人事評価制度とは?その導入目的や手法から人事評価制度の導入事例についても解説

 2021.10.21  ワークマネジメント オンライン

長らく続いた年功序列制度や終身雇用は今、徐々に成果主義を取り入れた人事評価制度へとシフトしています。さまざまな企業で時代に合った人事評価制度が導入される中、自社でも成果主義に対応した人事評価制度を検討しているという企業も多いのではないでしょうか。本コラムでは、そもそも人事評価制度とはどういうものなのか、その目的をおさらいしながら、近年導入が進む人事評価制度の手法やその事例を解説します。

人事評価制度とは?その導入目的や手法から人事評価制度の導入事例についても解説

人事評価制度とは

人事評価制度とは、雇用主である企業が、従業員の人事評価に用いる指標を制度として取り入れる仕組みのひとつです。

人事評価制度は、主に「評価制度」「報酬制度」「等級制度」の3つの要素で成り立ちます。

  • 評価制度:
    評価制度は、従業員が企業へ貢献するためにどのように行動しているかを評価する制度のことです。普段の業務内容や成果を行動指標として評価します。この評価は、報酬や等級を決定する際の指標として活用されるものです。
  • 報酬制度:
    報酬制度は、従業員の給与や賞与(ボーナス)を評価に基づいて決定する制度です。評価制度や等級制度の評価をもとに、従業員一人ひとりの報酬を決定します。
  • 等級制度:
    等級制度は、「課長」「部長」などのように、社内での役割を決める制度のことです。等級は、従業員の業績やスキル、経験などから決定され、能力値が高い従業員が、従業員をまとめるポジションに就きます。等級によって上司・部下といった序列が決定されるため、組織を機能させるためには重要な制度です。
    「組織」については、【組織とは?組織を成立させる3つの要素から組織の例についてわかりやすく解説】にて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

人事評価制度は、これら3つの制度が相互に作用することで従業員が評価され、組織内での処遇が決定します。

人事評価制度が変化する背景

人事評価制度は、時代とともに変化しています。

これまで、日本企業は終身雇用や年功序列制度が一般的でした。しかし、グローバル化や働き方の変化にともない、成果主義や能力主義を取り入れる企業も増えてきたのです。この変容に対応するためには、従業員を評価する指標も時代に合わせて改めなければなりません。

成果主義の中、勤続年数や年齢を指標にした評価をもとにポジションや給与を決定したのでは、不公平であり、従業員の満足度も上がらないでしょう。また、成果主義や能力主義を取り入れるならば、公平に評価できる指標にしなければ、優秀な人材を獲得することも、企業として成長し続けることも難しくなるのです。

このような背景から、企業における人事制度は大きく変化しています。

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人事評価制度を導入する目的

それでは、人事評価制度を導入する目的を詳しくみていきましょう。

従業員を公平に評価する根拠になる

人事評価制度は、従業員の処遇を決めるための指標を定め、公平な評価をする仕組みです。簡単にいえば、基本給やボーナス、ポジションなどを決定するための根拠となる制度なのです。
人事評価制度に透明性をもたせることで、「評価が公平」であることを従業員が納得できるため、企業への貢献意欲や業務へのモチベーション維持につながります。

人材育成

公平な人事評価制度は、人材育成にも役立ちます。

例えば、目標管理制度を導入すれば、従業員は目標を達成するために創意工夫をしながら業務を遂行していきます。より早く目標を達成するために、業務の効率化を考えながら実行していくでしょう。

これが、従業員のスキルアップにもつながり、ひいては人材育成にもつながるのです。

目標管理については、【目標管理とは?目標管理のメリットや注意点から目標管理手順についてもわかりやすく解説】にて詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

人材マネジメント

従業員が目標を定めることで、進捗や成果に対するフィードバックなどが行えるようになります。

また、目標達成が評価につながるため、従業員のモチベーションを向上させたり、パフォーマンスを最大化したりして生産性を高める結果へとつながるのです。

これにより、個々の能力が高まり、企業全体の力も底上げされていきます。

人事評価制度の手法

人事評価制度に利用できる手法はいくつかあります。ここでは、従業員に目標を持たせる手法や、従業員を評価する方法など、5つの手法をみていきましょう。

目標管理制度(MBO)

