新入社員のオンボーディングを成功させるコツとは?4つのメリットも紹介

 2021.03.31  ワークマネジメント オンライン

少子高齢化による労働力不足が深刻化する中、あらゆる企業において優秀な人材の育成や定着に向けた対策がますます重要になってきています。
本記事では、新入社員に対する有望な育成方法として期待されているオンボーディングについて解説していきます。人事部門などで教育・研修をご担当されている方はぜひ参考にしてください。

新入社員のオンボーディングを成功させるコツとは?4つのメリットも紹介

オンボーディングの意味と目的

そもそも「オンボーディングとはどのようなことを意味する概念なのでしょうか。「on-boarding」とは元々、「飛行機や船に乗っている」状態を指しています。つまり、オンボーディングプログラムとは本来、飛行機や船に乗り込んできた従業員や乗客に対して、新しい環境に慣れてもらうためのプログラムとして存在していたのです。

オンボーディングは現在人事用語として転用されていますが、元々のオンボーディングプログラムが持っていた「新しい環境に慣れてもらう」という本質的な意味はそのまま維持されています。つまり、人事用語ではオンボーディングという概念は、先述の「飛行機や船」という環境設定を「職場」に置き換え、新入社員に職場という新しい環境に早く慣れてもらい、企業の一戦力として活用できるように継続的に支援する活動のことを意味しています。

従来の新入社員教育との違い

上記のように、オンボーディングは新入社員教育の1つではありますが、従来のそれとは何が異なるのでしょうか。
今までの新入社員教育では往々にして、年度初めにメンター役の特定の社員が一気に集中して研修指導を行っていました。そしてそれが一通り済んだら、あとはOJT、つまり実務の中で仕事を覚えてもらうために仕事現場に送り出す、という形を取ることが通例でした。

これに対してオンボーディングは、まずメンター以外の上司や同僚など広範囲の既存社員が体系的に手厚く、しかも継続的に新入社員をサポートします。しかも、オンボーディングの対象は、新卒社員のみに限りません。中途採用の新入社員にも同様にサポートを行い、前の企業風土とは異なる新たな職場環境で生じるギャップを埋め合わせるサポートを積極的に行います。

オンボーディングプログラムの核心は新入社員を新しい職場に馴染ませるという点にあります。したがって、その適用範囲は幅広く、先に挙げた「OJT」も含めて、新入社員教育全般がオンボーディングの一種であると言えます。また、OFFJTや1on1ミーティングのほか、先輩社員が交流の一環として新入社員をランチや歓迎会に誘ったりすることまで、オンボーディングの支援活動に含まれるのです。

プログラムでは、対象者が中途社員も含まれることからもわかるように、オンボーディングが目指しているのは、単に業務遂行能力の獲得をさせるだけでなく、職場の情報や価値観を共有し、職場の一員としてそこに馴染んでもらうことにあるのだという理解が大事です。

オンボーディングが重視される背景

オンボーディングは人材の流動性が高い海外企業や、国内の外資系企業で多く導入されてきた手法です。しかし近年では、日本でもこの手法を取り入れる企業は増えています。以下では、いま日本でオンボーディングに注目が集まっている背景として、次の3ポイントに焦点を絞り解説していきます。

新入社員の早期離職防止

令和元年の厚生労働省の調査によると、この年の22歳~24歳の男女の離職率は、それぞれ男性が30.7%、女性が33.8%と高い水準をマークしています。これはつまり、大卒の新入社員の3割以上が3年以内に職場を離れてしまうということを示しています。
(参照:2019 年(令和元年)雇用動向調査結果の概況

高い早期離職率は、企業にとっては採用活動や新入社員教育に当てたコストをあまり回収できなかったことを意味します。また、早期退職者が続出すれば、何か問題のある企業として就活生に認知され、今後の採用活動に支障が出る可能性もあります。ただでさえ今後、少子高齢化による労働力不足が深刻化していく中で、優秀な人材を職場に定着させることは企業にとって喫緊の重要課題であると言えるでしょう。

この点、職場全体で新入社員を手厚くサポートして職場に馴染ませることに注力するオンボーディングプログラムは、新入社員に早めに社内に「自分の居場所があること」を実感させ、職場への帰属意識を高めて離職を防ぐ効果的な育成プログラムであると言えます。

通年採用への対応

事業発展のためには、グローバルな人材の確保が重要ですが、海外の大学は日本とは卒業時期が異なるため、従来の一括採用とは異なる通年採用に対応できる体制が今後重要になってきます。この点、不定期な中途採用者への対応なども想定範囲としているオンボーディングプログラムは、通年採用にも対応できるノウハウと柔軟性を企業にもたらすことが期待されます。
また、「職場に馴染ませる」ことに主眼を置くオンボーディングの思想は、文化の異なる国から来たグローバル人材を受け入れる際にも高い効果を発揮すると考えられます。

中途採用者への導入教育の見直し

従来、中途採用で入社した社員は即戦力として期待され、新しい職場に適応するためのサポートがあまり受けられない傾向にありました。中途採用者はせっかく転職したにもかかわらず、こうした環境においては、新しい職場に馴染む機会を逸して、前の職場とのギャップに悩まされたり、孤立したりして結局早期離職してしまうケースも多かったのです。

