ナレッジ経営とは? 意味やメリット、成功に導くポイントを紹介

 2022.08.29  ワークマネジメント オンライン編集部

ナレッジ経営という単語は耳にしたことはあるものの、実際どのようなものを指すのか分からない方は意外と多いのではないでしょうか。労働人口が減り、さまざまな企業で人手不足が叫ばれ、業務効率化が急務となっている今、ナレッジ経営の重要性は増しています。本記事でナレッジ経営について理解を深め、自社での実践に繋げてください。

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ナレッジ経営とはどういう意味?

ナレッジ経営とは、企業で働く各社員が有するノウハウや知識を、客観的に理解できるよう言語化し、そのうえで企業の財産として集約し活用する経営の在り方を指します。ナレッジとは知識のことであり、知識の集積・集約をしっかり行うマネジメントということです。

ナレッジ経営を実践する目的は、生産性の向上です。後述しますが、社員が必要な情報に容易にアクセスでき、それに基づいて業務を遂行できるようになるため、効率的に業務を行う助けになるでしょう。

ナレッジ経営が注目される背景

企業の中でよくあるのが、業務に必要な知識のすべてがマニュアル化されているわけではなく、「詳しいことは、この担当が長い○○さんに聞かないとわからない」という状況です。このようにナレッジが属人化していると、その社員が異動や退職でいなくなった際、円滑な組織運営が難しくなってしまいます。

企業としては、生産性が著しく下がってしまうので、そのような事態を避けなければなりません。「誰が担当しても業務が円滑に進む」状態を作ることで生産性の維持や向上を図るために、ナレッジ経営が注目されてきているのです。

特に昨今は、終身雇用制度が崩壊しつつあり、転職市場が活発化しています。また、法的整備も相まって、育児休業や介護休業を取る人も増えてくると考えられます。情報を多く持っているキーパーソンが、突然職場からいなくなる可能性もあるため、ナレッジの集約は重要度が高い問題です。

さらに、新型コロナウイルスの流行によって、実際に集まって働くのが難しくなっています。新入社員や中途採用者など新しく加わったメンバーに対する教育や情報共有も、対面で実施する機会が減りました。こういった事態の打開策としても、ナレッジ経営が注目を集めています。

ナレッジ経営の導入メリット

ナレッジ経営を導入することで得られる具体的なメリットには次のようなものが挙げられます。

  • 業務の属人化の防止
    前項で触れた内容ですが、特定の人しか業務のやり方がわからない状態を脱却し、他の誰に引き継いでも当該業務が円滑に遂行できるようになります。
  • 業務の効率化
    誰でもマニュアルに沿って一定水準以上の業務を行えるようになるため、業務稼働の分散が図れ、効率化に繋がります。
    属人化していた業務のやり方は必ずしも最も効率的な方法とは限りません。共有されたナレッジに多くの人が改良を加えていくことで、さらに効率化を図れるでしょう。
  • 企業としての競争力が高まる
    有用な知識やノウハウが公開されることで、それを獲得した社員がスキルアップしていくことが予想されます。個人の能力の伸長だけでも企業にとってはプラスですが、知識を体系化する習慣が根付けば、企業全体でも部門間の壁を越えて知識を共有できることは大きなメリットです。組織全体として多くのアイデアや戦略が検討されるようになり、企業としての競争力が高まるでしょう。
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ナレッジ経営の理論1 形式知・暗黙知とは

ナレッジ経営を実践する前に、基本的な理論として知られる2つの理論についておさえておきましょう。

まずは形式知と暗黙知という知識モデルについてです。

形式知とは、公になっていて、誰が見ても同じように理解できるものを指します。具体的には、言語または図や数字などで表現されているマニュアルなどです。客観的な知識であり、皆で共有しやすい形になっています。

一方の暗黙知とは、言語や図などで明示されておらず、誰もがアクセスできる状態にはない知識やノウハウを指します。これまで取り上げてきた「属人化したスキルや知識」がこれに該当します。暗黙知は属人的なものですから、これを形式知へ転換しないことには組織全体の生産性向上やスキルアップは望めません。

ナレッジ経営の理論2 SECIモデルとは

基本理論の2つ目が、SECI(セキ)モデルです。これは暗黙知と形式知がどのように変換していくかを示した4つのステップの頭文字を取ったものであり、暗黙知と形式知には密接な関係があることが示唆されています。

