、変革に対し心理的葛藤が生じたり、何から着手すればよいかわからなかったりするケースも少なくありません。さらに、組織風土を構成する要素の大部分は黙示のものであり、それらを把握するだけでもかなりの時間を要します。

そうした事情から、組織風土の改革にあたっては、まず念入りに自社の問題点を洗い出すことが重要です。これを怠ると改革の目的そのものがブレてしまいかねず、取り組みが失敗に終わる可能性が高まります。また、改革を実行したからといって、すぐにその成果が表れたり、社内に浸透したりするわけではないため、長期的な視点をもって臨む覚悟も必要でしょう。

変革に抵抗する社員が出る

組織風土は長年の積み重ねからできているため、従業員一人ひとりの意識に根深く染み込んでいるものです。それゆえ従来のプロセスを変えることに疑問を抱き、改革に対して抵抗感を示す従業員が現れる可能性もあります。そのときは、企業を取り巻く外部環境と将来像について粘り強く伝えることで、組織風土の変革の重要性とメリットを理解してもらうことが大切です。

加えて、そうした抵抗を示す人にも、改革に参加してもらうよう求めましょう。根気よく説得を続けることでコミュニケーションが活性化し、お互いの信頼関係も構築されていきます。このように、改革に対する抵抗や反発が生まれることを想定し、そうした意見をもつ人へのフォローなども行いながら推進していくことが求められます。

まとめ

組織風土の改革は非常に難しい取り組みゆえ、自社の問題を明らかにしたうえで、適切な手順とアプローチにより時間をかけて推進していく必要があります。また実行に際しては、従来の組織風土への愛着などから改革に抵抗感を示す従業員も現れるかもしれません。そうした人の意見も決してなおざりにせず、改革の必要性について納得・理解してもらえるよう、粘り強くフォローを続けることも重要です。

この難しい取り組みを効率よく進めるためには、ワークマネジメントツール「Asana」の導入がおすすめです。Asanaは組織の業務プロセスを可視化できるため、改革の第一歩である課題抽出を効率化し、自社の状況に適したアプローチを判断する一助となります。コミュニケーションの円滑化に資する機能も備えているため、組織変革の成功に大きく貢献できるでしょう。

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