しかし、オンボーディングの観点においては、いくら社会人経験のある中途採用人員だとしても、その職場においては新人であることに変わりはないとして平等にサポートが行われます。これによって中途採用者は新しい職場にも自然に馴染むことができ、期待されていた通りの能力を発揮しやすくなります。

新入社員にオンボーディングを実施する4つのメリット

新入社員にオンボーディングを実施する効果は幅広く、主に次の4つのメリットが期待されます。

教育業務の効率化

職場全体が新入社員の教育を担うオンボーディングは、通年採用も含めて新入社員への教育を確実に機能させることが比較的容易で、新入社員の戦力化までの期間を短縮できます。また、職場全体で教育に当たることで、教育役の社員に負担が一極化することもなく、メンターの質によって育成効果にバラつきが出るということもなくなります。

費用対効果の向上

社員が離職すれば、その分の補充人事を行わねばなりません。新規採用の予算が必要になり、その負担が企業にのしかかることになります。その点、オンボーディングによって新入社員の離職率が下がれば、こうしたコストは削減され、戦力となった社員の働きによって、事業の目標も達成しやすくなるでしょう。また、採用コストを削減した分、新規事業への投資や既存社員への昇給など、より生産性の高い分野に充当できるようにもなります。

新入社員のエンゲージメント醸成

単にOJTで終わらせるのと異なり、オンボーディングでは幅広い取り組みを通じて企業のビジョンやミッションを深く理解してもらえるため、企業活動への愛着や思い入れを醸成しやすいという特性を持っています。入社してすぐに組織の一員として認め、期待を寄せる姿勢を見せることによって、早くから社員の組織への貢献意欲を高められます。

組織内の結束力の強化

オンボーディングにおいては新入社員を早く職場に馴染ませるため、職場の人間全員が協同して新入社員のサポートに当たります。そのため、新入社員と企業とを調和させる取り組みの中で、既存社員同士でも結束力アップにつながる機会も増えていくでしょう。社員間の結束力の強さは仕事におけるチームワークや労働生産性を高め、結果的に業績も高めることができる可能性があります。

オンボーディングを成功させるためのコツ

オンボーディングの効果を最大限に高めるには、いくつかのコツが必要です。ここではオンボーディングを導入する際の参考として、特に重要な3つのポイントについて解説していきます。

組織課題を明確にする

これは労働環境の整備などにも通じる話ではありますが、オンボーディングを実施するにあたっては、まず現状の組織課題を明確にした上で、その解決につながるプログラムにするのが鉄則です。例えば、「他社と比べて新入社員の定着率が低い」という課題があるなら、その解決に主眼を置き、「なぜ定着率が低いのか」「どのようにすれば改善できるのか」と思考を進めるのがいいでしょう。

もし定着率が低い原因が、「社風が合わない」という理由であれば、採用時や入社時などの早期の段階において、経営層から企業理念や企業ビジョンについて丁寧に説明する場を設けたり、既存社員との交流会を実施したりするなどの施策が有用です。

継続的に実施する

オンボーディングが従来の研修プログラムと異なるのは、入社前から入社後1年までの期間で、段階的かつ継続的に適用されるプログラムだという点です。すなわち、オンボーディングにおいては、長期的なビジョンに立った社員教育が求められます。

社員の成長速度や定着率に関して特に重要となるのは「入社から3ヶ月目の時期」です。教育にメリハリをつけるためにも、こうした節目で、達成すべき明確な目標を設定したり、自分でしてもらったりすることが効果的です。もちろん、定期的な個人面談や人事との面談を実施し、目標のすり合わせをしたり、新入社員のメンタルケアを行ったりすることも大切です。

振り返り・ヒアリングを行う

オンボーディングをより効果的に運用していくには、必ず振り返りやヒアリングを行い、効果測定を実施しましょう。例えば、実施前と実施後の離職率やエンゲージメント率、職場に対するストレス数値などを定期的に比較して効果を検証することなどが求められます。また、オンボーディングの対象者からヒアリングし、そこで吸い上げられた意見や要望を積極的に施策に反映していくことも、今後の改善に向けて必要です。

まとめ

オンボーディングは単に新入社員の早期戦略化を促すだけでなく、既存の社員間も含めた組織の結束力強化に大きく寄与するプログラムです。労働力不足が深刻化し、グローバル間の競争も厳しくなっている中、オンボーディングの重要性は今後さらに増していくものと予測されます。

職場全体で新入社員をサポートしていくためには、該当の社員がいまどんな仕事をしていて、どこで苦戦しているのか、その作業内容を周囲の社員が適切に把握していることが大切です。「Asana」のワークマネージメントツールは、タスクリストやタイムラインなどの機能を通して、チームの作業内容を可視化することで、オンボーディングの運用を効率的にサポートします。

この機会にオンボーディングの仕組みを整え、事業実現をスマートにしてみてください。


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