イノベーションのジレンマとは? その原因や解決方法などを解説

 2022.08.31  ワークマネジメント オンライン編集部

近年、大企業を中心に多くの企業が新規事業立案やイノベーションを強く叫んでいます。しかし、日本の大手企業から革新的なイノベーションが出てきているとは言えないのが実態でしょう。ここに潜むのがイノベーションのジレンマです。本記事ではイノベーションのジレンマの発生要因と解決方法について解説します。

イノベーションのジレンマとは? その原因や解決方法などを解説

イノベーションのジレンマとは

新規事業で大きなイノベーションを起こそうと検討を深める企業、特に大企業がよく陥ってしまうのがイノベーションのジレンマです。言葉は耳にしたことがあるけれど具体的な内容はわからないという方も多いかもしれません。まずはこの言葉の意味から解説します。

イノベーションのジレンマの意味

イノベーションのジレンマとは、簡潔にまとめると「大企業がイノベーションに立ち遅れること」です。

大企業も始まりは何かしらのイノベーションがきっかけだったのにもかかわらず、その成功体験に裏打ちされる大企業の活動方針が、結果的にイノベーションへの遅れになってしまうという、まさにジレンマと呼べる事象です。

イノベーションのジレンマの問題点

イノベーションのジレンマは、ただ大企業が新興企業に後れを取ることのみを問題にしているのではありません。大企業がイノベーションを起こした新興企業に後れを取った場合、新興企業が事業環境を激変させたため既存の製品が売れなくなり、市場での競争優位性が失われ、市場そのものを完全に奪われてしまう可能性があります。さらに深刻な場合、市場が消えたためその分野での事業から撤退したり、会社をたたんだりすることにつながる可能性もあります。最近は大企業も複数分野の事業で大きな利益を稼いでいることが多いため、ひとつの事業がダメで倒産するケースは少ないものの、可能性がないとも言い切れません。したがってイノベーションのジレンマは大企業にとっては非常に切実な問題なのです。

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イノベーションのジレンマの例

ここからは、具体的にイノベーションのジレンマが発生したといえる事例を取り上げていきます。

携帯電話

生活になじみ深い携帯電話の市場でも、イノベーションのジレンマが起きた過去があります。それはスマートフォンの登場です。2000年代前半は国内各社がいわゆるガラケーのさまざまな機種を投入し、各社でしのぎを削って製品の磨き上げを行っていました。非常に性能が高く充実した機種が多かったのですが、通信方式の進化に合わせてスマートフォンが登場し、それに伴い顧客のニーズが一気にガラケーからスマートフォンへ遷移しました。結果的に国内でガラケーを作っていたほとんどの企業は携帯電話事業から撤退し、スマートフォンによって市場が激変してしまったのです。

カメラ

カメラ業界も実はスマートフォンの台頭によって破壊的イノベーションが生じ、結果的に大企業はイノベーションのジレンマに陥りました。これまではカメラという撮影専門の機器を持ち運んでいたところ、スマートフォンが高性能のカメラを備えるようになり、手軽に写真を撮影して共有したいというニーズが顧客に生まれたのです。結果、デジタルカメラが完全にスマートフォンに取って代わられてしまいました。

カメラ業界はアナログカメラからデジタルカメラへの移行のタイミングでも破壊的イノベーションが生じていますから、さまざまな業界でいつどのようなイノベーションが起こるか全く予想できないことがわかります。

イノベーションのジレンマの原因

ではなぜイノベーションのジレンマが起こってしまうのでしょうか。イノベーションのジレンマが引き起こされる理由には、主に次の3つが考えられます。

  • 破壊的イノベーションへの関心不足
  • 製品改良や技術の進歩への傾注
  • 参入機会の見逃し

それぞれ具体的に解説していきます。

破壊的イノベーションへの関心不足

破壊的イノベーションへの関心不足とは、新しい技術やビジネスに対して積極的に関わりにいかないことです。一般的に、破壊的なイノベーションの導入は製品の機能低下を招きます。例えば初期のスマートフォンは、既存の携帯電話よりも発熱しやすかったり、カメラの起動が不安定だったりとさまざまな問題点を抱えていました。このような機能低下を予期して、大企業はまだ世に出始めたばかりの技術や小さな事業に対して、消極的な態度を取りがちなのです。こうした要因から新しい技術への知見が溜まらず、後れを取ることに繋がっていきます。