目標管理制度(MBO)は、経営学者のピーター・ドラッカーが提唱した目標管理手法のひとつです。MBOによって、従来の企業経営におけるマネジメント概念が大きく変容しました。

MBOは、目標達成のためにKPIを設定することで、従業員のモチベーション管理や人事評価にも利用できるといった特徴を持っています。

MBOについては【MBOとは?目標管理制度の導入目的やメリット・デメリットをわかりやすく解説】で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

OKR

OKRは、企業やチームの目標と成果を紐付けて管理する目標管理手法です。OKRは、上述のMBOと比較される手法でもあります。

近年、大手企業がOKRを取り入れはじめたことで、世界的にもOKRが注目されるようになりました。

OKRでは、企業の目標と従業員の成果を紐付けて考えることで、企業全体の生産性向上とともに、従業員のモチベーション向上やスキルアップにもつながる目標管理手法として認知されています。

OKRについては、【OKRとは?Google、Facebookも使う目標管理のあり方】で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。

360度評価

360度評価は、従業員を評価する手法のひとつです。

これまでは、上司が部下を評価する制度が一般的でしたが、360度評価では、上司や部下もひとりの従業員として、周りの従業員から評価される立場になります。上司も部下から評価されますし、同僚や他部署の従業員からの評価も評価されるため、より公平な評価基準として人事評価に適用されます。

コンピテンシー評価(行動特性)

コンピテンシー評価とは、従業員の行動特性を指標とした評価制度のことです。

行動特性を評価するため、従業員の業績だけではなく、「能力」や「適正」、「技能」などの特性に着目して評価します。

例えば、業務において普段意識していることや、「どうしてその行動をとったのか」といった思考も評価基準になるのです。

コンピテンシー評価の高い従業員は、普段の行動における思考や意識が企業にとってふさわしいと解釈されるため、人事評価基準になるということです。

ノーレイティング

ノーレイティングとは、評価によってランク付けを行わない人事評価制度のことです。

従来の評価制度では、決められた時期に評価を行い、その評価に応じて従業員をランク付けして処遇を決めるのが一般的でした。しかし、ノーレイティングでは、決められた時期に評価をするのではなく、目標設定とそのフィードバックを行うタイミングで都度評価します。

目標達成や実績に応じて、リアルタイムに評価が決まる仕組みで、新しい評価制度として注目されています。

働き方に合わせた人事評価制度の事例

それでは最後に、実際に人事評価制度を取り入れた事例をみていきましょう。

OKRを取り入れた「Chatwork株式会社」

Chatwork株式会社では、人事評価制度にOKRを取り入れています。

評価基準は、業績評価・行動評価・全社業績とし、このうち業績評価において「OKRを通してチャレンジした評価」を採用しています。つまり、評価を気にして「手の届く目標」を立てるのではなく、「背伸びをした目標」にチャレンジすることを評価基準に取り入れているのです。

360度評価を取り入れた「株式会社ディー・エヌ・エー」

株式会社ディー・エヌ・エーでは、マネージャー育成に360度評価を取り入れています。

通常の360度評価は無記名で行われるのが一般的です。しかし、株式会社ディー・エヌ・エーでは、各メンバーが実名でフィードバックを行っているという特徴があります。

これは、従業員それぞれが思ったことを発信することを重んじた結果であり、マネージャーがメンバーの率直な意見を知ることで、自身と周りの評価のずれを修正することに役立ちます。また、マネージャーとメンバーの信頼の構築にもつながるもので、評価後にはマネージャーとメンバーでのディスカッションの機会を設けています。

ノーレイティングを取り入れた「カルビー株式会社」

カルビー株式会社は、ノーレイティングを取り入れています。成果主義を取り入れるタイミングで評価制度の見直しを図りました。

従業員自身が目標を定めて成果を出し、その結果に対して1on1ミーティングを行って人事評価を決定します。

成果が評価に反映されるため公平な評価が行えますし、「成果を出せば評価される」というわかりやすい制度により、「残業をすることは良くない」という空気も作られました。同社は、わずか5年で利益率が10倍になっています。

まとめ

働き方が多様化する現代、適切な人事評価制度を導入しなければなりません。それは従業員のモチベーション維持や人材マネジメントにも大きく関わるものだからです。まずは人事評価制度の目的を明確化してその手法を学びながら、時代に合った人事評価制度へシフトした事例も導入の参考にして、自社に合った人事評価制度を検討しましょう。

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