  • Socialization(共同化)
    個人が有している暗黙知を、他の人も同じ体験をすることによって理解します。暗黙知を暗黙知として共有するステップです。
  • Externalization(表出化)
    共有した暗黙知の中から、言語化や図表化など、形式知とするためにどのように表現したらわかりやすいかを考えます。暗黙知から形式知へ変換していくステップです。
  • Combination(連結化)
    新たな形式知と既存の形式知を組み合わせ、それによって新たな体系的な形式知が誕生します。形式知の融合によって新たな形式知の体系を生み出すステップです。
  • Internalization(内面化)
    連結化によって新たに体系化された知識を、実際の体験によって自身の中に暗黙知として取り込みます。最終的に新たな知識体系は、経験を通じて個人の中に暗黙知として取り入れられます。

このようにして暗黙知と形式知はアップデートを繰り返しながら循環していくのです。

ナレッジ経営の4つの手法

ナレッジ経営は、集約する知識やその活用法に基づいて、主に4つの手法があるとされています。

  • 経営資本・戦略策定型
    組織内にあるナレッジを多角的に分析して経営戦略に活かす方法です。比較のために、自社のみならず競合他社に関しても詳細に分析して、自社の業務の中で効率化できるところがないか探します。その上で最終的に戦略を決定していきます。
  • 顧客知識共有型
    名前の通り、顧客から得た知識を共有する手法です。単に組織内の業務だけではなく、顧客からフィードバックされる意見や要望などと、それらへの対応も含めて知識やデータとしてまとめ上げるものです。長期的な目線で顧客に利益還元する、カスタマーファーストのスタンスで行われています。共有することでトラブル対応の迅速化や平準化が見込めるでしょう。
  • ベストプラクティス型
    組織内で優秀とされるハイパフォーマーの行動特性や考え方を形式知に変換し、それを組織内で共有することで社員のスキルアップを図り、組織全体の力を強める手法です。
    近年、人材育成でコンピテンシーという言葉が話題に上がることがあります。ベストプラクティス型で形式知化しようとしているものは、まさにこのコンピテンシー、成果を生み出すもととなる行動特性です。
  • 専門知識型
    さまざまな専門知識をデータベース化して、問い合わせへの対応や情報の入手を迅速に行えるようにする手法です。例えば、社員から情報システム部門に多く寄せられる質問や、顧客からコールセンターによく問い合わせがある内容をFAQにまとめておきます。そうすることで、多くの利用者はFAQを先に参照して自力で疑問点を解決でき、応対する社員の負担を減らせるでしょう。

ナレッジ経営を成功に導く3つのポイント

実際に自社でナレッジ経営を実践する際には、次に挙げるポイントに注意しましょう。

ナレッジを共有しやすい仕組みを作る

社員がナレッジを共有したいと思える環境を整備しましょう。登録システムと人事評価の2点が重要です。

まず登録システムですが、使い勝手が悪いシステムでは登録意欲が削がれてしまいます。登録システムは入力や検索のしやすさを第一に考えて選びましょう。

次に人事評価ですが、質の高いナレッジを持つ人は、自分のノウハウを他人に共有することで他人に成果を奪われることを危惧するかもしれません。情報の出し惜しみが発生しないよう、積極的なナレッジ共有そのものが評価される仕組みにしましょう。

過度にマニュアル化しない

加減が難しい部分ではありますが、何もかもマニュアル化するのは避けたほうが賢明です。あまりにもマニュアル化されすぎていると、業務の遂行に際して社員が考える機会が減り、モチベーションの低下や、成長の機会を奪うことになりかねません。必要なマニュアルを作りつつも、社員が自身で考える余地も残しておく、あるいは社員教育で思考力の養成を図る、といった対応を検討しましょう。

現場の社員にツールの操作性を確かめてもらう

現場の社員が実際にナレッジ共有のためのツールを使ってみてどう思うかは、非常に大切です。社員が使いやすい、継続して使いたいと思えるようなツールでないと、ナレッジ経営は成功しません。本格導入前にトライアルを実施するなどして、ツールの操作性を事前に確認しておきましょう。

まとめ

ナレッジ経営は、企業の業務を円滑に進めるために重要な手法です。社内に有用な形式知が蓄積されれば、社員は働きやすくなり、企業力の向上も見込めるので、ぜひ積極的に実践していきましょう。

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