製品改良や技術進歩への注力

大企業は基本的に現在成功しているサービスや製品があり、そこに多くの顧客がついています。したがって、完全に新しいサービスや製品を投入することよりも、既存の顧客のニーズを最大限まで満たせるよう、既存サービスや製品のブラッシュアップに注力しがちです。

一般にイノベーションは持続的イノベーションと破壊的イノベーションの2つに大別され、大企業は持続的イノベーション、すなわち既存のものをより良くする技術を好みがちです。これは一定までは非常に良いことなのですが、場合によっては顧客のニーズを上回り、ただの自己満足で終わってしまう可能性があります。

一方で市場を大きく動かしたり、激変させたりしてしまうのは後者の破壊的イノベーション、つまり革新的な技術です。新興企業はまさにこれを携えて顧客のニーズを捉える、あるいは作り出していきます。他方で、大企業は得てして持続的イノベーションを優先し、革新的技術の速やかな導入に失敗しがちです。

参入機会の見逃し

上記の2つと関連しますが、ベストなタイミングでの参入機会の見逃しもジレンマ発生の要因です。既存事業の優先や、新たなイノベーションへの関心の薄さは、ベストな参入機会を見逃すことに繋がります。また、新しい技術やビジネスを見つけたとしても、既存のサービス・事業と比較して得られる収益や利益規模が小さい場合、投資家や経営陣が破壊的イノベーションへの投資を敬遠する傾向があります。

こうしたさまざまな要因から参入が遅れに遅れ、最終的にはビハインドを取ってしまうのです。

イノベーションのジレンマの解決方法

では、どのようにすればイノベーションのジレンマを回避できるのでしょうか。その方法は、イノベーションのジレンマに陥ってしまう要因を排除するように事業活動を営むことです。

  • 小規模でトライ&エラーを繰り返す
  • 既存事業に囚われない広い視野を持つ

こうしたポイントに周囲すれば、少しでもジレンマに陥る可能性を低くできます。

小規模なトライ&エラー

新しい技術や事業に対し積極的に学ぶ姿勢を取り、どのような技術が用いられているのかを把握したり、自社に取り入れられる部分がないかを検討したりしましょう。その上で自社ができることを見つけ出し、小規模で挑戦をしてみましょう。新興企業も思いついて一発で市場を大きく動かしたわけではありません。彼らも何度も挑戦を重ねた結果、大きな成功を収めているのです。大企業もまた何度も挑戦し続けることが重要でしょう。ただし、新しいことへのチャレンジはリスクがつきものですから、あまり規模は大きくせずに比較的小さめの規模で実施するのがポイントです。

視野の拡大

視野を広く持つことも重要です。大企業の中にいると、社員は自身の担当している業務や事業、あるいは会社として主力にしている事業にしか目が向かなくなってしまいます。経営層も財務指標や株価など、目先の数字や事業課題に意識が向きがちです。そういった固定化された視点のままでは、新たな顧客のニーズや市場の変化への気付きが得られにくくなってしまいかねません。

社会全体のトレンドはどうなっているのか、競合他社が見ている方向はどうなのか、顧客の真のニーズは押さえられているのかなど、事業運営する中で考えるべきことは数多くあります。広い視野を持って事業活動にあたれるよう、日頃から多くの情報を吸収するように心がけましょう。そうした情報を踏まえて、企業を取り巻く環境がどのように変化していくかを考えておくことが重要です。

まとめ

イノベーションを生み出すためには、広い視野を持ち、小規模で構わないのでトライ&エラーを重ねることが重要です。

Asana」は社内におけるさまざまなプロジェクトや業務・タスクを一元的に管理できるツールで、業務の効率化を図り、余剰時間をイノベーションのための事業開発に当てられます。新規事業やイノベーションについて真剣に社内で検討したいが時間が足りないという方は、ぜひ「Asana」の導入をご検討ください。

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